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京都教育大学附属桃山小学校 教育実践研究発表会 レポート No.2(2018年2月23日)

 2018年2月23日に、京都教育大学附属桃山小学校の教育実践研究発表会に参加してきました。テーマは、「主体的に情報を活用しようとする子の育成 ~各教科の学びを深めるメディア・コミュニケーション科~」でした。
 今回は、5年2組のメディア・コミュニケーション科の公開授業(若松俊介 先生)をレポートします。

 5年2組のメディア・コミュニケーション科では、「桃小パワーアッププロジェクト」として、学校をより良くするために、「対面的な発表」「紙面」「音声・映像」「情報通信ツール」などメディアを選択するという授業でした。
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 若松先生の授業の大きな特長は、グループでの話し合いの時間が非常に多いことと、子どもたちが自律的に学んでいることだと僕は思っています。
授業の最初に、「確認する時間、何分くらいほしい?」と若松先生が訊くと、「2分!」と子どもたちから反応が返ってきます。そして、「では、2分とります。どうぞ」と若松先生が言うと、すぐにグループでの話し合いが始まります。自律的に、どれくらいの時間がかかるだろうと考えて、さまざまな活動をすることができています。

 3人のグループになって、iPadを使って、「ポスターを作って見せるのがいいと思う」というように、「学校をより良くするための提案」をグループ内で行いました。
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 提案を聞いた後で、それぞれのグループ内で、「誰に伝えたいのか」と「そのために、どのメディアを使うのが良いのか」ということがきちんとテーマの主題になって話し合われていました。「ポスターを貼るだけでなくて、プレゼンもした方がいいんじゃない?」など、グループ内の一人ひとりの提案に対して、情報が「伝わるか」ということに焦点をしぼって、質問ができていたと思います。焦点を明確にして質問をやりとりできていたことが、非常によかったと思います。

 若松先生は、iPadを手に持って、各グループを回っていきます。それぞれのグループにおいて、きちんとメディアの特性をふまえて提案内容が考えられているか、またそうしたディスカッションができているかを見ていたように思います。ときどき、グループのディスカッションの中に入っていって、「でもそれって…」と子どもたちだけではたどり着かないようなポイントを投げ込み、それを子どもたちがどう受け止めるかを見ています。
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 若松先生は、課題解決の方法として、「メディアの選択」と「メディア活用の工夫」の2つのポイントを絞って、クラス全体に投げかけ、さらに話し合いが深まるようにしていました。

  1. メディアの選択
    • ポスターでいいの?
    • プレゼンした方がいいんじゃない?
  2. メディア活用の工夫
    • 「はる場所を…」
    • 「文字の大きさや色を…」

 どういうふうにしたら、情報を伝えたい相手に、きちんと伝えられるかを、クラスで共有します。ある児童からは、「チラシを作るって言ってたけど、グループで話し合って、どこでどうやって配るとか、詳しく考える必要があるとわかった」というコメントもありました。
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 ただ、「何を伝えるのか」「どう伝えるのか」というのを表現として学ぶだけではなく、どういったメディアを選ぶのがいいのか、というところまでしっかりと考えることができているのが、メディア・コミュニケーション科としての授業の肝だと思います。その裏側にはメディアの特性があります。そうした面を、低学年ではどうやって学んでいるのか、次に見に行った1年生の公開授業で知ることができました。

 No.3に続きます。
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(為田)