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書籍ご紹介:『ネット情報におぼれない学び方』

 梅澤貴典さんの著書『ネット情報におぼれない学び方』を読みました。「ネット情報におぼれない」=情報リテラシーをどう教えたらいいのか、というのは自分でテーマとしてもっているところでもあります。読書メモをまとめたものを共有します。

この本で学べること

 「はじめに」で、この本の2つの目的が書かれています。岩波ジュニア新書らしくとてもいい目的だな、と思っています。

この本の第一の目的は、「確かな情報源を探す方法」を学ぶことです。それは「ネットだけでなんでも分かる」という思い込みを解き、本や図書館なども使った「王道の学び方」を身につけることでもあります。
もう一つの目的は、確かな情報を集め、自分ならではのテーマを探究していく面白さを知ることです。それができるようになれば、これからの人生で出会うさまざまな困難や課題を解決し、乗り越えていけるはずです。(p.iii)

 「「ネットだけでなんでも分かる」という思い込みを解」く、って本当に大事だと思っています。

 「はじめに」で、情報リテラシーを身につけるために大切なポイントが5つ挙げられています。こちらもとてもいいですね。

情報リテラシーを身につけるために大切なポイントは、5つあります。まずは、「①確かな情報を探し集め」、それによって「②幅広い知識体系を育てる」ことです。本書では、この②つに最も重点を置いています。そして情報リテラシーは、集めた情報をもとに考えて活用する力も含んでいます。そこで「③自分が探究したい課題(テーマ)をみつけ」、「④解決策(アイデア)を考え出し」、「⑤言葉や文章でアイデアを人に伝える」ための知識や技術を身につけることにもチャレンジしていきましょう。(p.v-vi)

 後半の3つは、「情報リテラシーっていうか、探究学習?」と思ったのですが、情報リテラシーのなかに、「集めた情報をもとに考えて活用する力」も含まれているのですね。

 この本は全部で7章に分かれています。僕は「2章 探究のための図書館活用法」と「5章 ネットの情報の海でおぼれないために」がよかったです。

  • 1章 ネット時代の学びとは?
  • 2章 探究のための図書館活用法
  • 3章 図書館を味方につければ鬼に金棒!
  • 4章 「確かな情報」って何?
  • 5章 ネットの情報の海でおぼれないために
  • 6章 知識を「学ぶ」から、知識を「使う」へ
  • 7章 アイデアの発信が、未来を切り拓く

2章 探究のための図書館活用法

 図書館はただ本がたくさんある場所じゃないよ、いろんな使い方ができるよ、というのをアナログだけでなくインターネットサービスも含めて紹介されていました。いろいろ紹介されていたなかで、自分で使ったことがなくて使ってみようとおもった2つを紹介します。

 まずは、Webcat Plus。以下のように紹介されていてとてもいいなと思ったのですが、2024年3月31日をもってサービスが終了していました(これもまた、デジタルサービスっぽいですけど)。

これを使えば、日本で流通するほとんどの本を探せます。捜査網が全国(ヨコ方向)に広がるだけでなく、上記のウェブサイトの説明で「江戸の和本から今週の新刊書まで、あらゆる本の情報を集めています」とある通り、時間軸(タテ方向)においても広がります。昔の本からも知見が得られるので、学びの世界では、過去に生きた人でさえも、出逢いの対象なのです。(p.36)

 Webcat Plusの後継サービスとしては、CiNii Books(国立情報学研究所)NDL Search(国立国会図書館)があるようです。どちらも見てみようと思います。

 次に、国立国会図書館のリサーチ・ナビです。

このサイトの説明には「調査のポイントや参考になる資料、便利なデータベース、使えるWebサイト、関係する機関など、調べ物に役立つ情報を特定のテーマ、資料群別に紹介するもの」とあります。
私は、あらゆる分野における「情報収集の入り口」として重宝しています。特に自分が不得意な分野での調べものに挑戦するさいに、資料やデータベースのみならず、さまざまな「調べ方」を提示してくれる親切さには、いつも感謝しています。(p.69)

5章 ネットの情報の海でおぼれないために

 「ネットは不正確、本で確認しましょう」という説明だけではダメですよ、ということが書かれていました。

印刷物は時間をかけて慎重に作られていますので、情報の質(信頼性)は全体として高くなります。また情報が体系立っており、しかも責任の所在(著者や出版社)が明らかなので安心です。
しかし、だからといって「本ならば信頼できる」という思い込みや過信もまた危険です。中には、偏った思想を押し付けたり、中立的な検証を怠って書かれたりした本もあるからです。大切なのは「信頼できる情報か否か」であって、「印刷されているか否か」や「有料か否か」ではありません。
それぞれに長所と短所があり、またどちらも完璧な情報ではないとするなら、どうしたらいいのでしょう。その答えは「相互に補完しながら、バランスよく使い分けること」です。
特に、ネットを上手に使いこなすことがカギになってきます。具体的には「①自分が求める情報に的確にたどり着く方法」と「②不要な情報を除外する方法」を身につけることです。それが膨大な情報の海におぼれない技術です。(p.109)

 本も危険だ、というのはこないだ読んだ『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』でも書かれていました。

 本にアクセスするためのひとつの手段である、レファレンスについても書かれていました。図書館はずいぶん通っている方だと思いますが、レファレンスはほとんど使ったことないんですよね。

p.133
「ちなみに、全国の図書館に寄せられた質問や相談と「どのような資料を使い、どう回答をしたか」の情報も蓄積されていて、その情報を、国立国会図書館が「レファレンス協同データベース」https://crd.ndl.go.jp/reference/)として無料公開しています。
たとえば「夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したとされる根拠となる文献はないか」という相談が岐阜県図書館に寄せられ、担当者は17点の図書館資料を探し出して調べ、「英語教師としての漱石」「明治期の英語表現」「漱石と逸話」等の切り口から丹念に検証し、それでも「確かな根拠を示す資料を見つけることはできませんでした」という結論に至ったことがプロセスとあわせて紹介されています。」

 レファレンス協同データベース、すごいおもしろそうです。いろんなレファレンス、見てみたいと思いますし、探究をしている生徒たちに「こんな感じの質問でも、図書館で調べてもらえるのか」と知ってもらうきっかけにもなりそうなコンテンツだと思いました。

まとめ

 『ネット情報におぼれない学び方』、本当に大事なことだと思います。学校の図書館に入っていてほしいです。小学生には難しいかもしれませんが、小学校の先生は読むとアイデアの種になりそうなことがけっこうあるかもしれません。

(為田)