教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

「Z会アステリア」総合探究講座 体験レポート まとめ(2017年12月1日)

 2017年12月1日に、Z会が提供する、iPadを使って学ぶオンライン講座「Z会アステリア」の総合探究講座を体験する機会をいただきました。総合探究講座の中には、「協働学習」「探究学習」「個人学習」の3つのセクションがあります。
f:id:ict_in_education:20171206232534j:plain

 No.1で、この中から協働学習を体験レポートしました。
blog.ict-in-education.jp

 No.2では、「協働学習」で学んだ後、「探究学習」と「個人学習」について、どのようなことができるのかをレポートしました。
blog.ict-in-education.jp

 No.3では、今後の展望などを(勝手に)レポートしました。
blog.ict-in-education.jp

 まだお読みになってない方は、ぜひどうぞ。

www.zkai.co.jp


(為田)

都立高、個人スマホを授業で活用へ 18年度から

 東京都の新年度予算案の知事査定が4日から始まったそうです。そのなかで、都立高校などで生徒が所有するスマートフォンを活用するため通信環境などを整備するために2億3000万円が計上されているそうです(「都立学校スマートスクール構想」)。

都立高は全186校。このうち10校をモデル校に選び、18年度にWi―Fiを整備。効果や課題を検証しながら20年度以降、全校に広げることを目指す。

東京都新年度予算案 知事査定始まる 2年ぶりに7兆円台の見込み | NHKニュース

www3.nhk.or.jp


 日経新聞では、学習記録のビッグデータ化も視野に入れているとも報じられています。

スマホの校内持ち込みを禁止してきた高校も多いため、新たな学校のルールづくりやスマホを持っていない生徒への対応などについて19年度までに検討する。ICTを活用した授業で蓄積される学習記録のビッグデータ化などにより、指導方法を改善し生徒の苦手分野の克服につなげることも視野に入れる。

都立高、個人スマホを授業で活用へ 18年度から :日本経済新聞

www.nikkei.com

◆ ◆ ◆

 どんなユースケース(利用場面)を想定しているのかが、とても気になります。「授業中でも、いつでもスマホを取り出して検索とかしてもいいぞー」なのだろうか。自分が持っているスマホWiFiに接続するという形で、いろいろクラウドサービスを使えるようにもするのだろうか。クラウドサービス使っていろいろなアウトプットをさせたりするならば、iPadの方がいいかな。iPadも接続OKにするのかな。
 モデル校になる10校がどんな学校で、どういった目標を設定して、どういったユースケースを想定するのか、ということに非常に関心があります。新年度予算案は1月26日に公表されるそうです。

(為田)

書籍ご紹介:『学習情報研究』「教科学習におけるデジタル教科書」と「タブレット端末」(2018年1月号)

 「学習情報研究」(2018年1月号)がオフィスに届きました。お世話になっている方々がたくさん寄稿しています。楽しみながら読みました。

学習情報研究 2018年 01月号 [雑誌]

学習情報研究 2018年 01月号 [雑誌]

 特集は「教科学習におけるデジタル教科書」と「タブレット端末」です。非常に勉強になりました。気になった点、これから深めていきたい点についてメモしておきました。

「教科学習におけるデジタル教科書」

  • 加藤直樹先生(東京学芸大学
    • すべての授業でタブレット端末を利用する必要はない。児童生徒にどのように使わせるかを熟慮して授業設計をする必要もない。
    • 児童生徒が自分の学びのスタイルに合わせて必要なときに使えるようにすべき。
    • タブレット端末を使うときの効果は、そのほとんどがタブレット端末を「使いたいときにいつでも使えること」が前提。一人1台が必要。
  • 二宮皓先生(広島大学
    • 「主として欧州ではどこの国が教室のデジタル化が最も進んでいますか。」→「デンマーク」。デンマークは製作的にデジタル化を強力に推し進めてきた。
    • OECDの報告書『生徒・コンピュータそして学習』(2015年)では、デンマークの学校はデジタル最先端校であり、学校でのコンピュータ使用割合も90%弱と非常に高いと評価。だが、PISA学力とデジタル化については明確な関係が見られないとも報告。
  • 稲垣忠先生(東北学院大学
    • 算数・数学科とデジタル教材の特徴は、「動画 アニメーション」「シミュレーション」「ドリル」「自動化」「系統性」。
    • ガニェの9教授事象と教師のデジタル教材活用を対応させると、「導入」「展開」のところで多く使われることが想定される。一方、児童・生徒のデジタル教材活用と対応させると「展開」「まとめ」のところで多く使われることが想定される。
  • 清遠和弘氏(東京書籍株式会社)
    • デジタル教科書開発者の視点から、教科書がデジタルという表現手段を得たときにどんな可能性が広がるか?
      • 動的な表現がもたらすメリット。動的な表現を加えることで、教科書の意図やねらいをより正確に表現できる。
      • 自由に操作できることのメリット。学習者が自分の意思で自由に操作して試行錯誤(シミュレーション)できるコンテンツが収録されている。
      • 学級の実態に応じた個別化ができるメリット。全国統一のコンテンツだけでなく、学校の周辺高校雨写真や学校で用意する写真やデータなどを使って、個別に編集が可能になる。「教科書」という「一般」を「学級」という「個別」に置き換えることが可能になる。
    • デジタル教科書の最大の特徴は、「教科書である」ということ。かつて1色刷りだった教科書は、多色刷りになって表現の幅を飛躍的に拡げた。デジタルという新しい表現の手段を得た今日、教科書として何をどのように表現すべきか。教材研究の視点でデジタル教科書のあり方を問い直す必要あり。

