教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

朋優学院高等学校理工学部の科学実験動画

 先日レポートしました、宝仙学園小学校のScience Magic Challengeですが、子どもたちがYouTubeで実験を検索していました。その様子を見ていて、自分でもYouTubeで調べてみると、朋優学院高等学校の生徒たちが、化学実験をたくさんアップしているのを知りました。
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www.youtube.com

 彼女たち、朋優学院高等学校理工学部、という名前の部活らしいです。いろいろな実験動画をアップしていて、非常におもしろいと思いました。実験を撮影し、編集し、アップロードするという表現をしているのがおもしろいと思います。
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www.youtube.com

 こうしてアップされた動画を、小学生たちが見て、「自分たちもこの実験をやってみよう」と後に続いているのも、おもしろいです。

(為田)

やってみた:ファンタジー計算クイズRPG 算数ファンタジア

 ゲーム感覚で計算力を身につけるアプリ「算数ファンタジア」リリース | ICT教育ニュースの記事を読んで、さっそく「ファンタジー計算クイズRPG - 算数ファンタジア」をインストールしてプレイしてみました。
 四則演算をときながらストーリーを進めるRPGです。1位数+1位数のたし算から始まって、だんだんレベルが上がっていきます。ちょっと進行がゆっくりなので、学校で使うというよりは家庭で使うことを想定しているものだと思います。だから、「九九から勉強したい」とかにも対応できていません。
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 いろいろわかりにくかったのは、計算の答えを選ぶときに、ボタンが赤と青に塗られていること。赤のボタンで正解するとキャラクター1が攻撃、青のボタンで正解するとキャラクター2が攻撃するようになっています。
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 しかし、ゲームの設計は、もちろん「どんなふうに学んでほしいか」が出るなあ、と思いました。このゲームは、「算数の計算問題が苦手な子に、計算問題に取り組むきっかけになってほしい」という興味喚起の部分に主目的があると思います。
 だから、あえてキャラクターが敵キャラに会うまでに時間がかかるようにもなっていて、問題と問題の間のインターバルが長くなっています。
 また、教科書の単元などの概念もまったくないので、学校の授業の復習としてやる、ということにも向いていないかもしれません。


 でも、「計算、あんまり好きじゃないなあ」という子に計算に取り組ませるにはいいかと思いました。

(為田)

授業で使えるかも?: NHKクリエイティブ・ライブラリー

 NHKクリエイティブ・ライブラリーのURL変更のお知らせを受け取ったので、アクセスしてみました。
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www.nhk.or.jp


 フキダシ動画やグリーティング動画などのページがあり、映像制作の授業づくりに使えるようになっています。
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 また、素材をダウンロードするページもあります。さまざまな画像、動画、音楽などをテーマ別で探すことができます。授業の中でちょっと見せたい画像や動画など、簡単に検索することができます。
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 もちろん、Googleなどの検索サイトを使っても画像や動画などを検索することはできますが、信頼できる画像・動画に簡単にアクセスできるという点、またNHKが作成した素材という信頼性の点で、活用するといいかもしれません。

(為田)

宝仙学園小学校 授業レポート No.2(2017年6月9日・13日)

為田がスクール・アクティベーションの役割を担っている、すべての年齢のクリエイターが使える安全なグローバルコミュニティ「Creatubbles(クリエイタブルズ)」についてのエントリーです。

 2017年6月9日と13日の2日間にわたって、宝仙学園小学校の6年生の理科の授業を見学させていただきました。吉金佳能 先生の授業のテーマは、「Science Magic Challenge」でした。No.1では、グループに分かれて実験を撮影している様子を紹介しました。No.2では、撮影したムービーを世界に発信するまでの様子を紹介します。

