教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

パターン・ランゲージ・フェス for Teachers 2025 レポート(2025年7月28日)

 2025年7月28日と29日にDNPプラザで開催された「パターン・ランゲージ・フェス for Teachers 2025」に登壇してきました。
 僕は7月28日に登壇して、小学校での「プレゼンテーション」授業実践を報告しました。弊社フューチャーインスティテュートは、2025年4月、パターン・ランゲージ授業づくりパートナーに認定され、学校での授業などでパターン・ランゲージを活用する実績を積んでいます。参加者の皆さんが「パターン・ランゲージを学校の授業に導入する」ということを具体的にイメージしてもらいたいと思って、実践報告を行いました。

パターン・ランゲージの好きなところ

 最初に、自分がパターン・ランゲージのどんなところに教育での活用の可能性を感じているのかを伝えました。
 僕は、2023年8月5日に行われた「夏のパターン・ランゲージ活用フェス」に参加しています。そのときに井庭崇 先生(慶應義塾大学総合政策学部教授・株式会社クリエイティブシフト取締役会長)が教えてくださった、「パターンは“中空の言葉”で書かれている」というフレーズをすごく気に入っています。
 “中空の言葉”とは、抽象的すぎず、具体的すぎない言葉だそうです。抽象的すぎると何をしていいのかわからないから行動が促されません。逆に、具体的すぎるとそれは行動指示になってしまって自分で動く人が育ちません。
 「これは、学校での先生の言葉にも同じことが言えると思いませんか?」と参加者の皆さんに問いかけると、頷いてくださる方が多かったです。学校で子どもたちに伝える言葉も同じだと思います。抽象的すぎず、具体的すぎず、自分たちでどう行動したらいいかを考えられる子どもたちを育てるために、僕はパターン・ランゲージの「中空の言葉」を教育に持ち込みたいと思っている、ということを伝えました。

なぜ、「プレゼンテーション・パターン」で授業をつくったか?

 クリエイティブシフトのサイトを見ると、「ラーニング・パターン:創造的な学びのためのパターン・ランゲージ」、「プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント」、「コラボレーション・パターン:創造的コラボレーションのためのパターン・ランゲージ」など、さまざまなパターン・ランゲージが作られていることがわかります。

 僕がたくさんあるパターン・ランゲージのなかから「プレゼンテーション・パターン」を選んで授業をつくった理由は、小学校でも中学校でも高校でも、児童生徒の「プレゼンテーションの力を高めるためのコメントで使える語彙」が教室に不足していると感じているからです。
 授業のなかで児童生徒がプレゼンテーションをする機会はたくさんあります。その際に先生が児童生徒に伝える語彙、児童生徒がグループの中でお互いにコメントし合うときに使う語彙として、「プレゼンテーション・パターン」が活用できるのではないかと思って授業づくりに取り組みました。

戸田市立戸田第一小学校での「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業実践

 「プレゼンテーション・パターン」を教材として使う授業をつくった背景を紹介した後で、戸田市立戸田第一小学校の3年生を対象に行った「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業実践を紹介しました。
 参加者の多くは学校の先生だったので、授業の様子をイメージしてもらえるように模擬授業の形式で報告しました。

 小学校3年生の子どもたちに伝えたように、「プレゼンテーションのコツを教えに来ました」と言い、全部で34種類ある「プレゼンテーション・パターン」から選んだ9つのパターンを1つずつ、小学生に伝えたのと同じようにエピソードを交えて紹介しました。

 その後で、「僕がいまからここでプレゼンテーションをして見せるので、それを見て、“できていたと思うコツ”と、“もっとよくするために使ったらいいと思うコツ”を教えて下さい」と子どもたちにお願いするワークも紹介しました。
 実際に子どもたちが書いてくれたコメントも見てもらいました。しっかりコメントを書けている子どもたちが多いことがわかってもらえたと思います。

 こうして、「プレゼンテーションのコツ」として子どもたちに「プレゼンテーション・パターン」を手渡すと、この後でグループワークをしたときに「うちのグループのプレゼンの、メインメッセージってそもそも何かな⋯?」というふうに、子どもたちが「プレゼンテーション・パターン」を語彙として使えるようになっていた、ということを伝えました。

 僕は、ここがパターン・ランゲージを授業で活用する際のゴールだと思っています。子どもたちが、パターンを実際に学びの場で使えるようになっていくために、語彙としてパターンが手渡せたと思える場面だったと思います。

学校で伝えたい「プレゼンテーション・パターン」

 ここで時間をとって、会場の各テーブルに置いてある「プレゼンテーション・パターン・カード」を手にとってもらって、学校で伝えたい「プレゼンテーション・パターン」を考えてもらうワークを行いました。

 僕が戸田第一小学校で授業をしたときに選んだ9つのパターンは紹介したので、グループごとに「プレゼンテーション・パターン・カード」をみんなで見てみて、「自分だったら、どのパターンを授業で使いたいか」「どのパターンを児童生徒に伝えたいか」ということについて、グループの皆さんと話し合ってもらいました。
 観点として僕からお願いしたのは、「プレゼンが得意な子をより伸ばす」というよりは、「できるだけたくさんの子どもたちがプレゼンをより良くできる」ということを意識して、パターンを選んでもらいたい、ということを伝えました。

 パターン・カードは手にとって読んで、そのカードについてどう思うかを話し合うのに適しています。つい語りたくなってしまいます。自由に並べ替えたり、カードをグループ分けしたりできるのも、カード形式だからこそだと思います。

 それぞれのグループで話し合った後で、Googleフォームを使って「どのパターンを子どもたちに伝えたいと思ったのか」を投票してもらいました。当日は、オンライン参加の方もいらっしゃったのですが、GoogleフォームのURLをお伝えしてオンライン投票もしてもらえました。

 リアルタイムで表示される結果を見てみると、参加者全体でどのパターンを子どもたちに伝えたいと考えているかがわかります。
 いちばん票が集まったのは、「メインメッセージ」でした。これは僕もすごく好きですし、学校で何度も何度も子どもたちに伝えていきたいと思うパターンです。次いで票が集まっていたのは、「成功のイメージ」と「心に響くプレゼント」でした。この2つも、僕が授業で子どもたちに紹介したパターンでした。
 一方で、「イメージの架け橋」や「参加の場づくり」といった、僕が授業では使っていないパターンも多くの票を集めていました。この違いが見えたのもとても意義があったと思います。
 この日参加した先生方が、自分の勤務校や自分が関わっている子どもたちのことを考えて、「どのパターンがいいかな⋯」と考えることに意味があります。そして、そのパターンを教室で子どもたちに伝えてみて、実際に子どもたちが自分たちでプレゼンを磨ける「語彙」として使えるようになってくれたらいいと思います。

(為田)