2026年1月23日に東福岡高等学校を訪問し、今井孝治 先生が担当する国際教養コース 1年20組の論理表現の授業を参観させていただきました。オール・イングリッシュで行う今井先生の授業は、言葉も表情もとても明るく、英語でのコミュニケーションを楽しめる雰囲気があります。
授業は、2つのWarm-Up活動から始まります。1つめのWarm-Upは、生徒たちがペアになって「Concentration 64」(参考:こんな感じのゲーム)です。リズムに合わせていろいろなボキャブラリーを言い合っていくのが楽しそうな活動です。
2つめのWarm-Upは、自分のiPadのカメラロールを開いて、20秒で写真を選んで、その写真について英語で語る「Quickプレゼンテーション」です。生徒たちのカメラロールにはさまざまな写真が入っています。今井先生は、「何の写真でもOKです。ただFactを伝えるのではなく、Narrativeに語ってください」と生徒たちに言います。自分が撮影した写真だと、「語りたい!」と思えるものが多いので、拙くてもいいのでとにかく英語でアウトプットしよう!という生徒のモチベーションが上がると思います。

Warm-Upの活動の後で、今井先生は生徒たちに2つの問いかけをしました。1つめの問いは、「How long do you use your smartphone and spend watching SNSs in a day?」というものです。
この問いを見て、生徒たちは「どれくらいだろう…?」「何を使ってるだろう…?」と考えます。生徒たちに聞いてみると、「4 hours」と「more than 5 hours」という答えがいちばん多かったようです。

続けて今井先生が提示した2つめの問いは、「People on social media judge content and profiles in ______ on average.」というものでした。ソーシャルメディアでコンテンツやプロフィールを平均どれくらいの時間で判断するでしょうか、という問いは、さまざまなSNSをやっている生徒たちにとっては身近なものです。自分でもコンテンツを見てスクロールしたりスワイプしたりするときにjudgeをしているはずなので、みんなが興味をもって考え、語れる問いだと思いました。
今井先生が生徒たちに予想を訊いてみたら、「10分」「5分」「2秒」「1秒」とさまざまな予想が出てきましたが、正解は「0.8秒」でした。驚きの声をあげる生徒たちに今井先生は「Is it good thing? Do we view the world through a 0.8-second lens?(たったの0.8秒のレンズを通して世界を見るの?)」と問いかけます。これは、オンラインコミュニケーションが増えていく高校1年生の生徒たちにとって、考えるに値する問いであると同時に、生徒たちが「自分はこうだ」と英語でアウトプットしたくなる問いだと思います。

さらにその後、今井先生は「True wisdom isn’t found in a scroll(本当の知はスクロールのなかにはない)」というメッセージを生徒たちに伝えます。このメッセージが、とても英語っぽい表現でいいなと思いました。日本語訳で言われてもあまりピンとこないけど、英語だと伝わる感じが好きです。メッセージとしてあちこちで言いたいな、と思いました。

だからこそじっくりと思考を深める過程を楽しもう、ということで3学期のテーマが「ART」であることを紹介します。Art appreciation(芸術鑑賞)をすることを今井先生が伝えて、その1回めとしてモナリザを鑑賞することを伝えます。
今井先生はモナリザの絵をスクリーンに映して、「Is this person happy, sad, angry, etc.? Why?」と問いかけます。今井先生は芸術鑑賞は主観的なものだ、と生徒たちに伝えます。主観的なものだから、「There is no single answer on art appreciation.」「There is no correct answer on art appreciation.」と言い、「手」や「髪」など何かに焦点を当てて鑑賞するとよい、ということを伝えて、生徒たちにペアになって「どう感じるか」を話し合う時間をとります。

その後も、いろいろな作品を見ながら、ハーバード教育大学院の「プロジェクト・ゼロ」によって開発された思考ルーティンの「See-Think-Wonder」を紹介します。ART作品を見ながら、「何が見えるか?(See)」「何がおこっていると思うか?(Think)」「不思議に思うことは何か?(Wonder)」ということをペアワークで考えて、発表してもらいます。

ペアワークで、お互いが「見えること(See)」「思ったこと(Think)」「不思議に思うこと(Wonder)」を伝え合うことは、生徒たちにとって楽しみながら英語表現を身につけられ、かつ論理的思考を促す活動だと思いました。

Warm-Upから最後のシンキングルーチンを使ったペアワークまで、さまざまな活動を行う授業でしたが、高い英語力と論理的思考・創造的思考が求められる授業でした。その中で、授業を通じて今井先生が作る明るい雰囲気が心理的安全性を作っていました。だからこそ、生徒たちは英語を話すことの楽しさを感じられるし、「失敗しても平気だからトライしよう」という雰囲気があって、生徒たちが英語でのアウトプットを楽しめる授業になっていたと思います。
No.3に続きます。
(為田)