教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするために、現場目線での情報発信をしていきたいと思います。

【イベント情報】NTTドコモ東北支社「docomoプログラミング教育セミナー」

 2019年11月9日(土)に「プログラミングを明日の授業に取り入れよう」をテーマに、docomoプログラミング教育セミナーが開催されます。

 このセミナーは「今までの授業にプログラミングをどのようにとりいれたらよいか」について、大学教授による講演と、元小学校教員による演習の二部構成になっています。
 第一部には、宮城教育大学の安藤明伸教授がご登壇なさいます。安藤教授は、文部科学省 中央教育審議会専門員(初等中等教育分科会)情報WG委員や小学校プログラミング教育の手引作成委員等をお務めです。今回は「小学校プログラミング教育で求められていること」と題して、プログラミングで子どもたちにどんな力を身につけさせたいか、また、授業の中で「子どもたちが」プログラミング体験する機会をどのように確保したらよいか、を教えていただきます。
 第二部は、フューチャーインスティテュート株式会社の佐藤が登壇します。タブレットを使ったプログラミング教材の体験をヒントに、新小学校学習指導要領完全実施に向けた授業づくりについて考える機会にしたいと思います。トイドローンのデモ飛行やembotでのプログラミング演習を予定しています。
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 対象は、教育委員会や教育センターの指導主事、校長先生や教頭先生、研究主任、情報化推進リーダー、プログラミング教育ご担当の先生となっています。

 今回の会場は、仙台市上杉のNTTドコモ東北支社です。参加費は無料です。参加申込みはこちらから
peatix.com

 また、来年2020年1月5日(土)には、岩手県盛岡市のマリオス盛岡地域交流センターでも開催されます。参加費は無料です。盛岡会場の申込みはこちらから
peatix.com

  みなさんのご参加をお待ちしております。

(佐藤)

授業で使えるかも?:「AIってなんだろう」(YouTubeチャンネル「Grow with Google Japan」)

 YouTubeチャンネル「Grow with Google Japan」から、「AIってなんだろう」を見ました。
 プログラミングの説明からスタートして、AIのはたらきまで説明をしてもらえます。プログラミングは人間がコードを書いて、自由に動くようにするのだが、それではできないことがあり、その部分をAIがやってくれている、というふうに説明が進みます。
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 AIがどうやって世の中で使われているかという事例として、クリーニング屋+AI、きゅうり農家+AIの2つの事例を紹介してくれます。どちらも、GoogleによってTensorFlowが2015年にオープンソース化されたのをきっかけにして、写真を学習させるという例でした。
 TensorFlowを使った授業事例と言えば、町田第三小学校での授業だな、と思って授業レポートを見てみたら、そのなかでこの「AIってなんだろう」は教材として使われていました。授業の中では、各自が持参したリアルな素材を学習させ、うまく認識されるようにプログラムを自分なりに工夫するという活動をしていました。
www.watch.impress.co.jp

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 動画「AIってなんだろう」の最後では、AIでできることが3つにまとめて紹介されています。

 TensorFlowでの画像認識だけでなく、Google Homeなどを同じテイストで紹介してくれる動画があればいいな、と思いました。教室にひとつGoogle Homeを置いて、それを「自分たちの学校生活を豊かにするようにプログラミングしよう」というような課題を出したりしてみたいと思いました。

www.youtube.com

(為田)

武蔵野大学中学校 授業レポート No.3(2019年9月12日)

 2019年9月12日に武蔵野大学中学校を訪問し、中学1年生の数学の授業でatama+(アタマプラス)を活用している様子を見学させていただきました。その後で、入試広報部の野澤清秀 先生に学校を案内していただきました。

 経済産業省「未来の教室」実証事業として、Z会グループによる、atama+を活用した学びの個別最適化を進めている武蔵野大学中学校ですが、必要な知識・技能を習得するところを最適化したうえで、そのうえにさまざまな経験を生徒たちにしてもらえるように、たくさんのプロジェクトや環境を用意しています。

