2026年1月24日に192Cafe公開イベント #7「私立小×探究 -『探究』はこれからの学びなのか?」が、株式会社インプレスにて開催されました。192Cafeは、私立小学校の先生方を中心としたコミュニティで、為田は事務局としてお手伝いをさせていただいています。
192Cafeの公開イベントでは、毎回大きなテーマを設定しているのですが、今回のテーマは「探究」です。探究にすでに取り組んでいる学校だけでなく、「これからやらなければ」と思っている学校もたくさんあると思います。多くの学校の探究の実践が共有され、そこから共通点が見えてきたらいいなと思っていました。

今回、僕はMCとして全体の進行を務めていましたが、瀬戸SOLAN初等中等部の三宅貴久子 先生と、開智学園総合部の有田祐介 先生と、ヒロック初等部 代々木校の五木田洋平 先生が登壇するシンポジウム「『探究』はこれからの学びなのか?」でモデレーターをすることとなっていたので、まずはその3人の先生方の基調講演と探究実践発表を聴きながらしたメモを共有したいと思います。
三宅貴久子 先生(瀬戸SOLAN初等中等部副校長)のお話から
最初に瀬戸SOLAN初等中等部の三宅貴久子 先生による基調講演が行われました。最初から、探究とは「人生」とおっしゃっていて、だからこそ「個人探究を突き詰めたい」という言葉がすごく印象的でした。
- 探究とは「人生」
- 学びは個からスタートして、個に終わる。
- だから、個人探究を突き詰めたい。SOLANは始めるときに個人探究で行くと決めた。
- 社会構成主義を学んだことも大きい。そもそも子どもは外界に働きかけていく存在。先生が働きかけていくから、お利口さんになってしまう?
- 教師はリソースのひとつである。
- これが自分の問いだよね、と見つけていく。
- 子どもの興味関心は一人ひとり。
- 学習環境の大事さ。教室、実験器具、広大なスペース…
- どんな力がついたんですか?と保護者に言われる
- 個人探究の成果は数値化できない
- なんとなく成長しているのは感じてるが、「何が」というところがもやっとしている。
- どういう説明に納得してもらうかを考えないといけない。
- 5年生の個人探究
- 「自分の言葉で」、わかってもらうために言葉を尽くしている感じ(やらされてないし、課題感でもない)
- スライドは文字ばかりだけど、その裏側に彼が考えてきたことが詰まっていると思う。
- 自分の探究に誇りをもっている
- 「個人探究」と「チーム探究」という言い方をしている
探究って、グループワークで何らかの課題に向き合う、という形でしている学校も多いように思いますが、「個から始まり、個に終わる。徹底的に個人探究」と言う三宅先生の言葉に僕は揺さぶられました。
瀬戸SOLANについては、「この本に全部書いてあります」と三宅先生がおっしゃって紹介していました。改めて読んでみようと思いました。
有田祐介 先生(開智学園総合部 副校長)のお話から
続いて、分科会形式で行われた、開智学園総合部の有田祐介 先生の探究実践発表を聴きました。瀬戸SOLANの個人探究と同様に、個人で探究する「パーソナル」にとても惹かれました。
- 教育理念「国際社会に貢献する、心豊かな、創造力・発信力のあるリーダーの育成」
- 2004年開校 開智学園総合部
- 1学年120人
- 4-4-4の12年一貫教育で、1年生から8年生が、「開智学園総合部」。
- 異学年齢学級
- 1学年10名×4学年=40名の「TEAM」(Team AからTeam Kまで11チーム。Team A Appolon、BがBellona、CがCassiopeia、みたいな)
- 朝のホームルームはTEAMで行い、そこから学年ごとに分かれて学ぶ。
- 「探究」の目的
- 子どもたちの「育つ」力を「育てる」
- 先生たちは、子どもを育てようとして、「これをやらせよう」「こういう学習をさせよう」となってしまう。
- 子どもは「育つ」もの。大人がいちばん邪魔しているのかもしれない。「やらなきゃいけないもの」と子どもたちが認識してしまう。
- 探究学習
- スタートは子どもの興味関心・好奇心(知りたい!やってみたい!)→なんでだろう?こうなのかな?→調べる・検証する(子どもたちが自分たちで知りたいことなら、「やるな」って言ってもやる)→振り返る・発表する(伝えたい!もっと知りたい!)
- 開智の「探究」実践紹介
- パーソナル(1~4年・週2コマ)
- かつては週4コマあったらしい
- みんなやることが違う。
- 1年の最初に、「今年はどんなことをやるか」を自分で決めている。変えてもOK。
- 現状は何でもOK。プログラミングしたり、コマを練習したり、プラモデルを作ったり、ダンスの練習をしたり。
- TEAMの教室でパーソナルは学んでいる。1年生が隣で4年生が取り組んでいることを見られたりもする。
- 1年の最初に、やっているパーソナルを紹介する。やりたいことがない、ということはない。
- 自分で選択することの重要性、学ぶことは楽しいという感覚。=学びに向かう主体性を育てている。
- 探究発表会(1~4年・毎年9月)
- TEAMの上級生の発表が見本になる。
- 探究(5~8年・週1コマ)
- 2~3人のグループでやっている
- 自ら「探究テーマ」を設定し、1年かけて仮説検証型の学びを深める。2月に「開智発表会」でプレゼンテーション。
- 受験がないぶん、「深く学ぶ」→「幅広く学ぶ」(深く掘れば掘るほど、広がっていく)
- 自分の得意を深めていく活動になる。
- フィールドワーク(1~8年・毎年1回)
- 1年生から毎年テーマを変えて実施している。
- 1年生「自然」、2年生「雪国」、3年生「食」、4年生「ものづくり」、5年生「磯」、6年生「地域」、7年生「森」、8年生「探究」
- 8年生では集大成となる「探究フィールドワーク」
- 探究とは?
- 探究=「育つ」力を育てる。そのために、「学ぶ」=「楽しい」。
- 探究力を育てるための「型」
- 興味関心→疑問→予想(仮説)→検証→プレゼン
- 自ら課題を設定し、諦めずに立ち向かう姿勢、主体性。時代や価値観が変わっても、自ら学び続ける力になる。
「探究」の目的を、 子どもたちの「育つ」力を「育てる」こと、とおっしゃっていたのが印象的でした。パーソナルは異学年齢学級であるTEAMの教室絵やっている、というのもいいなと思いました。何かに没頭して探究している先輩の姿を見られるのって、学校ならではの良さだなと感じました。
五木田洋平 先生(ヒロック初等部 代々木校スクールディレクター)のお話から
もうひとつ、分科会形式で行われた、ヒロック初等部 代々木校の五木田洋平 先生の探究実践発表を聴きました。ヒロック初等部でも、「個人探究」というコンテクストでは「マイプロ」という活動があります。五木田先生がおっしゃっていた、「探究を相互に承認している、尊重している、ということが大事」というのはとてもいい言葉だなと思います。子どもたち同士での相互の承認、相互の尊重。子どもたちと先生の間での相互の承認、相互の尊重。そういうのが土壌にあることが大事だなと思いました。
- 「余白」が好き
- ヒロックの様子
- 1校舎 20~25名くらい
- 目指していないこと:二次障害
- 大事なのは、「自分の人生を生きる」ということ
- 自分本位でわがままで、というのではない。自分だけじゃだめ。
- 探究を相互に承認している、尊重している、ということが大事。
- HowToよりも、「どこに行きつくんだろう」ということを共有する。
- 好きなことって、見つかるの?
- 半分はゲーム。あとは「思いつかない」
- マイプロのテーマ
- 本当に多様:ゲームやってる、折り紙やってる、将棋やってる…
- 「いつやめてもいい」というのが大事だと思う。
- 衝動から始まる。
ヒロック初等部 代々木校は実際に授業を参観させていただいたことがあるので、レポートへのリンクを貼っておきます。
blog.ict-in-education.jp
シンポジウム「『探究』はこれからの学びなのか?」
瀬戸SOLAN初等中等部の三宅貴久子 先生と、開智学園総合部の有田祐介 先生と、ヒロック初等部 代々木校の五木田洋平 先生が登壇するシンポジウム「『探究』はこれからの学びなのか?」でモデレーターを務めさせていただきました。

