2025年3月まで加賀市教育委員会教育長を務めてらっしゃった、島谷千春さんの『BE THE PLAYER 自治体丸ごと学びを変える加賀市の挑戦』を読みました。2年半の任期で「加賀市の公立全小・中学校の教育を抜本的に変える」というミッションを背負って、突如縁もゆかりもない石川県加賀市の教育長になった島谷さんが、加賀市の全小・中学校の先生方と一緒に学校を変えていった様子を読むことができます。
「はじめに」で島谷さんが書かれていることは、とても大事だと思います。
もちろん地域によって、自治体の規模、学校数、風土・歴史、子どもや家庭環境、保護者の意識、政治状況、大事にしてきた教育観などは違います。教育はこういった無数の要素が織り成しつくりあげられるものです。ですから、本書でお話しすることが他の地域にとってどこまで汎用性があるのかはわかりません。ただ、同じ思いを持つ人にとって、普遍性や通底する何かがあるのではないかと思っています。(p.4)
地域によって学校の様子は全然違うけれども、「あれは加賀市だからできること…」と最初から諦めるのはあまりにもったいないと思います。たしかに加賀市だからできることもあると思いますけど、加賀市でなくてもできることもたくさんあるはずなのです。
「どうやったらこの短期間にここまで変えることができたのか」と、多くの方からご質問をいただきます。答えは「チーム加賀市として壮大な団体戦がやれたから」ということに尽きるのですが、そうなるように戦略的に意図してやってきたこともありますが、組織として、開拓精神と柔軟さを持ち合わせ、現場の温度感を常に感じながら、試行錯誤や軌道修正を高速で回し続けてきたことの方が寄与する割合としては大きいかもしれません。
そして、ふりかえってみると、教育の世界を取り囲む「こうあるべき」という見えない呪縛に抗ってきたことは、変化を起こすことができた大きな要素になっているような気はします。その呪縛から解き放ち、加賀市の子どもたちの「学びを変える」ために進めてきた「5つのデザイン戦略」について言語化していきます。(p.4-5)
ここで書かれている「5つのデザイン戦略」は、「ビジョンデザイン」「コミュニケーションデザイン」「教員研修デザイン」「授業デザイン・学びの空間デザイン」「広報・PRデザイン」の5つで、これが第1章から第5章まで、1章ずつ丁寧に紹介されています。
僕は、2023年12月16日に開催されたSTEAM FES KAGAに参加して、この本の「第1章 ビジョンデザイン」で紹介されている子どもたちのプロジェクトの発表を聴いてレポートにもまとめています。この本と合わせてレポートを読んでいただけると、「学校で先生方はどんなふうに授業を変えていったのかな」「子どもたちはどんなふうに変わったのかな」「教育委員会や地域の皆さんは、どんなふうに学校に伴走していたのかな」ということが見えるかもしれないな、と思います。
本のタイトルにもなっている、「BE THE PLAYER」っていうビジョン、本当に素敵だと思っています。僕も、いろんな学校をサポートするときに「I want to BE THE PLAYER」って気持ちになります。
(為田)