 録画した実験ムービーを各自で編集していきます。撮影した実験のムービーを取り込み、BGMをつけ、タイトルや字幕を入れていきます。
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 グループの中で、編集を中心に取り組む児童が出てきて、実験の後片付けをする児童と、動画を編集する児童と、グループごとにそれぞれに役割分担ができてくるのがおもしろいと思いました。それぞれのグループで適材適所に自律的に動けているように感じました。(床に水溶液がこぼれるなど、いろいろなトラブルも実験中には起こっているのですが、先生が対処するというよりは、各グループで自己解決をしていました。こうした部分も、このクラスが非常に自律的だと感じられたところです。)
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 完成したScience Magic Challengeのムービーは、吉金先生が作ったクリエイタブルズのギャラリー「science magic」の中に投稿されていきます。最後にクリエイタブルズにアップロードする直前には、吉金先生に最終チェックを受けます。この授業の最初にきちんと「著作権とプライバシーに注意しなさい」ということを授業開始時に指導しているため、大きな直しなどはなかったようでした。
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 吉金先生のクラスで作った、クリエイタブルズのギャラリー「science magic」はこちらからアクセスできます。クリエイタブルズでは、顔などが写り込んで個人が特定できるような写真については、チェックをして公開されないようになっています。また、先生が児童のアカウントの管理者になることで、コメントなどの表示/非表示を管理者が設定することができます。こうした特徴があることで、吉金先生はムービーをクリエイタブルズで公開することにしたそうです。
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 投稿した作品にバブルがつくと、児童からは声があがります。知らない国の名前が出ていると、「これどこ?」と話し合ったりもしていました。
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 また、他のクラスがアップロードしたムービーをみんなで見るということもしていました。
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 おもしろい実験ムービーを作ろう、という吉金先生のScience Magic Challengeに、「世界に対して発信しようぜ!」という新しいアクティビティを加えることで、理科室の中で行った実験に対して、世界中の国々からリアクションが来る体験をすることが、教室にいながらできるのは、大きな自信にもなり、新たなモチベーションを生むと思います。

(為田)

宝仙学園小学校 授業レポート No.1(2017年6月9日・13日)

 2017年6月9日と13日の2日間にわたって、宝仙学園小学校の6年生の理科の授業を見学させていただきました。吉金佳能 先生の授業のテーマは、「Science Magic Challenge」でした。理科の水溶液の性質を使った実験に、グループごとにチャレンジします。
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 もともと、3月のJAPET成果発表会において、吉金先生が昨年度に行った「Science Magic Challenge」を発表されていて、「発表の場としてYouTubeなどでは個人情報の問題もあり、安全にアップできる場がないかと考えている」とおっしゃっていたのを、モデレーターを務めていた文教大学の今田晃一先生が、「クリエイタブルズというのがありますよ」とコメントをしていただいたご縁で、ご挨拶をさせていただきました。
 今回の授業で作るScience Magic Challengeのムービーは、クリエイタブルズ上で公開され、世界50カ国以上にいるクリエイタブルズのユーザーからバブル(Facebookの「いいね!」に相当)をもらうことになります。吉金先生は最初から、「世界に発信しようぜ!」と児童たちに伝えていました。
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 吉金先生のScience Magic Challengeでは、好きな実験を選んでできるようになっていました。「この実験をしたい」と児童が言ってきたら、それに必要な薬品や実験道具などを先生がサポートしながらグループで準備し、それぞれに実験をし、撮影していきます。
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 撮影は、一人1台持っているiPadで行っていました。水溶液でどんどん色が変わっていくムービーや、液体を加えると泡がフラスコから溢れてくるムービーなどが撮影されていきます。
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 撮影の仕方も、各グループで工夫をしています。手で持って撮影をしているグループもありますし、固定して撮影しているグループもありました。
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 各グループ、1つの実験だけではなく、何種類かの実験をしていました。実験は、YouTubeでおもしろ実験を検索して、そのとおりに再現しているグループもあれば、検索して見つけた実験を行っているグループもありました。iPadのロイロノートに実験の計画を書いて、これを見ながら実験をしているグループもありました。
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 行う実験については、学習した「水溶液の性質」に関連する実験ならば、自由に「自分たちのやりたい実験をする」というスタイルだそうです。
 まだ習っていない反応などが実験に含まれていることもあるそうですが、「それも、興味をもって、いずれ座学の方で学ぶときのモチベーションになればいい」というふうに吉金先生はおっしゃっていました。
 この理科の時間は2時間続けての授業でした。2時間続きでやるから実験できる、失敗できるのだと言います。


 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp



(為田)

霞城学園高等学校 訪問レポート(2017年6月22日)

 2017年6月22日に、山形県立霞城学園高校を訪問させていただき、齋藤薫先生にインタビューしてきました。霞城学園高校は、3Dプリンターを使って「思いを形に」する授業を実施しているそうです。3Dプリンターを使って、全員スマホスタンドを使ったりしているそうです。
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 教室には3Dプリンターを使って生徒の皆さんが作った作品がたくさん飾ってありました。地域に開放したワークショップを開催していて、そうした機会に生徒たちを社会と交わらせることを目指しています。
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 オブジェとしての作品を作る、というのもおもしろいですが、デザイン思考と組み合わせて「自分が使いやすいイヤホンコード巻き?を作ろう」のような設定にするとおもしろいのではないかと思いました。
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 齋藤先生は、やまがたメイカーズネットワークでの、教育用3Dプリンター導入プロジェクトにも関わっているそうです。サイトの代表挨拶をご紹介します。

次代を担う子どもたちに3Dプリンターを贈ろう!!