最初に3人の先生方にお願いしたのは、先生方が見た子どもたちが探究している、と感じた場面を教えて下さい、ということでした。当日、三宅先生にも有田先生にも「それはめちゃくちゃ難しい問いだし、探究をどう捉えるかによるよね…」と言われたのですが、皆さんきちんとエピソードを紹介してくださいました。そこから、探究をするのに大事なことが見えてくるような気がしています。
- 時間を忘れて没頭している
- 開智学園総合部では、パーソナル(個人探究)の時間がいちばん静か
- 教員の目を盗んででもやりたいこと
- 教員の予想を超えてくる。
- フライドポテト作りに取り組んでいた子に、プログラミング大好きな子が仲間として参加。「レシピってプログラミングだな」と。
- 教科の中での探究から始まり、教科の外へ出ていく。
ここから、三宅先生、有田先生、五木田先生がどんどん話を繋げてくださって、後半には「子どもたちが探究するために、学校は/先生は何ができるか」というところまで話が繋がっていったように思います。参加者の皆様もすごく熱心に聴いてくださっていました。

僕自身は、「もっと自分の仕事の範囲で、子どもたちの“探究”できる場を増やしていこう」と強く思いました。特に「個人探究」という言葉が強烈に頭に残っていて、もっともっと考え続けたいなと思いました。
(為田)