 野澤先生に案内してもらって、すごい!と思ったのは、図書館でした。カラフルなビーズクッションがたくさんあり、人工芝が敷いてあります。壁は全面ホワイトボードになっています。グループでさまざまな活動ができるようになっています。
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 この図書館のように生徒たちがリラックスして知的生産ができる環境を用意するのは、学校の大きな役割のひとつだと思います。また、さまざまな学年が、さまざまな用途でここを使うことで、先輩たちの姿に憧れる後輩も出てくるだろうし、異学年での交流も出てくるだろうし、こうした部分こそが、学校という場に一緒にいるからこそ生まれる効果なのではないかと思います。
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 atama+のようなデジタルだけでなく、図書館のような場も合わせて用意をしている武蔵野大学中学校の変化に注目していきたいと思います。

 日野田校長先生、野澤先生、見学の機会をいただきましてありがとうございました。

(為田)

普通教室にICT・タブレットがやってくる!そのときの学習環境を考えてみた

 これまで多くの小学校で多くの授業を参観させていただきました。時には助言させていただくようなことも多かったのですが、その際に「教室の環境」、特にICT活用時の学習環境を話題にさせていただく機会がありました。先生方は、教室を子どもたちが学びやすい環境として整えるのに、どのような事柄に留意しているのでしょうか。

 学校の教室にはたくさんの「モノ」があり「ヒト」がいます。私が勤務した小学校のほとんどは教室の後ろにランドセルをしまうロッカーがありました。その上にはロッカーに入りきらない絵の具セットや習字セット、副読本、委員会活動や係活動のファイル類などが置かれていました。40人いればそれぞれ40個を取り出しやすく並べておく必要があり、それだけでも結構なスペースが必要です。中央には子どもたちが使う机や椅子(スクールセットと呼ぶこともあります)があり、前には黒板、教卓、先生用の事務机、教材等をしまう書棚などがあります。先生や学校によっては事務机ごと教室の後ろに配置したり教卓を取り除いたりすることもあります。そこにはスペース確保以外にも教育的な意図が含まれています。

 現在では、教室の前面に大型提示装置(大型テレビやプロジェクタなど)を常設していたり、必要に応じて運び込めるようなスペースを確保したりすることが多いです。私が子どもの頃にはOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)があったり対応スクリーンが天吊りされていたりしていました。
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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:OHP-sch.JPG

 大型テレビやプロジェクタを設置する際には、子どもたちの「見やすさ」に十分配慮する必要があります。教室は外光を多く取り入れられるように設計されていて、照明も十分な照度を確保するように配置されていますが、大型提示装置にとってはちょっとした鬼門です。設置場所によっては大型テレビに照明が映り込んだり、プロジェクタの輝度が足りなくてとても薄くしか映らなかったりします。外光にはカーテンを引くことで、映り込みには照明の一部を消すことで対応しますが、天気や時間帯、照明の配置やオンオフの系統によって違ってきます。先生はその時々に合わせて細やかに気遣いして環境を整えているのが現状です。すでに普通教室でのICT活用が当たり前になってきていますが、こうした様子を見るにつけ、ただ「大型提示装置やタブレットを整備すればよい」という訳ではなく「学びの空間をデザインする」という発想が必要だなと強く思います。J.Jギブソン(2011)が名付けた「アフォーダンス」と学習環境の関係性なども、勉強していく必要性を感じます。
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 タブレットについて言えば、一人1台の時代にはできるかぎり映り込みの少ない照明が必要でしょう。子どもたちが使うスクールセットは子どもたちの体の発達によって高さが違いますが天板の広さはほとんど同じです。JIS規格で決まっていますが、新JIS規格のものは従来のものよりも天板が広くなっていて、授業で使うタブレットやノート、教科書、筆箱などが置き易くなっています。しかし入れ替えが進んでいる地域や学校は少数だという印象で、古いものを修繕しながら使っている現場がほとんどではないかと感じています。より現実問題として考えなければならいのは、タブレットを充電するための電源と、保管庫を置く場所を確保することです。電源で言えば既に「コンセントが足りない。たこ足配線になりがち」「ブレーカーが落ちる」「延長コード等の配線と子どもたちの導線が重なって危ない」問題が起きています。使用電気量に見合った延長コードを使わないと、発熱して断線したり、万が一には火災につながったりする恐れもありそうです。保管庫で言えば、教室にはすでに多くの什器があるので「そもそもスペース確保が難しい」問題も起きます。場合によっては、子どもたちが保管庫の近くで過ごしても危なくないように、面取り加工されているものを選ぶといった配慮も必要になるかもしれません。
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 実際の授業を考えると、主体的・対話的で深い学びを実現するための工夫の一つとして、授業内容や活動に応じて机の配置を換えることが多くあります。個別、ペア、グループ、一斉によって机の並び方を変えますが、大型提示装置に背を向けなければならない子どもたちが出てきたり、背中合わせの子どもが同時に席を立つと椅子と椅子がぶつかってしまったりすることもあります。小学校の教室の広さは基本的に8m×8mの64㎡ですが、ロッカーや什器類があるのでもっと狭い場合があります。例えば80%の広さが子どもたちのスクールセットを並べられるスペースだとして、30人学級でも一人あたりはおよそ1.7㎡、つまり1畳弱しかありません。その中で、黒板前に移動したり友だちとの意見交換で自由に行き来したり導線を確保することも考えると、結構厳しいです。一人1台のタブレットや大型提示装置を学習環境の一つとして効果的に使えば、移動しなくても、もしくは最小限の移動でも、お互いの考えを見合ったり意見を伝え合ったりすることができる授業を設計できそうです。
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 効果的・効率的な授業のためにモノとヒトと学習とをどうデザインするか、ICT活用を前提とした授業設計やICT機器の配置や机の並び方などのといった学習環境の研究・工夫の重要性が増してきているのではないかと思います。既に普通教室のICT環境を整えた学校は折に触れて授業の実際を踏まえて見直す、これから整備する学校は子どもたちの充実した学習活動という観点、健康・安全という観点からもICT環境整備を捉え直してみる機会をもつことをオススメしたいと思います。

