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ノートルダム学院小学校 授業レポート No.1(2024年9月19日)

 2024年9月19日にノートルダム学院小学校を訪問し、笠丸千夏 先生が担当する1年生(R4*1)の算数の授業「おおきさくらべ」を参観させていただきました。教室のスクリーンにデジタル教科書の「おおきさくらべ」のページを映して、「ながさくらべ」と「かさくらべ」について説明していきます。

 授業の最初に、子どもたちは自分のiPadでeライブラリドリルを開いて、「ながさくらべ」の問題に取り組みます。eライブラリドリルには「きほん」「ひょうじゅん」「ちょうせん」の3つのレベルがあって、子どもたちは自分でどのレベルに取り組むかを決めています。

 子どもたちからは「ちょうせん、むずい!」という声もあがっていました。笠丸先生は、「難しすぎてわけわからん、という人は、きほんに戻ってやってくださいね」とコメントしていました。ここで先生が言っていた、難しすぎたら自分で戻る、ということを1年生の段階で子どもたちに伝えて、その機会を作っているのがとてもいいなと思いました。
 勉強をしていく過程では、ときに「戻る」ということも大事です。しかし、学年が上がっていくとだんだん「戻る」ことを恥ずかしく思ったり、停滞しているように感じたり、マイナスなイメージをもってしまうこともあります。そうならないように、1年生のときから「必要ならばいつでも戻って大丈夫」とメッセージを先生が伝えていくことにすごく意味があると思います。

 「ながさくらべ」をeライブラリドリルで学習した後で、「かさくらべ」に進みます。デジタル教科書に収録されている、水筒の中に入っている水が2杯分か3杯分か確かめる動画を見ます。こういう実験は実際に教室でやることも大事だと思いますが、先生の準備も大変ですし、机が濡れてしまうこともあります。デジタル教科書に収録されている動画を一緒に見て、擬似的に体験ができるようになっています。

 「かさくらべ」をする動画を見た後は、デジタル教科書を一緒に見ながら、「かさくらべ」の問題にみんなで取り組みます。問題をモニターに映して見せながら、「どっちが大きい?隣の人と話し合ってみて。どうしてそう思うか、理由も言ってね」と笠丸先生は子どもたちに伝えます。一人ひとりがデジタルドリルで問題を解く練習に入る前に、こうして先生とみんなと一緒に問題を解いて、理解の定着を図っていました。

 デジタル教科書の問題をやったら、個人でeライブラリドリルで「かさくらべ」の問題に取り組みます。間違えてしまったら、その後に表示される解説を読んで復習します。一人ひとりが自分の間違えた問題の解説を読むことができるのは、デジタルドリルの長所です。解説を一人で読んで理解ができるかどうかは個人差があるので、先生が教室を回ってサポートが必要な子には追加で説明をしています。
 デジタルドリルの採点結果を見て、「×ばっかり…むずかしい…リトライしたい…」と言っている子もいました。こういう子が、解説を読んで、デジタルドリルに自分のペースで取り組みながら少しずつ×の数を減らして、正解の数が増えていくように先生がサポートしていくことが大事だと思います。

 授業の最後に、自学習プリント「10・11・12をつくろう」を子どもたちにロイロノート・スクールで配布します。1~9までの数字がマスにたくさん書かれているので、縦横で数字をまとめて10・11・12を作っていくプリントです。10ができたら「黒」、11ができたら「赤」、12ができたら「青」の線で数字を囲んでいきます。
 笠丸先生は、「たし算のくりあがりをまだみんなはやっていないから、まず10ができるところを見つけてまとめて、それから11とか12をさがすといいよ」と言いながら、モニターでお手本を示します。こうして実際に「どう書くのか」をモニターでみんなに簡単に見せられるのもICTの良さだと思います。

 笠丸先生が「5分でやってみましょう」と言うと、みんな集中してプリントに取り組んでいきます。みんなすごく集中しています。

 プリントをやっている間にも先生は教室を回って、どれくらい解けているかなどを見ながら適宜サポートをしていました。iPadを使って取り組むデジタルドリルにせよ自学習プリントにせよ、子どもたちが自分で好きにやっている、というのではなく、先生がきちんと見とりながら学習を進めるサポートをしていたのが印象的でした。

 iPadは家へ持ち帰ることもできるので、自学習プリントに家で継続して取り組んでもらうこともできます。授業の最後に、笠丸先生は「家で自学習でやるときは、5分で終わらないでもっと時間かけてやってもいいよ。今回見つけられなかった数字が見つかるかも。いっぱい見つけて下さい」と言って授業を終えました。

 授業と家庭学習とが繋がっていて、子どもたちの「もっとやりたい」という気持ちが湧き上がるような授業だったのがとても印象的でした。

 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)

*1:ノートルダム学院小学校では、クラスは教室の名前で表すそうです。「R4」は「Room4(ルームよん)」と読みます。