教育ICTリサーチ ブログ

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葉山町 情報教育研修講座 レポート(2026年7月24日)

 2026年7月24日に葉山町教育総合センターで行われた、葉山町 情報教育研修講座に講師として登壇してきました。夏休みに行われるこの情報教育研修講座は、2022年度2023年度2024年度2025年度に続いて5回目の登壇となります。

 僕は葉山町教育委員会の楽校教育推進アドバイザーとして、町内にある6つの小中学校(4つの小学校、2つの中学校)すべてを訪問して、授業も参観させていただいています。
 今年度も、7月上旬に長柄小学校と葉山中学校の2校で授業を参観させていただき、実際の授業で児童生徒がどのように学んでいるのかを自分なりに見たうえで、テーマを「小中学校における情報活用能力育成に向けて」として、内容を企画しました。

 葉山町の情報教育研修講座は150分間という長時間の講座で、時間をゆったりと使えるので、学校で児童生徒が使っているロイロノート・スクールを使っている、情報活用能力を育む授業の事例紹介と、先生方に生徒役として授業に参加してもらう模擬授業を組み合わせた形で行いました。

 特に題材として使ったのは、シンキングツールです。参加した先生方には、「シンキングツールを考えたことを最後にまとめるために使わないこと」と「シンキングツールを考えるプロセスをサポートするために使ってほしいこと」を伝えました。
 児童生徒がアイデアを広げたり、多面的に情報をまとめたりするときに、どうやってシンキングツールが考え方をサポートするのかを体験してもらうために、Xチャート、クラゲチャート、イメージマップ、フィッシュボーン図などを使ったワークシートを用意して、模擬授業のなかで少しずつ体験してもらいました。

 フィッシュボーン図を使う模擬授業では、僕自身が小学校3年生の授業で「夏休みにしたいこと」を自由にたくさん発想してもらうために用意したワークシートを使ってみました。漠然と「夏休みにしたいこと」という大きいテーマだけから発想するのは大変でも、そこに「遊ぶ・楽しむ」「行く・出かける」「がんばりたい」「スペシャル!」という4つの軸を作ることで、「そういえば、あそこに行ってみたいな…」というふうに思いつきやすくなるということを伝えて、考えたことをどんどん書いてもらいました。
 書き始めてしばらく時間が経ったところで、「できたところまででいいので、一度提出してください」と言って、提出箱の回答を共有してお互いに見合う時間をとってほしいことも伝えました。提出箱で回答を共有することで相互参照ができて、「どうやって書けばいいかわからない…」と手が止まっている児童生徒が、「こんな感じで書けばいいのか」と何かを書き始めることもある、ということを伝えました。
 授業のなかで、先生は児童生徒に対してアドバイスをするだけでなく、児童生徒がクラスメイトの書いていることを見て気づきを得たり、自分の書いたことを推敲したりするような雰囲気を作るという大事な役割もできるようになります。「こうした活動は、学校の授業でこそ、できることだと思う」ということも伝えました。

 いろいろなワークシートを使ってした模擬授業のなかで、参加した先生方がいちばんおもしろがってくれていたように思ったのは、Googleマップ(あるいはGoogle Earth)を使って、日本の米の名産地の航空写真をスクリーンショットで撮って、そこに米がよくとれる地形や自然の条件が読み取れるのかをクラゲチャートで書いてもらった模擬授業でした。
 米がよくとれる地形や自然の条件は教科書を読めば書いてあることが多いし、先生が知識として教えることはできます。でも、Googleマップで航空写真を撮ってみると、教科書で読んだこと・先生が説明してくれたことを「ほんとだ!」と実感することができると思います。さらに自分でスクリーンショットを撮った写真に、文字で解説を書くことになるので、学習した知識を定着させることにもより広げたり深めたりすることにも繋がるのではないかと思います。

 研修講座の終盤では、参加している先生方が訊きたいことをテーマとして取り上げるために、ロイロノート・スクールで質問を書いて提出箱に出してもらう時間もとりました。書いていただいた6件の質問に対して、自分なりに思っていることを回答しました。プレゼンのやり方、AIの使い方などに、学校現場で先生方がリアルに感じている「知りたいこと」を書いてもらえたように思います。そうした質問に答えることは、僕自身もその場で考えながら答えていくことでとても勉強になりました。

 最後のふりかえりも、ロイロノート・スクールで書いてもらいました。参加した先生方に書いていただいたふりかえりの一部を紹介したいと思います。

  • 普段使ったことがない方法も知ることができて、とても学びになりました。また、自分自身がシンキングツールを使い、提出をしたことがなかったので、子どもたち目線で参加することができました。提出したものを先生がさりげなくよみあげることで、情報を追加がしやすいなど、子ども目線になったからこそ、学べることもありました。
  • シンキングツールを活用することで考えを広げたり、多様化させたり、整理したり…等、多種知ることができ、大変参考になりました。シンキングツールの活用が目的とならないよう、気をつけて指導にあたりたいと思います。
  • デジタルの活用が半義務化されているような世の中ですが、ICTが思考の足枷とならないよう使用場面・使用目的(問い)を明確化して、活用することの必要性を再確認しました。
  • ICTとの付き合い方として、教員の声かけの仕方、問いの出し方が大切であるとわかりました。今日の課題も楽しいものばかりで、授業で使ってみたいと思います。
  • シンキングツールを活用する際に大切なこととして、「みんなが見つけること、考えることがちがう問いを設定できるかが大事」という部分がとても納得できました。
  • 最後に「AIは道具であり、代わりにやってもらうものではない」という言葉も、これから授業を作っていくうえで大切にしていきたいと思いました。「自分らしさを表現したい、見てほしい問いなら、AIの活用は程々になる」という言葉にも納得しました。まずは今日学んだツールの使い方以前に、生徒たちが考えたくなる問いをつくっていくことが大切だと考えることができました。

 「子どもたち目線で参加することができました」「今日の課題も楽しいものばかりで、授業で使ってみたいと思います」というコメントは、模擬授業形式でやってよかったな、と思いました。積極的に先生方が参加してくださったからこその成果だと思います。
 また、「ICTが思考の足枷とならないよう」「「AIは道具であり、代わりにやってもらうものではない」という言葉も、これから授業を作っていくうえで大切にしていきたいと思いました」というコメントも、ICTを授業で活用することのその先にあるとても大事な課題意識だと思います。

 この日の情報教育研修講座が、葉山町の子どもたちの学びをアップデートするために役に立てばいいなと思います。

(為田)