2026年2月12日と13日に宮城教育大学附属小学校を訪問し、6年生の4クラスで「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業を担当させていただきました。宮城教育大学附属小学校は、「主として学習の基盤となる資質・能力の育成に向けた教育課程に関する研究開発」を研究開発課題とした文部科学省研究開発学校に指定されています(令和5年度~令和8年度)。「小学校情報科」を科目として設定していて、「学習の基盤となる資質・能力」を育成する取り組みをしている小学校です。どのクラスでも授業の最初に「プレゼンテーションは好きですか?あまり好きではないですか?」「プレゼンテーションは得意ですか?あまり得意ではないですか?」というふうに質問をしましたが、プレゼンテーションに積極的に取り組んでいる子どもたちが多い印象を受けました。

授業で紹介する「プレゼンテーションのコツ」は、株式会社クリエイティブシフトが開発した「プレゼンテーション・パターン」を、「パターン・ランゲージ授業づくりパートナー」である弊社フューチャーインスティテュートが授業で使いやすいように教材設計したものです
「プレゼンテーション・パターン」には全部で34のパターンがありますが、そのなかから6年生にわかりやすく実践しやすいと思われる「メインメッセージ」「心に響くプレゼント」「ことば探し」など8つのパターンを選んで「プレゼンテーションのコツ」として紹介します。プレゼンテーションを聴くときやプレゼンテーションを自分でするときの評価の軸として多様なパターンを知ってほしいので、あえて多様なパターンを選ぶようにしています。
Googleスライドでパターンが書かれたカードを1枚ずつ大きく映して、「プレゼンテーションのコツ」としてパターンのタイトルと意味を紹介して、それぞれのコツについて子どもたちが理解しやすいようなエピソードを加えながら説明していきます。

僕の「プレゼンテーションのコツ」についての説明を聴きながら、Google Keepでメモをとってくれている子もいました。メモのとりかたもそれぞれに工夫をしてくれています。

「プレゼンテーションのコツ」を紹介した後で、僕から生徒たちに対して“たくさんの「好き」を見つけよう”というタイトルの簡単なサンプルプレゼンテーションをします。
紹介した8つの「プレゼンテーションのコツ」を知ったうえで、他者のプレゼンテーションを聴く体験をしてもらって、プレゼンテーションのどんなところに注意がいくのか、もっとプレゼンテーションを良くするためにどんなふうにコメントすればいいのかを体験してもらうことがねらいです。

サンプルプレゼンテーションを聴いてもらった後で、クラス全体で共有するGoogleスライドにアクセスしてもらって、自分の出席番号のページに移動してもらいます。
自分のページに置かれている「プレゼンテーションのコツ」が書かれたカードを使って、サンプルプレゼンテーションで「できていたコツ」と「もっとよくするコツ」を教えてもらいます。「プレゼンテーションのコツ」を選ぶだけでなく、その横にコメントを書き込んでもらいます。
共有のGoogleスライドを使っているので、他のページを見ればクラスメイトがどんなことを書いているのかもわかります。自由にページを行き来しながら、自分の言葉でコメントを書いてもらいます。コメントまで書けない子には、「カードを選ぶだけでもいいよ」と伝えています。具体的なコメントまでいきなり書けなくても、最初はカードを選ぶだけでもいいと思っています。

