2025年2月21日に東京成徳大学中学・高等学校を訪問し、中川琢雄 先生の担当する1年4組の社会「秀吉が導いた近世社会」の授業を参観させていただきました。
最初に中川先生はプロジェクタでスライドを映しながら、豊臣秀吉の政策として「検地と刀狩」と「朝鮮侵略と日明交渉」の2つのテーマについて概要を解説します。

プリントも配布していますが、Googleクラスルームでスライドのデータを見ることもできるので、自分のiPadでスライドを映して見ている生徒もいました。
スライドデータだけでなく、解説動画もGoogleクラスルームで中川先生が配信してあるので、生徒たちは必要があればいつでも見返すことができるようになっているそうです。

日明交渉のところでは、中川先生から「このとき、秀吉が出した手紙は、何語で書かれていたでしょう?」と生徒たちに問いかけがありました。生徒たちからは「日本語」「中国語」と答えが返ってきました。「そう、中国語で書かれていました。でも、このとき秀吉は、明だけでなくて朝鮮、フィリピン、カンボジアなどにも中国語で手紙を出していました。なぜでしょう?」と問いを続けます。「この頃の東アジアでは、明の力が大きかったので、周辺国はだいたい漢文が読めるんですね」と解説します。
こうした当時の世界情勢についてのポイントを、プリントの穴埋めで語句として紹介するのではなく、一緒に考えていくやりとりがあるのがいいと思いました。こうした「なぜでしょう?」を積み上げていくことで、探究していく姿勢が身につくのではないかと思います。

豊臣秀吉の政策について解説した後で、中川先生は「江戸時代につながることはあったかな、というのを考えてほしいです」と着目してほしいポイントを伝えます。江戸時代とのつながりを考えてもらうために、まずクラス全体で「江戸時代はどんな時代だったか」のイメージを共有します。Googleクラスルームで共有したURLからMentimeterにアクセスします。
Mentimeterの画面には、キーワードを入力するテキストボックスが3つ表示されているので、一人3つのキーワードを書いて提出します。
生徒たちは自分のなかにある記憶を思い出して書くだけでなく、いろいろと調べてキーワードを書いていました。iPadをスプリットビューにして、画面の半分で「江戸時代とはどんな時代だったのか?」の検索結果を表示して、もう半分でMentimeterの画面を表示してキーワードを入力していきます。

Mentimeterの画面には、生徒たちが入力したキーワードがワードクラウドとして表示されていきます。ワードクラウドでは、回答数が多いものほど大きく表示されるので、共有されているキーワードがわかりやすくなります。
生徒一人が3つのキーワードを入力するので、表示されるキーワードは多くなります。キーワードが多くて、かつ多くの人が同じキーワードを書いていると、ワードクラウドを使って多様性を可視化することができます。
今回のワードクラウドでは、「徳川家康」「鎖国」「関ヶ原の戦い」「大政奉還」「日米和親条約」「江戸城」「武家諸法度」「参勤交代」など歴史の出来事に関するキーワードや、「身分制」や「武士」など社会制度に関連するキーワードや、「平和な時代」というキーワードが入力されていました。
中川先生はワードクラウドに書かれているキーワードを紹介しながら、「さっきの秀吉の政策と何か関係がありますか?時代のつながりを考えてほしいです」と生徒たちに言います。

ここまでで、授業時間はちょうど半分くらいが過ぎていました。後半は、3人~4人ずつでグループワークに取り組みます。
Padletを使って、「豊臣秀吉とはどのような人物だったのか?」を表すクラゲチャートを作ります。グループごとに1ページを割り当てられているので、自分のグループのページにアクセスします。
あらかじめ、「朝廷から関白に任命され、その権威を使って諸国に戦争禁止を命じた」「自分と敵対した徳川家康を配下として受け入れた」「バテレン追放令を出したが、貿易促進のために徹底できなかった」など5つの付箋が用意されていて、その付箋をクラゲチャートの足の部分に入れて、その付箋の内容を要約して、何についての説明をしているのかがわかるように「貿易」や「宗教」のようにラベル名をつけます。付箋とラベル名を見て、「秀吉がどのような人物だったのか」をクラゲの頭のところに入力します。
生徒たちはグループで付箋の内容を読んで、「バテレンって何?」「キリスト教じゃないの?」というように話し合いながらラベル名を入力していきます。中川先生は各グループを見回りながら、生徒たちが書いたラベル名や「秀吉がどのような人物だったのか」の文章を読んで、「何を根拠にそう書いたの?」と質問していきます。
授業の最後に、2グループに作成したクラゲチャートをプロジェクタで映しながら、「秀吉がこういう人間だ」と考えたことと、その理由を発表してもらいました。

生徒たちは前回の授業で、「織田信長はどのような人物だったのか」を示すクラゲチャートを書いていました。この日の授業では、1年生全クラスの授業で書かれた「織田信長はどのような人物だったのか」を中川先生がまとめたクラゲチャートが配布されました。
前回の「織田信長はどのような人物だったのか」のクラゲチャートの項目に対応するように、この日の授業で使った「豊臣秀吉はどのような人物だったのか」のクラゲチャートに5つの付箋が用意されていたので、生徒たちは信長のクラゲチャートと比較しながら、秀吉のクラゲチャートを作っていきます。
中川先生は「信長は将軍を追放したけど、秀吉は関白になった。ここから、信長と秀吉の違いに気づきますか?」と問いを投げかけます。生徒から「下剋上?」と返ってくると、中川先生は「権威という言葉を使うと?」とキーワードを指定して、比較するときの観点を提供します。

同じクラゲチャートで信長と秀吉の政策をまとめた後で、まとめた情報を使って考える時間をとっているのがいいと思います。
ただ歴史上の出来事を順に説明されるのではなく、歴史で起こったことをみんなで考えて、それが次の時代や現在にまでどのようにつながっているのかを考えていく授業だと思いました。
No.2に続きます。
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(為田)