 このたび、ものづくりが盛んな山形県ならではの「地の利」を活かし、本県の教育界、産業界、関係機関等の有志が連携し、「やまがたメイカーズネットワーク(YMN)」を設立しました。この組織は会の目的に賛同する有志で構成され、会員の企画・提案型の活動や連携・交流を行いながら、やまがたの次代を担う「人財」の育成を目指します。
 そこで、県内企業の部品をふんだんに使用した手作りの3Dプリンターを製作し、県内工業高校をはじめ小学校・中学校・高校・特別支援学校等の教育機関100校に贈るプロジェクトを推進していきます。


代表挨拶 - やまがた メイカーズ ネットワーク

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 工業高校だけでなく、あらゆる教育機関100校に贈るプロジェクトというのは、どこの自治体でもできることではなく、非常に興味深いと思いました。このインタビューをさせていただいた時点で、80校くらいまで贈ることができた、とおっしゃっていました。
 授業の中で3Dプリンターをどのように使っていくか、ということについては、受け入れる学校側にも授業計画などがなければなりませんし、先生のスキルも必要になると思いますので、稼働率がすぐに大きく上がっていくことはないかもしれませんが、「ものづくり」を進めていくという点では、プログラミングだけでなく、3Dプリンターという選択肢が増やすことができるのは、学校にとってもプラスなのではないかと思いました。

 県外からも、このやまがたメイカーズネットワークの3Dプリンターを贈る活動に興味を持つ学校が出てくるといいなと思いました。

(為田)

奈須正裕『「資質・能力」と学びのメカニズム』 ポイントメモ

 奈須正裕『「資質・能力」と学びのメカニズム』を読みました。「資質・能力」がどうして重要なのか、ということが本当にわかりやすく、順を追って説明されていて、わかりやすかったです。

「資質・能力」と学びのメカニズム

「資質・能力」と学びのメカニズム

 「第2章 資質・能力を基盤とした教育」の扉には、「子供の学びへのQ」と書かれていて、以下の3つの項目が書かれています。

  • とにかく知識量を増やしてあげないと、どうにもならないのでは?
  • 「B問題」の正解率はどうしたら上げることができますか?
  • 結局、最近の子供は根性や気合が足りないのではないですか?

 本当に、そうだなあと思うところもあるし、正直このあたりがはっきりどうなったらいいのかが自分でもわかりません。

 「第2章 資質・能力を基盤とした教育」の中では、資質・能力に対応する英語として、「コンピテンシー(competency)」が紹介されます。コンピテンシーは、「教科等を横断する汎用的なスキル」とされています。

ここで気を付けるべきは、従来の学習指導要領において各教科等の主要な「内容」(コンテンツ:content)であった領域固有な知識や技能を、コンピテンシーと対立する位置に置き、あれかこれかの二者択一で思考する過ちを侵さないことです。

 いかにもなりそうだ…と思ったりもします。これから、移行期間を迎え、新しい教科書が用意され、だんだん具体化してくるのでしょうが、やはり最終的にどう授業に反映されてくるのか、先生方の考え方や教え方や評価の仕方がどう変わってくるのか、その部分を見ていきたいと思っています。

 「第4章 各教科等の特質に応じた「見方・考え方」」も、とても勉強になりました。この章の扉には、「教科の本質へのQ」と書かれていて、以下の3つの項目が書かれています。

  • 「見方・考え方」というのはそもそも、どういったことを指していますか?
  • 「対象」や「領域」で各教科等を特徴付けることと何が違うのですか?
  • 各教科等ごとに、役割をきっちりと分担していくべきということですか?

 他の部分に関しても、本当に考える機会をたくさんくれた本でした。何度も読み返したくなるように思っています。読んだ先生方と一緒にディスカッションしてみたいです。

(為田)