「もっとよくするコツ」として子どもたちが選んでくれたカードと、それにつけたコメントの一部を以下に紹介します。
「こういうふうにしたらいいと思う」というのが具体的かつ建設的に書けている子が多かったと思います。「プレゼンテーションのコツ」が書かれたカードがきっかけになって、子どもたちは具体的なコメントを書きやすくなるように思います。
- メインメッセージ
- メインメッセージがどこからどこまでなのかが少し分かりづらかったのでもう少しはっきりしたほうがいいと思います。
- 最後の方になると結果どういうことなのかわからなくなった。
- 色々なことを伝えられてメインメッセージが少し分かりにくかったです。
- ことば探し
- 好きというテーマだから「好き」という言葉がたくさん出てくるのは、わかるけれど、もう少し他の言葉を使っても良いと思いました。
- みんなが知っているような言葉だけだったのでちょっと難しい言葉を言って説明をしたらいいと思います。
- 「好きは世界を広げる」という言葉はとてもよかったし、例えもうまかった。ところどころあやふやな部分があるように感じた。断言する場所を増やしてもいいように感じた。
- 適切な情報量
- スライドに書いてある情報は適切でわかりやすかったけど、喋りすぎてしまう場面などがあったので減らしたらもっと分かりやすくなると思います!
- 話+スライドショーだと分かりやすいですが、スライドショーだけ見ると「どう捉えればいいんだろう」と少し迷ってしまうかも、と思いました。
- 図や写真が少なすぎて分かりづらかったです。あといろいろな情報がたくさん出てきて、メインは分かったけどその説明みたいなものが分かりづらかったです。
- 図のチカラ
- 図が少し少ない気がしました。1つ1つの情報量が良い感じだったので、少し言葉を減らして、1つ2つくらい図が増えるとよいのではないでしょうか。
- すべて箇条書きではなく、もう少し頭を使ってぱっと見やすいようにしてほしいです。読むのに夢中になって、聞くのに集中できないんです。
- 図が少なかったのでスライドがなくても良くなってしまっている。
- 自分だったらもっとイラストを足していた。
- 矢印によって変化があったらいいと思います。
- メリハリ
- もう少し、表情の変化や声の調子を変えてみたほうがいいのかなと思いました。
- 速さはできていたけど声の大きさはあんまりできていなかったんじゃないかと思います。
- 話すのが早くて頭がこんがらがってしまった。
この時期、子どもたちは総合的な学習の時間「いずみタイム」でSDGsについて調査をして、その成果を報告するプレゼンテーションのスライドを作り、クラスでプレゼンテーションも実施していました。授業の最後に答えてもらった “これから使ってみたい「プレゼンテーションのコツ」” には、「いずみ」の時間にやっているプレゼンテーションと結びつけて考えている子が多くいました。書いてもらったコメントの一部を紹介します。
- メインメッセージ
- いままでは結局何を伝えたいかがあまり明確になっていなかったから
- プレゼンの際に相手が今何の話をしているのかを理解してもらえるようにする
- メインメッセージを使うことで相手にわかりやすく伝えられるのではないか。また、言いたいことを絞れて調査などをはじめやすいから
- 自分が一番伝えたいことから、離れずに聞いてもらえるよう、頑張りたいです。
- たくさんのことを話しすぎて迷子になってしまうことがよくあるから
- 自分はプレゼンをするとどんどん話がズレていってしまうから、何を伝えたいかを明確にして、その伝えたいことを強調するスライド、話し方にしたい。
- 私は、いつも説明が堂々巡りでくどくなってしまう為、メインメッセージを決めて、堂々巡りしないようにプレゼンをしたいです。
- 話しすぎて本題を忘れることがあるからしっかりとメインメッセージを守る
- 調べたことをなんとなく話すのではなく、相手に伝えたいことをはっきりさせてプレゼンしたいと思いました。
- メインが伝わらなかったら、どれだけ説明を頑張ってもあやふやになってしまうと思ったから
- いずみのスライドで、何を伝えたいのと言われたときに自分で答えられないなと思ったので意識してスライドを作りたいです。
- 心に響くプレゼント
- 緊張してしまってプレゼンのときにいつも相手の顔が見れなかったりしてしまうので、ただ伝えようとするのではなくプレゼントを届けるような気持ちでプレゼンをしたいなと思ったからです。
- 相手のことをあまり考えていなかったので、相手の気持を考えたいです。また、その言葉を言われて、何を想像してほしいかをわかりやすくイラストで表したいです
- 適切な情報量
- 無駄に図や文章が多いスライドを作ることがあるから
- 私は伝えたいことがたくさんあってスライドのページがギチギチになってしまう事がよくあります。なので見る人が見やすいような情報量を調べたいと思いました。
- 調べたことをたくさん使いたくなって事実や事例のスライドばかり多くなってしまうから、メインメッセージを決めて、その周りに言葉を付属するって感じで簡潔に、わかりやすく伝えられるようにしたい。
- よく文章が多すぎて何を伝えたいのかが最後わからなくなってしまうことがよくあるので適切な情報量が必要だと思いました。
- いずみの時間で、前発表したのですが、その時に、「時間が長いね」と苦笑いされたので、自分で、必要な情報となくても良い情報を見分けたいと思いました。
- ことば探し
- 一つの言葉から相手が考えることと自分が考えることが一緒なのかというところを詳しく考えて言葉を選びたい。
- 難しすぎる言葉でも伝わらないと思うから事例やわかりやすい言葉を使う。
- 図のチカラ
- 具体的な数値だけじゃなくて、どのくらい増えているのかなどのグラフや身近に感じたきっかけなどの画像を足したほうが、わかりやすいと思いました。
- ひとりひとりに
- スライドの画面を見て話す癖があるから

情報活用能力について学んできている6年生だからこそ、「プレゼンテーションのコツ」を実践的にどう自分に活かせばいいのか、ということをすぐに考えられていたように思いました。子どもたちが、プレゼンテーションで他者に何かを伝えることの楽しさと難しさを知ってもらえたらいいなと思います。
No.2に続きます。
(為田)