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子供人権教室「セサミストリートの仲間たちと一緒に知ろう!子どもの権利と多様性」イベントレポート(2024年9月28日)

 2024年9月28日に東京都人権プラザで、子供人権教室「セサミストリートの仲間たちと一緒に知ろう!子どもの権利と多様性」が開催されました。
 来場したのは小学校1年生から4年生の子どもたちで、最初にセサミストリートカリキュラムのワークショップに参加して、その後で特別展示「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」を見学しました。ワークショップの様子と、特別展示の様子をレポートします。

「目に見えないちがいを考える」ワークショップ

 この日、ワークショップで子どもたちに体験してもらったセサミストリートカリキュラムは、埼玉県戸田市や東京都三鷹市の小学校で授業に導入されています。
 「夢をえがく」「目標をたてる」「計画をたてる」「行動する」「問題を解決する」「コラボレーション」「お金の理解」「価値の理解」「人の価値観」「社会的スキル」「多様性の理解」「インクルージョンの実現」の12のテーマで6学年分、全部で72本の授業案があります。
 そのなかから、「多様性の理解」のテーマのなかの3年生向けの授業「目に見えないちがいを考える」をしました。
 
 最初に「コミュニケーション」について子どもたちと考えました。「コミュニケーションって何だろう?」と質問してみると、何人かの子どもたちから「話し合うこと」や「挨拶」などの答えが返ってきました。
 言葉を介するものだけでなく、笑顔や怖い顔などの表情や、身ぶり手ぶりもコミュニケーションであることを伝えて、「自分と少しコミュニケーションの仕方が違う友達と会ったときにどうするか?」ということを考えるために、セサミストリートのストーリーをみんなで見てみました。

 画面にセサミストリートのキャラクターが登場するスライドを投映して、お話を読んでいきます。
 エルモとジュリアが遊んでいたところに、アビーがやってきます。「はじめて会うジュリアにアビーが挨拶をしてみると、ジュリアからはすぐに返事が返ってこなくて、アビーがしょんぼりしてしまう…」というストーリーです。

 この日の授業ではスライドショー形式で行いましたが、YouTubeの「セサミストリート日本公式」チャンネルでも同じストーリーを動画で見ることができます。

www.youtube.com

 ストーリーをみんなで一緒に見た後で、「もしみんながここにいて、エルモとはじめて会うときには、何て言うかな?」「ジュリアにはじめて会うときには何て言うかな?」と問いかけて、ワークシートに自分の考えを書いてもらいました。
 セサミストリートカリキュラムでは、ワークシートは正解を書けているかどうかを確認するのではなくて、自分なりに考えたことを表現してもらうためのものです。だから、なるべくたくさん考えたことを書いてもらうようにしています。「コミュニケーションの仕方に正解があるわけではないので、自分の考えたことを書いてね」と伝えてワークシートを書いてもらいました。

 セサミストリートカリキュラムでは、自分で考えてワークシートに書いたことをクラスメイトと伝え合うことをします。他の人が書いている良いアイデアなどがあれば、それも自分の考えに付け足してもいいからね、ということも伝えています。自分が考えていなかったことでも、良いものを見つけられるようになることは、多様性を尊重することに繋がると考えているからです。
 この日のワークショップでも、最初に座ったテーブルから立ち上がって、セミナールームの中を歩き回って他の人に、自分が考えた「はじめて会うときに言うこと」を紹介し合ってもらいました。

 最後にもうひとつ、「相手が日本語を話さないときは、どうすればいいかな?」ということも考えてもらいました。使う言葉が違うというのも、このワークショップのテーマである「目に見えないちがい」のひとつです。言葉が通じないからといってコミュニケーションがとれないわけではないので、言葉以外のコミュニケーションの仕方を子どもたちが考えてくれたらいいな、と思いながら、子どもたちがワークシートにアイデアを書く様子を見ていました。

 授業の最後に、「相手が日本語を話さないとき」にどうやってコミュニケーションをとるのか、子どもたちが考えたことを発表してもらいました。このタイミングで、スペシャルゲストとしてエルモとクッキーモンスターにセミナールームに入ってきてもらって、発表してくれた子どもたちのアイデアを一緒に聴いてもらいました。
 日本語を話さない人には、「絵を描いて話しかければいい」「折り紙をおって渡す」というようなアイデアが出てきました。「タブレットをもっていって翻訳してもらったり、Siriを使って翻訳すればいい。学校でもやったことがある」と自分の体験に根ざしたアイデアを言ってくれた子もいました。

 隣にいる人と使う言葉が違ったり、性格が全然違う人がいることも、人それぞれの特性があることも、子どもたちの周りに起こり得ることだと思います。そのときに、「違い」があるからとコミュニケーションをすることを諦めてしまうのではなく、相手のことを考えていろいろなコミュニケーションの仕方を試してくれるようになったらいいなと思います。

特別展示「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」

 東京都人権プラザでは、2025年度まで特別展示「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」を行っています。入口のところからセサミストリートのキャラクターたちが出迎えてくれています。

 中に入ってみると、セサミストリートのキャラクターたちがたくさんいるだけでなく、「セサミストリート」とサインがついた街頭もありました。

 セサミストリートのキャラクターたちと一緒に子どもの権利を学ぶことができますので、ぜひ特別展示「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」を見に、東京都人権プラザへ足を運んでいただければと思います。

 ワークショップが終わった後は、参加してくれていた子どもたちと保護者の皆さんは、エルモとクッキーモンスターと一緒に展示を見て回りました。その後は、みんなエルモとクッキーモンスターと一緒に記念撮影もしていました。

 僕も、「セサミストリート」50周年のときのエデュケーションサミット以来、ひさしぶりにエルモとクッキーモンスターと会ったので、記念撮影してもらいました。

(為田)