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生駒市立生駒中学校 授業レポート No.1(2025年10月30日)

 2025年10月30日に生駒市立生駒中学校を訪問し、中村基一 先生が担当する3年1組の社会「現代の民主政治と社会 民主政治と政治参加」の授業を参観させていただきました。
 この日の授業では、教科書に掲載されている導入の活動「だれを市長に選ぶ?」に取り組んでいました。生徒たちは204x年に生駒市の市長選挙に立候補するという設定で、5人~6人ずつでグループを作って、生駒市の今後の課題や生駒市の強みを調べて、生駒市をより良くするための公約を考えていきます。

 中村先生は「グループで取り組んでも、“生駒市をより良くするためにどうするのか”という公約を考えるのは大変だ」と言って、「Geminiを助手につけます」と生徒たちに伝えます。Geminiを「助手」と位置づけて言語化するのは、何も言わずに「生成AIを使いましょう」と言うのとは全然違っていいなと思いました。
 中村先生は「生成AIのGeminiを活用して、課題の発見や、公約のブラッシュアップをしてみましょう」と言い、Geminiとのやりとりをモニターに映しながらデモンストレーションします。「生駒市の市長に立候補したい。生駒市の課題を重要度が高いと考えられる課題のなかから5つ挙げてほしい」とプロンプトを入力し、Geminiがどんな回答を返してくるのかをみんなで見てみます。こうしてデモンストレーションを見せることで、「助手」としてGeminiを使うことがどういうことなのかを具体的に見せることができると思います。

 続けてGeminiに出してもらった課題への対応策を生徒たちに示します。Geminiは生駒市の課題として人口減少を挙げてきました。人口減少を食い止めるための対応策として「現金をみんなに2万円ずつ配ればいいんじゃ?」という施策を出して、「こういうのはどう?」と中村先生が訊くと、生徒たちからは「イマイチ」という声が返ってきました。そこから中村先生は「イマイチだと思ったのは、なんで?」と質問を返して、教室全体で話し合いの機会を作っていきます。
 生徒たちにだけでなく、Geminiにも「現金をみんなに2万円ずつ配る」という施策について質問してみます。すると、「その直接的な効果は限定的だと考えられます」とGeminiが回答してきました。ここから、「どういう点が限定的なのか」「効果をより広く届けるためにはどういう方法があるのか」というふうにGeminiにさらに質問をすることもできます。
 公民の授業なので、「生駒市が良くなるのか」「効率や公正が保たれるのか」ということも大事だと中村先生は言います。そうした議論をグループでして、その議論のなかに助手としてGeminiも参加する、という活動のイメージが伝わります。

 ここから生徒たちはグループに分かれて、Geminiを助手として使いつつ生駒市長選挙で掲げる公約作りに入っていきます。
 最初はGeminiに「生駒市の課題を具体的に教えて」というようなプロンプトを投げて、いろいろな課題を知り、そこからだんだん具体的な課題解決の施策を考えていきます。あるグループは、「生駒市は坂が多い」ということに着目して、「自転車道を作ったらいいのでは」という施策を考えていました。こうしてアイデアを考えているグループに、中村先生は「考えたアイデアをどんどんGeminiにぶつけてみたらいい」と言います。

 中村先生も各グループを回って、考えるポイントを提案したり、ディスカッションに参加したりしています。Geminiとのやりとりよりも圧倒的に柔軟で、さらに生徒たちの日々の姿を把握しているからこそできるディスカッションのリードは、先生方にしかできないことです。
 中村先生とのやりとりを経て、グループでのディスカッションはどんどん盛り上がってきて、「生駒市、ガチどうすればいいの?」と言っている生徒や「市長になりたいかも」と言っている生徒もいました。

 公約を作ることで主体的に地域社会に関わる態度を養いながら、生成AIを助手として使う体験ができる授業でした。この後は、次回の授業で1分半で他のグループに公約を発表し、すべての意見を聴いた後でGoogleフォームで投票を行うことになります。

 中村先生は授業のなかで「Geminiの導き出したものがすべて正解ではない」「Geminiの出してきたことをそのまま鵜呑みにしない」「Geminiは助手であってリーダーではない。主体はあくまで皆さんです」と生徒たちに伝えていました。こうして助手として生成AIを使うという体験をしていくことは本当に大切だと感じました。

 No.2に続きます。

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(為田)