2025年9月18日に たつの市立龍野西中学校を訪問し、坂口万理 先生が担当する3年2組の英語の授業を参観させていただきました。この日に参観した3クラスで「Unit 4 How can we help each other in a disaster?」に取り組んでいましたが、それぞれ進度は違って3年2組はUnit 4の2時間目の授業でした。
坂口先生は授業の最初に、単元全体で生徒たちに学習してほしいことをプロジェクタに映して生徒たちに共有します。Unit4で学習してほしいこととして、以下の項目が提示されていました。
- 授業終わりに提出するもの
- 活動計画
- 全員がやること
- key sentenceのまとめ ※スライド等にまとめてスクショしても可
- Practice ※スクショしても可
- 教科書 P56
- 要約 ※手書きを撮影しても可
- 音声入力の練習1 2
- Unitのまとめ
- Aをめざす人（テスト前までに、chatのその他にスレッドを使って…）
- プリントまとめ
- 本文まとめ
- 単語練習
- タブレットドリル
- オリジナル文
- 日本語訳から英語に
- 動画 ※個人chatに
Unit 4の2時間目となるこの日の授業では、教科書本文を生徒たち一人ひとりが自分のペースで読んで内容を理解し、56ページの「Read and Think 2」にある問題に取り組みます。答え合わせは次回の授業でするので、プロジェクタに映されている「全員がやること」の「教科書P56」の横に、「明日答え合わせ」と書かれていました。
最初に書かれている「活動計画」は毎回の授業で書いて提出をしますが、あとは単元全体の進行のなかで授業ごとに「今日までに提出です」「答え合わせは明日です」というふうに坂口先生から締切やテストの実施日などが追加情報として伝えられます。
教科書本文を読み始める前に、坂口先生は「このユニットは災害をテーマにしています。入試にも出やすいテーマだし、入試のための練習問題としてもちょうどいい語数なので、入試問題だと思ってやっていきましょう。（56ページの）Round 1とRound 3は内容が読めれば解けますね。Round 2は英語で答えるところですが、書けなくても本文のどこに書いてあるかくらいまではわかってほしいです」と、読解する文章と解く問題の意義と目指してほしいレベルを生徒たちに伝えています。
坂口先生が「では、活動計画を立ててやっていってください」と言うと、生徒たちはGoogleスライドで共有されている活動計画の「課題の設定」の欄に、今日の授業で何をするかを入力していきます。
56ページの問題を解くために教科書本文を読み始める生徒たちに、坂口先生が「どれくらいの時間がかかったか、測ってください。これを読むだけに30分もかかってちゃ入試問題は解けないですからね」と言います。
生徒たちはChromebookでストップウォッチを開いて時間を測りながら、教科書本文を読んでいきます。わからない単語はGoogle翻訳や教科書を自分で見ながら読み進めていきます。
教科書本文を読み終わったら、活動計画の「ふりかえり」の欄に「速読 8分40秒」というふうに読むのにかかった時間を記録します。活動計画のファイルは共有されているので、坂口先生は自分のChromebookでそれをいつでも見ることができます。
56ページの問題以外にも、生徒たちはタブレットドリルを開いて練習問題に取り組んだり、学習者用デジタル教科書で動画を見て文法事項などをノートにまとめたり、自分で次に何をするかを決めて学習を進めていきます。「今日は、音声入力のテストないのか。じゃあ、タブドリ（タブレットドリル）しよう」と言ってドリルに取り組んでいた生徒もいました。
坂口先生から示されている単元全体として学習すべきことを見て、自分で「学習したいこと」と「学習しなければいけないこと」を考えて決めていたのが印象的でした。
生徒たちが自分で学習している間、坂口先生とティームティーチング（TT）で入っている先生の2人が教室を巡回して、質問を受けたり、ノートやChromebookを見てコメントをしたり、解説をしたりしています。
TTでせっかく先生が入っていても、T1の先生が一斉授業の形で解説をする時間が長いと、生徒たちが質問をするタイミングがあまりなかったりします。T1の先生が全体に対して話している時間が短いと、2人の先生が教室内で生徒たちとやりとりをする時間的な余裕が生まれて、結果的に生徒たち一人ひとりに合わせた指導ができるように思います。
たくさんの生徒たちの学習の様子を見ることができるので、同じような間違いをしている生徒が多い場合は、「同じ間違いを続けて見かけたんだけど…」と言って、クラス全体への解説をしていました。
単元全体のゴールはクラウドで生徒たちにも共有されているので、生徒たちはいつでも「この単元ではあとは何を学習すればいいのか」を確認することができます。
Unitで出てきた文法についてまとめていた生徒は、学習者用デジタル教科書の「Key Sentences 解説動画」を再生速度を上げて聴いて、一時停止ボタンを押してノートにまとめていました。外部サイトを使って勉強している生徒もいます。
タブレットドリルには、坂口先生から「9/19まで」と〆切が設定されている課題が配信されていたので、タブレットドリルに取り組んでいる生徒もいます。
進度の速い生徒には「今日の授業中にやることなくなりそう？もしなくなりそうなら、次のを送るから言って」と坂口先生が言っていました。単元全体でやるべきことを生徒たちに共有しつつ、生徒たちの習熟度や進度を見て調整しながら追加で出せる教材を準備しているのがポイントだと思いました。
授業時間が残り3分になったところで、「きりのいいところで、ふりかえりを書いてください」と坂口先生が言うと、生徒たちは活動計画の「ふりかえり」の欄を入力します。「ふりかえり」を入力することで、単元全体で学習しなければいけないことをいま自分がどれくらいまで進められているのかを言語化して確認することができるようになっています。
また、坂口先生は何人かのふりかえりをまとめてプロジェクタで映していました。クラスメイトがどんなふうに「ふりかえり」を書いているのかということを見ることで、書き方を工夫するきっかけにもなると思いました。
No.2に続きます。
（為田）
