教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

宝仙学園小学校 授業レポート No.2(2022年5月16日)

 2022年5月16日に宝仙学園小学校を訪問し、佐藤至大 先生が担当する4年松組の教室の様子を参観させていただきました。参観を予定していた国語の授業の前が体育で、着替えが終わった子から教室に戻ってきて、順に記憶定着をサポートする学習アプリ「Monoxer(モノグサ)」を使う学習をしていた様子を見られたので、レポートしたいと思います。

 子どもたちが教室に戻ると、モニターには「モノグサを進めます。iPadを出して進めていていいです」と表示されていました。これを見て、子どもたちは自分で学習を始めていきます。一人ひとりが自分で学ぶコンテンツを選んで自分のペースで学べるMonoxerのようなアプリは、こうしたスキマ時間を有効活用するのにむいていると感じました。

 Monoxerには いろいろなコンテンツがありますが、それぞれのコンテンツごとの記憶状況を自分で見ることができるようになっています。コンテンツを選ぶ画面で、記憶済み(緑)・記憶中(黄色)・弱点(赤)と色で表現されているので、それを見ながら自分でどのコンテンツを学ぶかを選ぶことができます。

 「宝仙漢字ドリル(14-15)」のように書かれたドリルをやっている子たちが多かったので見てみると、iPadで書き取りの学習もできるようになっています。ペンを使って書き取りの練習をするときには、次にどこにペンを置いて書き始めるのかが記憶のヒントとして表示されるようにもなっています。
 手書きでの認識だけでなく、キーボードを使ったり、ボタンを選択したり、記憶を定着させるためにさまざまな形式で問題が出題されるのはMonoxerの特長だと思います。

 すべての問題を解き終わった後、コンテンツの習熟度を確認することができます。「現在の記憶状況」が円グラフで表示されています。「記憶済(=緑)」が25%、「記憶中(=黄色)」が41.7%…というふうにわかるようになっています。

 先生の画面では、クラスの子どもたちの最近の学習の様子を一覧で見ることができます。それをモニターに映してみんながどんなことをしているのかを確認することができます。

 個人でコンテンツを選び、記憶度を高めながら、その成果をクラス全体で共有していくというふうに組み合わせて、佐藤先生は休み時間から授業の最初の時間にMonoxerを使っていました。

 No.3に続きます。

(為田)

教材に使えるかも:文部科学省「各教科等に関係する教材や資料集等のウェブサイトについて」

 文部科学省のサイトのなかにある、「各教科等に関係する教材や資料集等のウェブサイトについて」のページを見てみました。

 幅広いけれどもニッチなラインナップですが、授業で使えそうなウェブサイトが並んでいます。このページタイトルで、この内容はちょっと想像がつかないだろう…と思いつつ、興味があるものも多くあります。資料探しの最初の一歩として見てみるのもいいと思います。

  • 海洋に関する教育
  • 金融に関する教育
  • STEAM教育等の教科等横断的な学習
  • 心のバリアフリーに関する教育
  • 社会保障に関する教育
  • 主権者教育
  • 消費者教育
  • 臓器移植に関する教育
  • 租税に関する教育
  • 地理に関する教育
  • 農業に関する教育
  • ハンセン病に関する教育
  • 法に関する教育
  • 放射線に関する教育
  • マイナンバーに関する教育
  • 水循環に関する教育
  • 薬害に関する教育
  • 拉致問題に関する教育
  • 領土に関する教育
  • ワークルールに関する教育
  • 学校における動物飼育について
  • その他の基礎資料

 すごくテーマが行ったり来たりする感じがあって、リストを上から順に読んでいくと、「え?」と思ったりしますが(笑)、こうしたウェブサイトを授業のなかで紹介したり、教材研究に活用したりできるのではないかと思います。
www.mext.go.jp

(為田)

宝仙学園小学校 授業レポート No.1(2022年5月16日)

 2022年5月16日に宝仙学園小学校を訪問し、山本雄登 先生が担当する3年松組の国語「こまを楽しむ」の授業を参観させていただきました。この日の授業では、教科書の本文を読んで、自分たちで「問い」を作っていく活動をしていました。

 山本先生は、教師用デジタル教科書の本文読み上げ機能を使っていました。「(デジタル教科書の音声に合わせて)一緒に読むのでもいいし、自分のペースで読むのでもOKです」と山本先生は言います。子どもたちのノートには横線がひいてあり、線の上に教科書の本文を読んでわかったことを書いていきます。

 次に山本先生は、「本文が教えてくれたことから、質問をつくりましょう」と言い、「なぜ」「いつ」「だれが」「どこで」など、問いを作るために使える言葉を子どもたちと一緒に挙げていきます。
 子どもたちは自分で問いを作って、ノートにひいてある横線の下に書いていきます。「どんな問いでもOK。後で調べるからね」と山本先生は言います。子どもたちは、いろいろな問いを考え、ノートに書いていきました。どんなふうにまとめればいいかを、山本先生はロイロノート・スクールでまとめて、モニターに映していました。

