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京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート(2025年11月26日)

 2025年11月26日に京都教育大学附属桃山小学校を訪問し、4年1組と4年2組のメディア・コミュニケーション(MC)の時間に「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業を担当させていただきました。株式会社クリエイティブシフトが開発した「プレゼンテーション・パターン」を、「パターン・ランゲージ授業づくりパートナー」である弊社フューチャーインスティテュートが授業で使いやすいように教材設計して活用しています。
 教材として使う「プレゼンテーション・パターン」には全部で34のパターンがありますが、そのなかから京都教育大学附属桃山小学校の4年生が実践しやすいと思った「メインメッセージ」「心に響くプレゼント」「ことば探し」「適切な情報量」など9つのパターンを選んで「プレゼンテーションのコツ」として紹介しました。プレゼンテーションを聴くときやプレゼンテーションを自分でするときの評価の軸として多様なパターンを知ってほしいので、あえて多様なパターンを選ぶようにしています。

「プレゼンテーションのコツ」を知り、プレゼンテーションを評価する

 授業の最初に、パターンが書かれたカードを1枚ずつ大きく映して、パターンのタイトルと意味を紹介します。それぞれのパターンについて子どもたちが理解しやすいようなエピソードを加えながら説明していきます。

 この後で、僕が「昔はジョギングが好きではなかったけど、いまは好きだ」ということを伝える簡単なプレゼンテーションを子どもたちに対して行って、さっき紹介した「プレゼンテーションのコツ」が使われていたかどうかを評価してもらいます。

 「プレゼンテーションのコツ」のカードを並べたワークシートを、ロイロノート・スクールで子どもたちに配布して、僕のプレゼンテーションで「できていたコツ」と、僕のプレゼンテーションを「もっとよくするコツ」について、それぞれパターン・カードを選んでコメントを書いてもらいました。「ひとりひとりに」「適切な情報量」「ことば探し」などのパターンが書かれたカードを選んだ後、なぜそのパターンを選んだのかを具体的にコメントを書いてほしい、ということを伝えます。子どもたちには、僕のプレゼンテーションを題材にして「もっと良くするにはどうすればいいか?」という建設的なコメントを出すことを練習してもらいたいと思っています。ロイロノート・スクールで、自分でオリジナルのカードを作って提出してくれた子もいました。

 子どもたちはパターン・カードを選び、その横に具体的なコメントを書いて提出してくれました。たくさん書いてくれた「もっとよくするコツ」の一部を紹介します。

  • メインメッセージ
    • 何を伝えたいかが、わからなかったです。なので、一番伝えたいことをすっきりと教えてほしいです。
    • 結局のまとめのようなものがなかったから、結局は何をいいたかったのかがあまりわからなかった。
    • ジョギングが楽しい事、ジョギングが好きな事がプレゼンでよく分かった。でも、昔嫌いだったことでも好きになれるということがメインメッセージならジョギングの事と違うから、もし、昔嫌いだったことでもすきになれるなら、ジョギングの話が多すぎると思いました。
  • 心に響くプレゼント
    • 自分たちにどうしてほしいのかは、僕には伝わりにくかったかも
  • 成功のイメージ
    • どういうふうに面白がらせたいのか、やってほしいのかがあやふやだから。
  • 適切な情報量
    • もうちょっと、文を入れたらわかりやすいと思います。
    • 文章が少なく写真などが多かったので、そこを気をつけてほしい。
    • 一つのページに書く文章が少なくて、逆に見えにくいから足した方がいいと思いました。
    • もう少し字を書いた方が分かりやすい。
    • 言う文章を全部書いている。言うより早く読んでしまう人もいるかもしれないので、大事な文章を赤にするとかを意識したらいいと思います。
  • イメージの架け橋
    • 例えがなく、想像しにくいところがあった。
    • わかりやすいように表現ができていなかった
  • メリハリ
    • 間の開け方で大切な部分は大きい声で、あと言う前、言った後に間を開けるともっと良くなると思います。
    • こえのおおきさがおなじだったので、かえたほうがいいとおもいます。