(佐藤)

武蔵野大学中学校 授業レポート No.2(2019年9月12日)

 2019年9月12日に武蔵野大学中学校を訪問し、中学1年生の数学の授業でatama+(アタマプラス)を活用している様子を見学させていただきました。

 それぞれの教室に、学校の先生とZ会グループが派遣したサポーターが入り、数学の授業を行っています。教室では、先生とサポーターがみんなiPadを持っていて、画面を確認しては生徒たちに声をかけに行く様子が見られました。先生とサポーターがiPadで見ていたのは、先生用の画面です。先生用の画面では、生徒たちが「どの単元を学習しているのか」「どのような状況なのか」「どれくらい問題に取り組めているのか」ということを一人ひとり見ることができるようになっています。
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 先生用の画面を見ながら、どの生徒にどんな声掛けをするか、どんなアプローチをするか、ということを常に先生とサポーターは考えます。画面に表示されているデータに、先生とサポーターの見とりが組み合わさることで、学習方法のサポートやモチベーションの管理など、AIよりも先生がする方が適切である活動を教室で行えるようにしています。
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 先生とコーチは画面を見ながら、声掛けをして指導をした方がいい生徒のところに行き、ノートに残された解法を一緒に見ながら考えたり、解き方を復習したり、ということを行っていました。手元にノートがあるからこそ、こうした個別サポートを簡単に行えると思います。
 また、atama+のノウハウを盛り込んだ教材を生徒たちはもっていて、問題の解き方、ノートのとり方なども学べるようになっています。
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 「AIを使って、学びを個別最適化する」という言葉から、「先生は要らなくなってしまうのでは?」という心配をされる先生方の声もよく聞きますが、むしろ逆に、学習履歴などを先生が確認し、生徒の様子を見とり、そのうえで声掛けをしたり、個別指導や全体への追加指導をしたり、というふうに先生方は新しいチャレンジができるようになってくると思います。実際に先生方から「自分が授業をするのに使っていた時間を生徒の観察、生徒とのコミュニケーションに使えるので、今まで以上に生徒のことを理解し、サポートできるようになった」という声もあがっているそうです。

 デジタルによる個別最適化に加えて、先生方のそうした関わりの結果として、生徒たちの「わかった!」「できた!」という声を多く聞けるようになるのではないかと思います。

 授業を見学した後で、日野田直彦 校長先生とお話をしたときに、「習熟主義と履修主義の違い」というキーワードをおっしゃっていましたが、いままで「習った=“履修”した」ことに意味を置いていたのが、「できるようになった=“習熟”した」ことに価値を置く授業が本当にできるようになるのだと思っています。

 atama+を利用した授業が、武蔵野大学中学校でどのようなスタイルになるのかは、先生方が模索をしている最中です。例えば、入試広報部の野澤清秀 先生は、「教室の中で進度がどんどん個別最適化されていくときに、ある程度進度を合わせる必要があるのか、定期テストとの整合性をどうとるのかなどは、今後の授業設計にも関係してくるので、現状では週4回の数学の授業のうち、1回は今まで通りの一斉指導型の授業を行っている」とおっしゃっていました。

