教育ICTリサーチ ブログ

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淑徳小学校 淑徳アルファ カズトロジー 授業レポート No.2(2025年2月)

 弊社フューチャーインスティテュートは淑徳小学校放課後クラブ「淑徳アルファ」内で、コンピュータを使ってさまざまな活動を行う授業「カズトロジー」を実施しています。3学期に、2年生のクラスで「淑徳クイズ」を作りました。2年生のクラスでは、2学期に3年生が作った「淑徳クイズ」に挑戦しました。その後で、「自分たちでも問題をつくりたい!」と言っていたので、自分たちで遊ぶクイズを作ってもらうことにしました。

1回目:クイズを自分たちで作ってみる

 スクールタクトで一人ひとりにワークシートを配布して、4択問題の問題文と回答の選択肢を書いてもらいました。4択問題なので、正答だけを書いてもらうのではなく、誤答例も3つ書いてもらいます。
 「どんな問題でもいいけれど、誰も正解できないようなクイズは、良いクイズじゃないからね。解く人が楽しめるクイズを考えてね」と伝えると、子どもたちはどんどんクイズの問題を作っていきます。

 「来週の授業で、今日みんなが作ったクイズをみんなで解いてみましょう」と言うと、子どもたちはものすごく楽しみにしている様子でした。子どもたちはいろいろな問題を考えていきました。

2回目:Quizizzで自分たちが作ったクイズを解いてみる

 2回目の授業でみんなで作ったクイズを解いてもらうために、前の授業で子どもたちがワークシートに書いたクイズの問題を僕が見て、みんなが楽しめそうな問題をQuizizzに入れました。クイズの問題は全部で20問になりました。

 授業のはじめに、子どもたちにQuizizzのコードを入力して、エントリーしてもらいます。ニックネームも自由に考えてもらいます。時間に余裕のある子は、アバターを自分なりに変えるのも楽しんでやっています。
 全員がエントリーしたところでクイズ大会をスタートします。今回は、私自身が正解かどうか判断できない問題も、そのまま入れることにしましたが、自分たちで作った問題なのが子どもたちにはおもしろいらしく、「こんなのわかんなーい!」と言いながらも楽しんで問題に取り組んでいました。正答率を見てみると、78%でした。

 20問の問題を解き終わって、クラスのランキングを確認します。クイズが終わるとすぐに「もう1回やりたい!」「もっと問題を作りたい!増やしたい!」と言われるので、「今日はこれでおしまいです。来週でクイズは最終回になります。今日の授業で問題をさらに作ってもらって、そこからいい問題を付け足して問題を増やして、来週もう1回クイズ大会をしましょう」と返します。
 実際にクラスのみんなで作った問題を解いてみると、新しい問題のアイデアが浮かんでくるようで、前回の授業で使ったクイズづくりのワークシートにページを増やして問題を書いている子もいました。

3回目:クイズに再チャレンジしてみる

 3回目の授業の準備で、子どもたちが作った問題をQuizizzに入れていくと全部で41問になりました。41問もあれば十分(というか、ちょっと多すぎくらい)と思ったのですが、子どもたちにAIがクイズの問題を作れるということを見せたくて、Quizizz AI Actionsにあった「Add Similar Questions」のボタンを押して、AIに新しく3つの問題を作ってもらいました。

 教室でQuizizzをスタートさせるときに、「今日出てくる問題のなかで、3問だけAIに作ってもらいました。どれだか当ててみてください」と言いました。AIが作った3問も含めた全44問の正答率は、前回と同じ78%でした。
 AIが作った問題がどれだったかは、ほとんどの人が当てられませんでした。こうした体験をして、「AIってクイズも作れるのか」ということを知ってほしいと思いますし、「AIが作った問題が、どれだかわからなかったな」ということを覚えておいてもらえればいいと思っています。

 最後にスクールタクトで作ったルーブリックを使って、自分たちが作ったクイズについてふりかえりをしてもらいました。2年生に答えやすいように以下の4段階を作って答えてもらいました。

  • S評価:クイズにこたえる人がギリギリわからなそうなクイズをつくることができた
  • A評価:クイズにこたえる人のことを考えて、クイズをつくることができた
  • B評価:楽しんでクイズをつくることができた
  • C評価:クイズをつくることができた

 また、ルーブリックで書くよりももう少しフランクな形でのふりかえりを、クラス全体でできたらいいなと思ったので、「授業チャットを使って、感想も書きこんでください」と伝えました。
 授業チャットは、最初こそちゃんと感想が書かれるのですが、だんだん短いリアクションが多くなっていきます。クラス全員が見られるチャットなのですが、誰か一人に対して返信をする子が出てきて、どんどんチャットの流れが速くなっていきます。子どもたちが個人個人でやりとりを楽しみ始めてしまい、その流れに乗れなかったり、そのやりとりを面白いと思わない子は、授業チャットを読まなくなっていきました。

 想定した使い方には全然なっていなかったのですが、チャットでのコミュニケーションの良さと悪さを子どもたちには体験してほしいと思っているので、ときどきこうした場面を作るようにしています。
 何かトラブルがあっても、授業中であれば「それはよくないよ」「こういうふうに読まれてしまうかもしれないよね」と伝えることができます。だからこそ、授業のなかでこうした機能に触れてほしいと思っています。
 チャットだけでなく、「いいね」やコメント欄などのスクールタクトの機能を使いながら、オンラインコミュニケーションの良い体験と(できれば少しだけの)悪い体験を教室でしてほしいと思っています。

(為田)