 子どもたちがノートにたくさんの問いを書くことができたところで、山本先生はロイロノート・スクールで、ピラミッドチャートが描かれた共有ノートを準備します。
 子どもたちも自分のiPadを出してロイロノート・スクールを開きます。4人でグループを作り、グループごとにピラミッドチャートに、問いのカードを書いていきます。みんなで共有のピラミッドチャートにカードを置くので、誰のカードかわからなくなってしまうので、「カードに名前書いて」と子どもたちで声を掛け合ったりもしていました。その他にも、グループの他の人のカードを動かしてしまうこともあって、「だれ、あたしのカード動かしてんの!?」という声も聞こえていました。
 こうして協働するときに、どういうことに気をつければいいかを体験できるのは必要なことだと思います。

 山本先生は、グループで協働してピラミッドチャートにカードを書いているときに、「今日はカードの数を増やす、というコーナーです」と言っていました。
 これからの授業で、グループ内でたくさん作られたカードから、どの問いについて考えるかを、ピラミッドチャートの上でカードを動かしながら考えていくという授業に進行していくそうです。

 こうして協働しながらノートを作っていくなかで、「自分のカードは他の人にも見えるんだから、“責任”があります。そして、他の人のカードを勝手に消さないのは、“尊重”ですよ」と山本先生が説明していました。これは、宝仙学園小学校が6年間で育んでいきたい資質・能力である「キーコンピテンシー10」のなかの「責任をもつ」と「尊重する」に関わってくる部分になります。こうして日々の授業の中の活動で、育てたい資質・能力が育まれるような場面を作ることが大事だと感じました。

 No.2に続きます。

(為田)

学校づくりの構想に使えるかも:渋谷区 「未来の学校」プロモーションビデオ

 2022年5月23日に、渋谷区の『新しい学校づくり』整備方針が発表されました。

www.city.shibuya.tokyo.jp

 「未来の学校」プロモーションビデオYouTubeで公開されています。「こんな学校になるんだ、というイメージを共有することは大事」と長谷部健 渋谷区長がインタビューで語られていますが、イメージを共有するためにこうしてプロモーションビデオを作成するのは意味があると思います。
www.youtube.com

 ラーニングコモンズ、フューチャールーム、教室、職員室、科学教室などのイメージを見ることができます。これらの一部をすでに実現している学校もありますが、すべての学校にこの環境を作るのはなかなか難しかろうと思いつつ、一人1台の情報端末を活用したり、自治体が持っている公共施設等を使うことで実現できることもたくさんありそうだと思いました。

 職員室をオープンにして、話しやすい環境を作るために、職員室の改装もできればいいですが、いきなりできないのであれば、オンラインで先生とコミュニケーションを取れるようにしたり、公開・匿名で先生×児童生徒でディスカッションをできる場を作ったりからスタートしてもいいと思います。

 ビデオのなかで、学校が子どもたちだけでなく、地域の大人も学べる場として描かれています。「学校に地域の人が来る」というのと、「学校から地域に先生と子どもたちが出ていく」というのをバランスよく行うことで、このビデオで目指したい未来の学校の形を作ることは可能になりそうだとも思います。
 例えば、公共図書館を使って何かができないだろうかとか、地域にある企業の工場やラボを使うことができないだろうかと思います。

 このビデオを見て考えたいのは、「どうしてこういう未来の学校像を求めるのか」というゴール像です。そして、そのゴール像を実現する方法はいろいろあるのだ、ということを先生方と考えていきたいと思いました。

(為田)

書籍ご紹介:『国語の未来は「本づくり」 子どもの主体性と社会性を大切にする授業とは?』

 子どもたちが一人1台の端末を持って、授業支援ツールを使える授業をしているうちに、だんだんとこちらから課題を出してそれに答えてもらう、という活動だけでなく、子どもたちが自分で好きな話を書いてもらって、本を作る活動をしてみたいなと思うようになってきました。作る本は、物語でも、絵本でも、ゲームブックみたいなのでも、写真集でも、何でもいいかな、と思っています。
 そこで、そうした活動のアイデアを学ぼうと思って、『国語の未来は「本づくり」 子どもの主体性と社会性を大切にする授業とは?』を読みました。

 本を作っていく授業の様子が具体的に書かれていて、いろいろなアイデアを得ることができました。書かれている子どもたちとのやりとり、子どもたちの作品が素敵です。手書きで行われている実践が多いですが、デジタルに移植してどんどん書き直したり手直ししたり、見せ合ったりする活動を入れてやってみたいと思いました。
 WordやGoogleドキュメントでがっつり書いていく活動もいいかな、と思いましたが、むしろ最初は写真と言葉を組み合わせたり、ページの順番を簡単に入れ替えられたりするようなツールを使う方が、子どもたちには取り組みやすいかな、と思っています。

