2017年9月15日に小金井市立前原小学校において、英語活動の授業公開が行われました。公開されたのは5年2組の授業で、情報端末としてChromebookを使い、EnglishCentralを活用する授業です。
「子どもたち一人一人の個性的で、個別的、そして協同のある外国語(英語)活動の創造に挑戦する」「合言葉は“英語のシャワーを浴びよう!英語のマシンガンを放とう!」という、公開授業を告知する文章のなかの松田孝校長先生の言葉に惹かれ、見学に行ってきました。
5年2組の教室に入ると、黒板にミッションが書いてありました。今日の授業のミッションは、「授業で学んだ英語を使って、どんな人ともコミュニケーション(会話)ができる!!」でした。
5年2組の児童全員が、AcerのChromebook端末を机の上に開いています。担任の石井康友 先生は、プリントを配布します。WebサービスであるEnglishCentralだけで各自が自分の授業をするのではなく、黒板のミッションにあるように「コミュニケーション(会話)ができる!!」ところを目指しているので、こういう会話を練習するというのが配布されたプリントには書いてあります。
プリントに書いてあった、今回の授業の流れは、以下のようなものでした(為田が一部、再構成しています)。
- イングリッシュ・セントラル(発音・動画)
- EnglishCentralで100点が取れるぐらい、たくさん英語を話す練習をしておきましょう。
- アクティビティ(活動)
- 以下の英語を使って、仲間と会話をします。
- What is your name? / My name is ____.
- How are you today? / I’m ____.
- How old are you? / I’m _____ years old.
- Do you like _____? / Yes, I do. No, I don’t.
- What is your favorite ____? / My favorite ___ is ○○.
- 会話をし終わったら、仲間からサインをもらいましょう。
- 必ず2人は「大人」と会話をしましょう。
- リフレクション(振り返り)
- イングリッシュ・セントラルでたくさん英語を聴けましたか?
- イングリッシュ・セントラルでたくさん英語を話せましたか?
- 大人・男女・普段あまりしゃべらない人、関係なく、いろんな人と会話できましたか?
- 1人も見捨てず行動できましたか?
EnglishCentralでさっそく発音の練習が始まります。動画を見て、口に出して読む練習をします。最初に発音をしてみるのは、石井先生です。こうして自身が最初にやってみせることは、実は児童が学習をスタートするのに非常にいいきっかけになるように思いました。
EnglishCentralでは、発音に対して評価が出ます。その評価をモニターで、石井先生は児童と一緒に自分の発音の評価を見ます。モニターに石井先生の発音への評価が表示されます。ここでの点数がちょっと低いと、笑いが起き、子どもたちは「じゃあ、自分も!」「先生を抜かそう!」というモチベーションをもつ感じになれると思いました。
そして、その勢いのまま練習の時間になります。机を移動してグループになり、それぞれに練習を開始していきます。
前原小学校では、ヘッドセットなどを使わずに、クラス全体で一人1台のChromebookを使ってEnglishCentralの動画を見て、録音機能を使って発話の練習をし、評価を得ています。ガヤガヤとしていて聴き取れないのではないかと思ったのですが、案外そんなこともなくどんどん練習を続けていきます。
最初のうちは発話練習をしている児童がそんなに多くなく、時間が経過していくにしたがって、だんだん発話練習に取り組む児童が増えていく、というように見えました。最初はただ「聞いてる=hearing」だけだった児童たちが、だんだん「聴いてる=listening」状態になっていくように思います。授業開始から15分後にスタートして、開始後30分くらいまでが、EnglishCentralを使っての各自の練習時間だったのですが、時間をかけることで、徐々に真剣度が増していく、という感じがしました。ある程度の時間を、練習に割くということをしないといけないのかもしれないと思いました。
この後、「アクティビティ(活動)」に移るために、コンピュータを閉じます。アクティビティでは、プリントに書かれていてEnglishCentralを使って練習した表現を使って、教室内の5人と会話をします。EnglishCentralだけで終わらず、こうして活動で終わることで、EnglishCentralでの練習は、アクティビティ(=会話)で使う表現・単語の練習=基礎トレーニングであるということが明確になると思います。
練習とアクティビティを石井先生のように1つの授業のなかで両方するということもできます。コンピュータの台数が不足していても、授業の設計次第で、個別に練習する時間をとることは可能だと思います。もし、コンピュータの台数がクラスの人数分ないのであれば、ローテーションで15人はコンピュータを使って練習、あとの15人は会話の練習、というふうなやり方も可能だと思います。
ICTの力を借りることで、みんなで一斉に同じ発音の練習をするよりも、ずっと有意義に個人にあった練習ができるのではないでしょうか。そうした点こそが、松田先生が言う、「子どもたち一人一人の個性的で、個別的、そして協同のある外国語(英語)活動の創造に挑戦する」につながっているのだと思います。そうした可能性が十分に見える授業だったと思います。
No.2に続きます。
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(為田)