 武蔵野大学中学校が、Z会グループの協力のもと、atama+という新しい教材を採用したことは、先生方の教材研究/授業設計と組み合わさって、教室を学習者である生徒たちにとってのより良い学びの場に変えていってくれるだろうと感じました。

 No.3に続きます。
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(為田)

授業に使えるかも?:キッズQと「こども哲学」

 Twitterのタイムラインに流れてきた、BuzzFeed Japan Newsの【キッズQ】。すごく素敵だと思います。テーマもとてもいいと思ったのですが、女子サッカーの下山田選手が、こども哲学しているなあ、と思ったのです。


 子どもたちとのこういう質問のやりとりは、僕の理想としているひとつの授業の形というか、対話の形なような気がします。こういう対話の軽やかさで、でも真摯に子どもたちに質問をぶつけて、一緒に考える。そういう対話を教室でしたいと思っています。すごくいい動画を見た気がします。がんばろう。

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(為田)

武蔵野大学中学校 授業レポート No.1(2019年9月12日)

 2019年9月12日に武蔵野大学中学校を訪問し、中学1年生の数学の授業の様子を見学させていただきました。この授業は、経済産業省「未来の教室」実証事業に採択されたもので、Z会グループが学習サポーターを派遣し、学習を一人ひとりに最適化するAI先生「atama+」を活用した授業を実施しています。8月末に模擬授業などを行い、9月から授業としてスタートしたそうです。

 AIを活用した数学の授業では、生徒一人ひとりが自分の習熟度に適した単元を自分で学んでいきます。教室の中には「小数のかけ算・わり算」の練習問題に取り組んでいる生徒も、「1次方程式の利用」を学んでいる生徒もいます。自分で「いま、何を学ぶのか」を考えられるようになることも、先生方は望んでいるのだと感じました。
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 生徒たちがiPadで活用しているatama+では、「講義」と「演習」に取り組むことができます。ただ問題が自動出題・自動採点されるだけのデジタルドリルではなく、まるで教室で授業を受けているかのように、講義の動画を見ることができます。そのため、講義を聴くためのイヤホンをiPadに繋げている生徒も多くいました。講義の動画では、黒板に書かれて説明される内容が表示され、説明の声に合わせて画面上で線が引かれたり、数字が手書きで書かれたりします。動画になっていることで、何度も聴き直して理解を深めることもできますし、わかっているところは飛ばすこともできます。
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 講義の動画を見た後で、練習問題に取り組むと、講義の内容が理解できているかどうかの結果が表示されます。従来の数学の授業では、理解の確認はみんなで同じペースで行うことが多いと思いますが、ここをAIを活用することで個別最適化し、きちんと理解できている生徒には次に進んでもらい、理解が不十分な生徒にはもう一度動画を見てもらうこともできるようになります。
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 「講義」の後、「演習」へと生徒たちは進みます。演習では、講義の動画で学んだことを定着させるために、数多くの練習問題に取り組みます。iPadで出題された問題を、手元の紙のノートに解いて、画面に表示される回答選択欄から自分の回答をタップして回答します。手元のノートに問題に取り組んだプロセスが残っているので、不正解だったときにも、どこで間違えたのかを見直しやすいと思います。
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 こうして生徒たちは、一人ひとりが自分でどこを学ぶかを選び、講義を聴き、演習を行い、習熟を深めていきます。その間ずっと、atama+は、AIを活用して、生徒一人ひとりのつまずきの原因を特定し、必要な箇所を必要な教材で学習できるように生徒をサポートします。

 自分の習熟度に合わせて、一人ひとりが学ぶ形になっているので、どんどんカリキュラムは個別化していきます。
 例えば、小学校の学習範囲などでつまずきを抱えている生徒には、AIが効率的な「さかのぼり学習」を提供します。教室の中には、分数の計算などまで戻って学習している生徒もいるそうです。一方、数学が得意な生徒はスタートしてたったの2週間で中学2年生の学習範囲の終わりまで進んでいるそうです。
 atama+によって習熟度に応じたカリキュラムの最適化が行われることで、結果として進度が個別化していっているのがポイントだと思います。

 No.2では、先生とサポーターがどのように授業を支えているかについてレポートします。
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(為田)