教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

「いいね」について、子どもに知ってほしいこと・できるようになってほしいこと

 僕は、子どもたちには「デジタルを表現や思考のツールとして使いこなせる」ようになってほしいと思っています。「デジタルを表現や思考のツールとして使いこなせる」の中には、オンラインでどうコミュニケーションをするか、オンラインでどうふるまうか、ということも含まれています。
 そのために、自分が担当している授業やワークショップやイベントでは、できるだけいろいろな機能を子どもたちに使ってもらいたいと思って、いろいろな活動が入るようにデザインしているつもりです。

 いろいろなアプリやシステムを使って授業やワークショップをしていますが、特にやっていておもしろいのはスクールタクトの「いいね」機能です。
 子どもたちは、「いいね」をあげるのも「いいね」をもらうのも大好きです。自分が一生懸命書いた言葉に、自分が一生懸命デザインしたスライドに、「いいね」がもらえるのはとても嬉しいことだと思います。「この絵、この言葉、考え方、すごいおもしろい!」と言ってもらったかのように「いいね」をもらえることもあります。子どもたちの表現や思考への「承認」として機能していると思います。
 ただ、少し時間が経つと、「承認」の手段であったはずの「いいね」が、目的化していきます。
 「わあ、「いいね」が10個ついた!○○ちゃんより多い!」とか、「○○ちゃん、「いいね」したから、私にもちょーだい!」というような声が教室の中を飛び交うようになります。

 こうした声があまりにも大きくなりすぎると、僕は授業を止めて、「ちょっといい?僕は、みんなが「いいね」にあんまりこだわりすぎちゃうのは好きじゃないな。「いいね」が多ければいいわけじゃないし、少なかったらダメなわけじゃないよ。それと、誰が作ったかじゃなくて、その作品が良いな、と思ったときにだけ「いいね」ボタンを押してあげてほしいな」と伝えます。
 子どもたちは、その瞬間にはちょっとハッとなるのですが、しばらく時間が経つとまた「いいね」に執着するようになります。これは単純に僕と子どもたちの関係性ができていないから、僕の言葉が届いていない、というのもあると思います。力不足を感じて悩みます。
 「いいね」を求め過ぎるような人になってほしくない、自分がどう感じているかを大事にして人に「いいね」をあげられる人になってほしい、ということはどう伝えたら伝わるのだろうか、と日々思っています。

 僕の授業のルールとして、「いいね」の機能を禁止することもできます。スクールタクトでは「いいね」の数を表示しないようにも設定できます。
 でも、それだと教室ではこういう場面は現れないけれど、いつかどこかのタイミングでSNSを始めたときに同じように「いいね」に執着する子が出てきてしまうと思うのです。それならば、僕の目の届くところで「いいね」をあげたりもらったり(あげなかったり・もらえなかったり)する体験をしてほしいと思うのです。

 僕が目指したいのは、子どもが「「いいね」の数ばっかり気にしちゃいけないんだよ!」とか言い合う授業ではありません。がんばったことに「いいね」をもらえて嬉しい。それはとてもいい体験だと思います。人に承認をもらえる(=「いいね」をもらえる)体験をしながら、「いいね」を求め過ぎないよう子どもたちが学ぶ授業です。
 日々、子どもたちと授業の場をつくりながら、今後もずっと考えていきたいなと思っています。

(為田)