 僕が自分で持っている授業のなかで、どんなことができるのか引き続きいろいろな実践のことを知って、自分でも子どもたちと実践していこうと思っています。

◆ ◆ ◆

 以前読んだ、『イン・ザ・ミドル』も紹介されていました。ひさしぶりにパラパラと読み直して、よりモチベーションが上がりました。
blog.ict-in-education.jp

 「これも参考になるかもしれません。読んでみるといいですよ」という本がありましたら、ぜひ教えてください。よろしくお願いします。

(為田)

EdTechZineオンラインセミナー「なぜ学校のデジタル化が重要なのか? ICT利活用を推進する9の目的」講演レポート(2022年5月21日)

 2022年5月21日、EdTechZineオンラインセミナーに登壇させていただきました。テーマは、「なぜ学校のデジタル化が重要なのか? ICT利活用を推進する9の目的」でした。

 全体で60分のオンラインセミナーで、前半30分が講演、後半30分が質疑応答、という構成でした。
 EdTechZineのオンラインセミナー、今回で15回目とのことですが、これまで「前向きでない方を含めて学校や自治体全体でICT活用を推進していくにはどうすればいいのか」という質問が多かったとのことで、広く漠然と「ICTを活用しましょう」というのではなく、具体的に目標を絞っていくためにどんな目的の類型があるのかを前半の30分で紹介しました。
 30分で事例を詳しく紹介することもできませんでしたが、このブログと書籍『学校のデジタル化は何のため?』がお役に立つかもしれません。

 後半の30分では、申込時にいただいた質問と、リアルタイムで講演を聞いていただいてQ&A画面に書き込んでいただいた質問に答えていく時間でした。小学校、中学校、高校、大学と幅広い校種の先生方だけでなく、教育関係の企業の方、ICT支援員さんなど、広く学校に関わっている方々からコメントや質問をいただくことができました。たくさんの質問を受けることができるのは、オンラインでの講演の良さだと思っています。
 すべての質問に明確に答えられていたかどうかはわかりませんし、「現場を知らないくせに…」という感想をお持ちになった方もいらっしゃるかもしれません。そこは力不足ですみません。

 「前向きでない方を含めて学校や自治体全体でICT活用を推進していくにはどうすればいいのか」については、子どもたちがICTを活用してどんなふうに変わっていくのかを見せていくことしかないのかな、と思います。そのためにも、「何を目的にしてICTを活用するのか」を明確にして使い、その成果を評価することが必要だと思います。
 最初は、「プリントの配布と回収が楽になるから」とか「先生の授業が効率化できるから」とかでもいいと思います。まったく使わないゼロの状態よりもずっといいです。ただ、その先に、子どもたちが自分の思考や表現のツールとしてICTを活用できるように、授業を先生方に設計していただきたいと思います。

 もうちょっと詳しく話を聴いてみたい、という方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をいただければと思います。

 EdTechZine編集部の皆様、このような機会を与えていただき、ありがとうございました。

(為田)

書籍ご紹介:『GIGA完全対応 学校アップデート+(プラス)』

 東北大学の堀田龍也 先生、東北学院大学の稲垣忠 先生、宮城教育大学の安藤明伸 先生とご一緒させていただき、弊社フューチャーインスティテュートの為田と佐藤が執筆した書籍『GIGA完全対応 学校アップデート+(プラス) 』が2022年5月30日に発売予定となり、Amazonに書誌情報が掲載されました。

 2020年4月に出た、『学校アップデート』の全面アップデート版になります(全編書き下ろし)。前の『学校アップデート』は感想もたくさんいただきました。あの本は、コロナ禍で休校していた時期に出たのですが、実は執筆はコロナ禍以前でした。今回、全面アップデートということで、GIGAスクール構想で配備された一人1台の情報端末をどう使うかなどの面で、先生方のお役に立つ情報が多く書かれていると思います。

 僕が書いた部分は、実践事例のパートになります。このブログで公開もしている、宮城教育大学附属小学校、戸田市立新曽小学校、森村学園初等部、新渡戸文化小学校、愛媛大学附属高等学校、横浜市立鴨居中学校の事例が収録されています。これらの事例に、東北学院大学の稲垣先生がコメントをしてくださっています。

 前作『学校アップデート』のときと同様、学校をアップデートしていくヒントを、先生方に見つけてもらいたいと思って、佐藤も僕も原稿を書きました。
 これまでの学校のいい部分に、「ICTを活用して良くなるんじゃないか?」と感じられた部分を接続することで、学校をアップデートしていくことができるのだと思っています。先生方のお役に立てればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(為田)