教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

パターン・ランゲージの国際学会 AsianPLoP 2026 レポート(2026年3月27日~29日)

 2026年3月27日から29日の3日間、三菱電機株式会社のDXイノベーションハブである「Serendie Street Yokohama」で開催されたアジアでのパターン・ランゲージの国際学会 AsianPLoP 2026に参加してきました。AsianPLoPは「Pattern Languages of Programs, People, and Practices:プロップ)」会議のアジア版で、パターンの著者やパターン・ランゲージに興味がある人たちが参加する国際学会です。今回、慶應義塾大学の井庭崇 先生からお声掛けいただいて、はじめて参加させていただきました。
 弊社フューチャーインスティテュートは、「パターン・ランゲージ授業づくりパートナー」としてパターン・ランゲージを使った授業の学校への導入を進めていますが、改めて「パターン・ランゲージとは何か?」「パターン・ランゲージはどのように作られ、使われているのか?」ということを知り、考える機会になりました。

plopcon.org

 3日間のスケジュールのなかで、招待講演、ライターズ・ワークショップ、プレゼンテーション、ポスターセッション、フォーカスグループなどさまざまな活動が組まれていました。自分自身の知見をどのようにこのコミュニティに還元できるのだろう、と考えながらいろいろと参加させてもらいました。

 招待講演では、さまざまな場面でパターン・ランゲージがどのように使われているのかを知ることができました。
 ライターズ・ワークショップでは、投稿された論文をみんなで読んでより良くしていくプロセスを体験することができました。個人的に、学校でのグループワークや、教員研修でのワークショップでも使えそうなワークショップのノウハウが参考になりました。改めて整理して、自分でも実践してみたいと思っています。
 英語と日本語で行われたプレゼンテーション、ポスターセッション、フォーカスグループでは、自分たちが実践しているのとは全然違う、さまざまなパターン・ランゲージの活用について知ることができて勉強になりました。

プレゼンテーション:「小学校・中学校におけるパターン・ランゲージの導入事例」

 為田は3月29日のプレゼンテーション・トラックに登壇させていただきました。15分間のプレゼンテーションと5分間の質疑応答という時間配分で、パターン・ランゲージの方法論、理論・思想、ケーススタディ(活用事例)などを紹介できる時間です。
 「小学校・中学校におけるパターン・ランゲージの導入事例 プレゼンテーション能力を伸ばす授業づくりを「プレゼンテーション・パターン」で支援する」というタイトルでプレゼンテーションを行いました。AsianPLoPは国際学会なので、非日本語話者の方も多く参加されていたので、大まかな情報はスライドに日英両方で映して、プレゼンテーションは日本語で行いました(英訳はCopilotに助けてもらいました)。

 今回のプレゼンテーションの準備の過程で、井庭先生から「世界中でパターン・ランゲージは使われているが、そのなかで日本では教育や福祉の領域でパターン・ランゲージが使われている場面が多い」ということを聴いていたので、学校現場でパターン・ランゲージを使うことでどのような可能性があるのか、ということを伝えようと思ってプレゼンテーションを準備しました。
 特に、小学生や中学生にどのパターンを紹介するのか、どんな観点でパターンを選ぶのか、どのようにパターンを伝えるのか、ということを実践として伝えていきました。僕は、相手が小学生や中学生だからといって、パターンの名前を子どもたち用に作る必要はないと思っています。それよりは、そのパターン名を子どもたちに納得してもらえるように伝えるエピソードをきちんと授業者として話せることが大事だ、ということを伝えました。

 実際に学校で行った授業事例として、戸田市立戸田第一小学校の3年生での授業生駒市立生駒中学校の3年生での授業葉山町立上山口小学校での先生方の取り組みを紹介しました。

blog.ict-in-education.jp

blog.ict-in-education.jp

blog.ict-in-education.jp

 プレゼンテーションを終えた後の質疑応答でも、実際の学校現場での活用について具体的な質問をいただくことができてよかったです。こうして発表と質疑応答をするなかで、自分が漠然と思っていたことが明確に言語化されていくことがあります。この日のプレゼンテーションと質疑応答は、まさにそういった機会になったように思います。

参加者からのフィードバックコメント

 後日、プレゼンテーションを聴いてくれていた方々にSNSを通じて「フィードバックをください」とお願いをしたところ、3人の方からコメントをいただきました。

  • 今まで上手く教えられてこなかった点がパターンランゲージという共通言語によって、生徒に届いていくという点に感動しました。
    また、為田先生のパターンを厳選して伝えている工夫やICTを活用して他者の意見を共有する工夫があらゆる世代に広めていくという点で大変参考になりました。
    今回の授業によって、生徒が授業やホームルーム等で変化していくのかなと思います。
    そうしたプレゼンテーションパターンがもたらす継続的な変化という点に関心があります。(井上渉太 さん)
  • 共感しました。プレゼンテーションを教えることは、大人でも恐らく、プレゼンテーション能力を伸ばす、トレーニングを経験している人は、まだまだ少ない。まして、それを大人ではなく、小中学校の生徒に教えることは、なお更、難しい。小中高生に教えることが出来るスキルや経験値がある先生や大人は、稀であるだろうと感じました。(五十嵐篤 さん)
  • すばらしいご発表でした。パターンをどう作るかではなく、パターンをどう使うかについての考察が、教室の様子、教員、生徒、プレゼンのテーマなどと有機的に絡み合い、独自の実践展開になっていると感じました。私が特に共感したのは、何年生向けであっても、同じパターンを使うという点です。1年生向けだから簡単な内容のパターン表記に・・・みたいなことをしないのは本当に大事だと思います。社会も本当はそうなっていると思いますし、私も自分の授業でそのようにしてきました。(長田尚子 さん)

 ここから、これから先の実践へと繋げていければと思っています。こうして仲間が増えていくのを感じて、今回AsianPLoP 2026に参加してよかったなと感じます。

まとめ

 いまは「プレゼンテーション・パターン」と「探究パターン」がメインで、学校での実践を繰り返して知見を積み上げている段階です。下は小学校3年生から上は高校1年生まで実践してきました。学年によってパターン・ランゲージをどう受け取るかは違いますし、同じ学年でも学校によって受け取り方は違います。だからこそ、ここからはそれぞれの学校に合う形で、先生方と協力しながらパターン・ランゲージを使った学習の実践をより広く広げていきたいと思っています。

 もっとたくさんの学校でパターン・ランゲージを使ってもらえるようにしたいと思いますし、パターン・ランゲージの新しい使い方もどんどん増やしていきたいと思います。

(為田)