 ロイロノート・スクールの提出箱で回答を共有しているので、クラスメイトが書いたコメントを読むこともできます。プレゼンテーションの評価は絶対的な正解があるわけではないので、同じプレゼンテーションを聴いても、あるコツを「使えている」と評価する子も「使えていない」と評価する子もいます。
 評価が分かれるところも含めて、プレゼンテーションを評価する経験を積んでいくことで、プレゼンテーション・パターンを自分のものとして使えるようになっていき、自分たちのプレゼンテーションをより良くするために使えるようになっていくと思います。

4年1組:自分で使いたいコツを考え、プレゼンをブラッシュアップ

 4年1組の授業の後半では、 自分で使いたいコツについて考えてもらって、それもロイロノート・スクールで提出してもらいました。

 その後で、農家宿泊体験学習について3年生に伝えるプレゼンテーションをブラッシュアップする時間をとりました。10月に参観させていただいた授業の後、実際に3年生にプレゼンテーションをしたものの、その成果に満足できていないので再挑戦したい、ということでした。
 さっき紹介したプレゼンテーションのコツを使ってグループで自分たちのプレゼンテーションを見直していました。あちこちのグループに呼ばれて、「うちのグループのメインメッセージって、何だと思いますか?」「この文章で、メインメッセージって伝わりますか?」というふうにたくさんの質問をもらいながら、プレゼンテーション作りに参加させてもらいました。

4年2組:たくさんの質疑応答をしてから、プレゼンをブラッシュアップ

 4年2組の授業では、僕が「プレゼンテーションのコツ」を紹介している途中から、質問の手がたくさん挙がったので、できるだけたくさんの質問に答えていくことにしました。質問と回答を自分なりにまとめている子どもたちがたくさんいました。

 4年2組も、農家宿泊体験学習について3年生に伝えるプレゼンテーションをブラッシュアップするためにプレゼンテーション・パターンをさっそく使っていきます。ロイロノート・スクールで配布したプレゼンテーション・パターン・カードを開きながら、グループごとにプレゼンテーションの内容を見直していました。

担任の先生方からいただいたフィードバック

 授業終了後に、4年1組の担任である稲垣希望 先生と4年2組の担任である栗山敬悟 先生からフィードバックをいただきました。

  • 4年1組 稲垣先生
    • カードが視覚的にわかりやすくてよかった。
    • プレゼンのよかったところ・なおすところをカードを見ながらやっていた。
    • プレゼンテーション作りの指針になりそう。
    • MC(メディア・コミュニケーション)だけで終わらずに、相手に伝えるというところに繋がりそう。
  • 4年2組 栗山先生
    • カードがあることで、自分で見ながらプレゼンを直している子がいた。
    • プレゼンテーション・パターンが共通言語になる。
    • 「メインメッセージは…?」と言いながらグループワークしていたのがよかった。
    • プレゼンテーション・パターンを使う前と使った後で、プレゼンテーションのBefore/Afterを作ってみたらいいかも。

メディア・コミュニケーション(MC)での学びがあるからこその成果

 今回のプレゼンテーションのコツを学ぶ授業は、京都教育大学附属桃山小学校が研究開発している、情報教育を中核とした新教科「メディア・コミュニケーション(MC)」の時間に行いました。メディア・コミュニケーション(MC)には、低学年・中学年・高学年のそれぞれを対象にした教科書もあります。3年生・4年生の教科書でも、「5 プレゼンテーションで考えを伝えよう」という章で、プレゼンテーションについて学んでいます。

 すでにメディア・コミュニケーションの授業で、1年生のときからプレゼンテーションだけでなく、気持ちや思いや考えを伝えることをずっと体系立てて続けているからこそ、この日僕が紹介した「プレゼンテーションのコツ」についてもすぐに理解してくれたし、すぐに自分たちのプレゼンテーションへ反映することができていたように思いました。
 京都教育大学附属桃山小学校の子どもたちが、メディア・コミュニケーション(MC)の授業でずっと学んでいる基盤の上に、今回の授業で紹介したプレゼンテーションのコツが組み合わさって、人に何かを伝えることに向き合っていってくれたらいいなと思います。

(為田)