2015年12月12日に、桐蔭学園でアクティブラーニング公開研究会に参加しました。
最後のプログラムで、京都大学教授・桐蔭学園教育顧問の溝上慎一先生による総括講演「力強い若者を大学・社会に送り出すために -桐蔭学園のアクティブラーニング推進から-」がとてもよかったです。後日、講演データもアップしていただけました。非常に勉強になりました。
以下、講演を聴きながら書いたメモです。
- 「いい大学」に入ることは、いいこともある。が、加熱しすぎることには意味がない。
- 桐蔭学園のアクティブラーニング推進
- 2015年4月より全教科で導入
- 3年計画
- 2015年(中1、高1)、2016年(新中1、高1)、2017年(新中1、高1)
- AL型授業の実施(学習形態の導入:書く・話す・発表する等)→学習成果を実現するアクティブラーニング型型授業へ(活用II、評価)
どのような授業をしているのかについては、YouTubeで公開されている動画を見るといいかと思います。
www.youtube.com
アクティブラーニングについての概要がわかるのはもちろんですが、学校が、先生方がどう変わったのか、ということについてのコメントが非常に勉強になりました。個人的にいいなと思ったポイントもまとめておきます。
- 桐蔭学園の新しい授業は、アクティブラーニング型授業。従来の授業の中に、ペアワークを組み込んでいく。「理解を表現する」というのが基礎形態だ、という話。先生方には、50分あったら、40分が普通の講義でいいので、10分を理解の共有にしてください、と話をしたそうです。ここから、先生方がここで満足しなかった。
- 何を発問すれば、より深く学べるのか、と授業の準備の段階で考えている。
- 教員同士で「こういうのやって、よかったよ」という共有ができるようになった。また学年で、他のALをやっている先生同士でコミュニケーションをするようになった。
- 生徒たちが、授業を作っているんだという自覚を持ってきていると思います。先生が授業を見合ったりしている。その様子を生徒たちが見る。それがいいのだと思います。
- 「ちょっと変えないと行けないと思ったら、次の授業から変わっていく」
- 「なぜアクティブラーニングなのか?」を、政府が言うから文部科学省が言うから、というのではなく、きちんと意味付けを先生方ができている。これがすごい。ALを実現するために、生徒間の関係性を作らなければならない。そのために、ホームルームを使って生徒間の関係性を作っていく、そういうこと。
もともと桐蔭学園は、進学校としてそれぞれの先生方(全校で300人以上いる!)が、職人のように授業を作ってきていた学校だそうです。教務力がある先生が、アクティブラーニングを授業の中に導入したときに、どんなふうになるのか、非常に楽しみです。
この他にも、溝上先生の熱意が伝わってくる講演でした。いや、本当にスイッチを押された感じです。以下、聴きながらとったメモです(不完全なところ、聞き違いありましたらごめんなさい…)。
- 三層で理解するアクティブラーニング
- AL批判に対して
- 活動だけが強調されて学習が深まらない/ALをやっても成績が上がらない
- ALは万能ツールではない。導入しながら、期待される成果を考えていかなければならない。
- どうしてALか?
- 期待される成果(深い学習、成績の上昇=入試の実績)、資質・能力の向上)、これだけではない。
- 学びの全体的な流れの中からのもの。
まだまだ消化できていなくて、ますますアクティブラーニングについて知りたくなって、大いに刺激を受けたので、会場で溝上先生の著書『アクティブラーニングと教授学習パライムの転換』を購入して帰りました。勉強します。
このブログのメインテーマであるICTで言えば、アクティブラーニングの実現のために、iPad導入も進んでいます。それについて参考になる動画もあります。
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「アカデミズム(研究)と学校現場を繋ぎたい」と最近こればかり言っている僕ですが、この桐蔭学園の実践は、まさにアカデミズムと学校現場の接続になるかもしれません。今後も注目していきたいと思っています。
(為田)