2025年12月3日に戸田市立笹目中学校を訪問し、伊藤悠太 先生が担当する2年3組の社会「欧米の進出と日本の開国」の授業を参観させていただきました。伊藤先生が授業の最初に「幕末、なぜヨーロッパがアジアに来たのか、周りの人と話し合ってください」と言うと、奴隷や植民地などという言葉が教室のあちこちから聞こえてきます。そこから、ヨーロッパでの産業革命、市場としてのアジア・アフリカ、というふうに伊藤先生がキーワードを伝えて、伊藤先生がiMovieで自作した動画「欧米の進出と日本の開国」をみんなで見ます。黒船の写真などがたくさん使われていて、生徒たちの興味を惹く映像になっていて、授業そのものへの導入としても効果があったと思います。また、「動画を作る」ということが生徒たちに身近に感じられるのも良い効果だと感じました。

「小学校の社会の授業では“ペリーが来て江戸幕府が滅亡した”というところまで勉強していますね。しかし、ペリーが来ただけで260年続いた江戸幕府が滅亡したわけではありません」と伊藤先生は言います。伊藤先生は単元を貫く問いとして「なぜ江戸幕府は260年も続いてきたのに滅亡したのだろうか?」と提示して、「なぜ江戸幕府は滅亡してしまったのか、詳しく考えていきましょう」と言います。

これから生徒たちは5時間かけて、「なぜ江戸幕府は260年も続いてきたのに滅亡したのだろうか?」という問いに取り組みます。伊藤先生はホワイトボードに5時間のスケジュールを映して説明します。
最初の3時間で、江戸幕府が滅亡した理由を考えるための材料を調べて、Canvaでプレゼンテーションにまとめていきます。伊藤先生は、「一言で言えるような正解は教科書のどこにも書いていない」「一人ひとり重要だと思うことが違っていいと思う。ポイントは複数の視点で考えられるかです」と言います。
江戸幕府が滅亡した理由を調べる過程で、生徒たちはAIを使うことも認められています。伊藤先生は「AIの使い方は、いつも言ってるけど注意してください。“AIはこう言ってるけど、自分はこう思う”というふうに使ってください」と言って、AIによる答えを丸写しすることなどは認めないということを注意していました。

その他、教科書にプラスして勉強したい人向けとして、伊藤先生が用意してきた書籍が教室の後ろに置かれていました。教科書・資料集・インターネットに加えて、これらの書籍も使用して、江戸幕府が滅亡した理由を考えていきます。

生徒たちには、この単元「欧米の進出と日本の開国」をまとめたワークシート「学びの地図」がロイロノート・スクールで配布されていました。
生徒たちは最初に、単元を貫く問い「なぜ江戸幕府は260年も続いてきたのに滅亡したのだろうか?」に対する考え(予想)を書きます。

予想を書いたら、さっそく調べていきます。教科書や資料集、サイトを見ながら、ロイロノート・スクールにまとめている生徒が多かったと思います。いきなりCanvaに書き始めている生徒もいました。

Google検索でキーワードに「江戸幕府が滅亡した理由」と入れれば、AIがまとめた概要として詳細な説明が出てきます。AIが出してきた概要を読みながら、どの部分が自分自身の問いに答えてくれるのかを読み解き、まとめていかなくてはなりません。また、AIが出してきた概要のどの部分を自分の興味関心と結びつけるのか考えることも求められます。そのために、生徒たちは検索結果だけでなく、教科書や資料集や他のサイトを読み込むことが必要になります。

生徒たちがすごく教科書をよく読んでいると感じました。デジタルを使いながら、教科書にマーカーを引いたり、ノートにまとめている生徒もいます。
ロイロノート・スクールをはじめデジタルで調べたことをまとめるときには、どうしても文章になってしまい、ただ書き写すだけになってしまいがちです。より自由な表現をするためにノートで手書きで書いてまとめる、という生徒もいるだろうなと思います。

伊藤先生は教室を見回りながら、生徒たちにどんどん声をかけていきます。生徒たちが教科書などを見て自分なりに書いた文章を読んで、「これって、どういうことなの?」というふうに問いを明確にしたりするのは、先生にしかできない役割だなと感じます。

授業の最後の5分間で、ワークシート「学びの地図」にこの日のふりかえりを書きます。伊藤先生は、「今日やった自分の取り組みと、“次回こういうことを調べよう”という見通しを書いてください。忘れちゃうので、記録として書いておいてください」
授業後に伊藤先生にお話を伺うと、年に何回かこうして大きいテーマに取り組む授業をしているそうです。教科書に載っていることに限定されず、いろいろな要素を組み合わせて取り組まなければならない問いだと、より深く学ぶことができると感じました。
No.3に続きます。
(為田)