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ヒロック初等部 代々木校 授業レポート No.1(2025年10月8日)

 2025年10月8日にヒロック初等部 代々木校を訪問し、子どもたちの様子を一日参観させていただきました。今回の参観は、ヒロック初等部 代々木校のスクールディレクターを務める五木田洋平 先生とスクールタクトのイベントで一緒に登壇したご縁から実現しました。
 五木田「先生」と書きましたが、ヒロックではヒマラヤ登山ガイドのシェルパにちなんで「ラーニング・シェルパ」と呼んでいて、「先生」とは呼びません。この日も、子どもたちは五木田洋平 先生を「よへいさん」、山田菜央 先生を「なおさん」と呼んでいました。
 みんなで集まるスペースに置いてある電子黒板に1日のスケジュールが表示されていました。この日のスケジュールは、「Circle Time」「自由進度」「STEAM」「クラス会議」「Lunch」「マイプロ」「Clean Up」「Circle Time」「byebye」と書かれていました。今回は、朝のCircle Timeと自由進度学習の様子をレポートします。

Circle Time

 朝、ヒロックへ登校してきた全員で円になって座って、子どもたちは自分のタブレット端末でスクールタクトを開いて、朝ジャーナル・ノートを書きます。朝ジャーナル・ノートには、「今自分は    りゆうは      」「だから       」という文章が最初から入っていて、空いているスペースに子どもたちが自分で文章を書くようになっています。

 5分間のタイマーをかけて朝ジャーナル・ノートを書いていたのですが、5分が過ぎようとしているタイミングで、子どもたちから「時間、もう少し延ばしてほしい」という声があがりました。そのときに、上級生から「のばすのはいいけど、隣の人と話していて時間がすぎちゃう人が多いから、ちゃんと書こう」という声が返ってきました。シェルパが声をかけなくても、子どもたちで自律的な時間を作っていることを感じました。
 みんなが書いた朝ジャーナル・ノートは、書き終わったら、モニターに映してみんなで読み合います。「はなしかけて」「今日は、マイプロだから楽しみ」など、1日の意気込みを書いている子もいれば、「(今日は)ほっといて」というふうに自分の状態を飾らない言葉で書いている子もいました。
 子どもたちの飾らない言葉を、シェルパのよへいさんとなおさんも、周りの子どもたちも受け入れて、その日のその子との距離感を考えられている感じがいいと思いました。

 最後にみんなで瞑想をして、なおさんが「じゃあ、自由進度」と言うと、みんなで次の「自由進度学習」へと進みます。

自由進度学習

 自由進度学習の時間は、一人ひとり「何を学習するか」だけでなく、「どこで学習するか」も自分で決めます。何人かで学習できる大きなテーブルを使う子もいるし、壁に向かって一人で学習する子もいます。この日に、自分が学習したいことを、いちばん心地よく学習できる場所へ移動して、自由進度学習を始めます。

 自由進度学習を始めるときに、子どもたちはスクールタクトで「めあて」を入力します。「めあて」のところには、子どもたち一人ひとりが自分で学習したいことを書いていきます。「めあて」は、一人で書く子もいるし、シェルパと話をしながら書く子も、近くにいる人と話し合って書く子もいます。
 スクールタクトが共同閲覧モードになっているので、みんながどんな「めあて」を書いているかも見られるようになっているので、子どもたちはお互いの「めあて」を読むこともできます。

 自由進度学習は、1ターン15分ずつタイマーが鳴るようになっていて、全部で3ターン45分間が設定されています。タイマーは電子黒板に大きく表示されています。15分のターンが終わってアラームが鳴っても、集中して自由進度学習に取り組んでいる子が多かったように思いました。

 自由進度学習の時間は、みんなそれぞれに学習に取り組んでいます。家から自分でもってきた算数のプリントに取り組んでいた女の子は、よへいさんに「3桁かける3桁の計算、やり方知らなかったけれど、たぶんこうだな、というやり方でやってみたら、普通に合ってた」とプリントを見せに来ていました。こういう「自分でやり方を発見してわかった!」という体験ができるのは、学びの大きなモチベーションになると思います。
 この女の子は、学習を進めていくなかでちょっと解き方がわからなくなってしまったときに、よへいさんのところにアドバイスを求めに来ていました。よへいさんは、「わからなかったら、解答を見て読んでみたら?」と言うと、その学習の仕方を自分で試していました。
 自由進度学習の時間の最後に、その女の子によへいさんが「いまのあなたは、答えを見てから“なんでだろう?“って考える方が成長するかもね!」と言うと、「じゃあ、1回解いてみて、わからなかったら答えを見るようにしてみる」と学び方を自分で考えていました。
 こうしたやりとりを、一人ひとりを見取りながらできるのが、自由進度学習の良さだなと感じます。

 他にも、オンラインで社会のドリルに取り組んでいる子や、eboardで問題を解いている子もいました。自分で学習したいところをどんどん進めていきます。周りの子たちと一緒に問題を解く子もいますが、一人で黙々と集中してやる子もいます。一人でやるからこそ、苦手なところにも時間を気にせずじっくり取り組める、ということもあると思います。

 絵本を読みながら、絵本に書かれている文字をそのままタイピングして、何文字タイピングできたかをノートに記録している子もいました。何度も繰り返して練習して、少しずつタイピングできた文字数が増えていくのが自分でわかるのもとてもいいと思いました。

 今日は絵本『せかいのひとびと』の文を写す、と「めあて」に書いていた子は、絵本のページに書かれている文章をノートに書き写して、文字を書く練習をしていました。タイピングでもノートに字を書くのでも、自分の好きな題材で練習ができるのがいいなと思いました。

 算数のくりあがりを学習するのに、ストローを使って考えている子もいました。アナログとデジタルとを問わず、子どもたちがいろいろな教材や学習材を使って学んでいるのが印象的です。
 シェルパの方々は、必要だと思った教材を子どもたちと一緒に検索したり、その場でプリントアウトして渡したり、子どもたちの多様な学習をサポートしています。

 自由進度学習の最後に、スクールタクトを開いて、最初に書いた「めあて」の下に「ふりかえり」を書いて、「今日の自由進度学習で何をしたのか」「次にどんなことをしたいのか」ということをアウトプットします。

 シェルパである、よへいさんとなおさんは、子どもたちが自由進度学習に取り組んでいる間、子どもたちの学習の様子をリフレクションシートに書き込んでいます。リフレクションシートは、Googleスプレッドシートで共有してあるので、一人ひとりがどんなことに取り組んでいたのか、どういうところでつまづいていたのかなど、さまざまなことをその場で共有することができます。
 子どもたち一人ひとりが違うことを自由進度で学習しているからこそ、「何を学習しているのか」「どうやって学習しているのか」「困ったことはないか」「それぞれに対応したこと」などがシェルパの間で共有されていることは、子どもたちが学習する環境作りとしてとても大切だと思いました。

 No.2に続きます。

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(為田)