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ひとり読書会:『新しい教育評価入門 人を育てる評価のために [増補版]』 No.6 「第6章 学校経営と評価 学校の教育活動をどう評価すればよいのか」

 西岡加名恵 先生・石井英真 先生・田中耕治 先生 編『新しい教育評価入門 人を育てる評価のために [増補版]』を読みました。今回は、「第6章 学校経営と評価 学校の教育活動をどう評価すればよいのか」の読書メモを共有したいと思います。

第6章 学校経営と評価 学校の教育活動をどう評価すればよいのか

カリキュラム評価

 歴史的に「カリキュラムというものは国から示されるものであり、各学校はそれを法律に基づいて実施するという考え方が支配的になって」(p.177)いた状態で、カリキュラムを「創る」よりも「こなす」ことにほとんどの学校が腐心していたなか、21世紀初頭に転機が訪れたと言います。

1998年改訂学習指導要領において、「総合的な学習の時間」が設置されたことは、各学校でカリキュラムを開発・経営するという考え方を象徴する出来事であった。(略)各学校は、学習指導要領の求めに沿いながらも、「総合的な学習の時間」のカリキュラムを独自に開発・経営し、その結果や成果を評価せざるをえない状況に、ある意味で「追い込まれた」のであった。(p.177-178)

 「総合的な学習の時間」の設置には、そんな意義もあったのか、といまさら気づかされます。こういう歴史に僕は全然詳しくなくて、ダメだな…と感じます。

 そして、「総合的な学習の時間」はどのように評価するべきなのかということが書かれていました。

「総合的な学習の時間」というカリキュラムは、PDCAサイクルに基づいて、計画され、実行され、評価(検査)され、更新されることで、カリキュラムとしての質を高めるとともに、子どもにより高い教育成果をもたらすことが期待されている。ここで、評価論の観点からとりわけ留意すべきことがある。それは、教育活動を評価(検査)するといっても、すべての教育活動が済んでしまってから事後的に生徒アンケートを取ったり、活動中の評価点を合算したりすること(いわゆる総括的評価)だけを指すのではないということである。PDCAサイクルにおける評価とは、たとえば職場体験学習のためのガイダンスの冒頭で、職業に関する生徒たちの知識や経験を尋ねること(いわゆる診断的評価)や、生徒を実際に事業所に赴かせるまでの取り組みのなかで、職場体験に欠かせない知識・技能や態度などが身についたかを適宜確認したり点検したりすること(いわゆる形成的評価)も含んだプロセスなのである。カリキュラムというレベルであっても、評価はこのようにトータルな営みであることを、私たちは忘れるべきではない。(p.180)

授業評価

 授業評価のところでは、「授業評価アンケート」と「授業チェックリスト」について書かれていました。

授業評価アンケートや授業チェックリストに関して、次の3つの特徴を指摘することができるだろう。すなわち、第一に、教師がわかりやすく丁寧に説明し、子どもたちがそれを聞くという授業のスタイルを前提としている点である。第二に、もっぱら授業中の教師の行動を評価の根拠としている点である。第三に、授業を評価する子どもたちや保護者が、授業に参加するというよりも、でき上がった授業の品質をチェックする消費者になる傾向にあるという点である。まとめると、一定の授業スタイルを前提とする授業の品質を、主に教師の授業中の行動を根拠にしてチェックし、そのことによって授業改善を促す。これが、授業評価アンケートおよび授業チェックリストの基本的な発想であろう。(p.200)

 授業評価アンケートについてモヤモヤしていた部分が言語化されているなと感じます。3つの特徴、すごく響きます。こんな感じだと、「授業アンケートや授業チェックリストは、授業を改善するということに関して、きわめて限定的な役割しか果たさないのではないか」(p.200)と書かれていました。
 これまで先生方が自主的に行ってきた授業改善の取り組み(=「授業研究」)がまとめられていました。これと授業評価アンケートの差を知っておくことが大事だなと思います。

日本の教師たちが自主的に行ってきた、よりよい授業を追求する取り組みとはいかなるものだったのであろうか。以下では、3つに分けて紹介する。ただし、そのいずれもが広い意味で授業研究と呼ばれてきた取り組みであり、授業評価と呼ばれてきたわけではないこと、またそもそも授業評価を目的としているわけではないことを断っておく。(p.200-203)

  1. 授業研究を通してよりよい授業像を提案し共有財産化する
  2. さまざまな局面での教師の意思決定を吟味する ――授業検討会、ストップモーション方式
  3. 子ども一人ひとりの学びに目を開く ――授業カンファレンス

 授業研究については、いろいろな研究授業に参加させていただいて、自治体や学校によって本当にそれぞれ違う文化が存在しているなと思うのですが、授業研究で子どもたちの姿をみんなで見て、「もっと授業が良くなるためにどうすればいいか」という方向に向かっている姿は、学校が失くしてはいけないところだな、と思っています。

 No.7に続きます。

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(為田)