タブレット端末」

  • 楠本誠先生(松阪市教育委員会
    • タブレットを活用するために考えたいポイント
      • タブレットで学びをつなげる3つの視点。「時間をつなげる」「場所をつなげる」「人をつなげる」
      • 理科とタブレットの親和性。カメラの活用により、色、音、瞬間を記録できる。視覚化アプリ(天体、オシロスコープ等のアプリ)の利用。
      • 生徒が学習効果を感じる6つの活用法。「撮る」「書く」「見る」「見せる」「送受信する」「拡大する」
  • 永野直先生(千葉県立袖ヶ浦高等学校
    • 異なる教室間、学校・家庭間での活用。タブレット端末を生徒各自がもつことで、普通教室でスライド作成やプレゼンテーションなどを、さまざまな教科内でいつでも行うことができる。
    • 体育や部活動等での活用。学校内での利用や機能に特に制限はしていない(有害情報のフィルタリングはしている)。部活動ページへの書き込みも、生徒自身が活動場所からiPadで行っている(公開前に職員の承認が必要)。
    • 校外や学校行事での活用。行事の様子を写真や動画に収め、クラス内で共有している。
    • 目的外の利用については、心配。だが、端末に機能制限をしても問題は解決しない。生徒自身が情報モラル・情報リテラシーを身につけて、主体的に行動しなければ、問題は解決しない。

まとめ

 デジタル教科書についても、タブレット端末についても、多くの先進事例や研究などからの知見がたくさん紹介されています。興味ある方は、ご一読を。
f:id:ict_in_education:20180104002659j:plain

学習情報研究 2018年 01月号 [雑誌]

学習情報研究 2018年 01月号 [雑誌]

(為田)

2018年の行動目標「学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」

 2018年となりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。年末年始の間に、2018年の自分自身の行動目標を考えてみました。
f:id:ict_in_education:20180103235833j:plain

行動目標:学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする

 年末に寝込んでいるときに、スローガンを考えていました。そこで思いついたのは、「Help Schools Become Future Ready」というもの。「学校が“未来に向けた準備“をするのをお手伝いする」というようなイメージです。
 これは、ICT整備のお手伝いをする、というのもそうだと思いますし、ICTを使った授業ができる先生を増やす、というのもそうだと思います。もっと極端に言えば、これからの社会で子どもたちが自己実現をするために必要な知識や知恵を与えるための授業のお手伝いをする、というのもそうだと思います(ICTを一切使わない授業だとしても)。

本ブログ運営方針

 上に書いた行動目標「学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」を実現するためにいろいろな活動をしますが、その活動の中核にあたるのは、このブログになると思います。
 このブログは、広告収入になっているわけでもないし、誰に頼まれて書いているものでもありません。このブログ自体がメディアとして売上をあげているわけでもありません。でも、為田の活動としてはど真ん中にあり、このブログがメディアとして僕にもたらしてくれているのは、「人の縁」と「社会的信用」だと思っています。このブログを運営していくにあたり、2018年は、以下の方針でやっていきたいと思っています。

  1. 授業をもっと見に行く→月に2件、授業レポートを出す
    • このブログの核は、ICTを活用して授業の質を上げている先生方の「授業の様子」をできるだけ、授業者目線でレポートすることです。そこが強みだと思っています。
    • そのわりに、学校を訪問し、授業を見る機会が2017年は少なかったと自己評価しています。
    • だから、月に2件は授業を見に行きます。そして、できるだけすぐにアウトプットします(2017年のものだってまだできていないものもある現状は変えます!)。
    • 「うちの授業見に来てください!」「この先生の授業、おもしろいです」というメール・DM・コメントは大歓迎です。
  2. できるかぎり、自分で試してみる
    • 2017年の後半から、「やってみた」というカテゴリーを作りました。いろいろなアプリやサービスなどは、自分でやってみようと思っています。やってみると分かることもたくさんあると思っていますので、どんどん、やってみます。
    • 「これ、おもしろいですよ!」というメール・DM・コメントは大歓迎です。
  3. きちんと原典にあたる
    • バタバタといろんなプロジェクトをしているから…というのは言い訳にならないので、きちんと原典にあたることをしたいと思います。現場の先生方とお話をしていて、自分が勉強不足だなあ、と思うことが多いのです。新学習指導要領、文部科学省をはじめとする省庁の文書など、もっともっと読まなければいけないと思いました。がんばります。

まとめ

 このブログを書くようになって、本当に多くの先生方とのご縁をいただきました。まだまだたくさんの先生方の授業を見させていただきたいと思っています。
 これまでお世話になってきた先生方には、本当に感謝しかありません。いつも多くの学びをいただいています。現場の知恵の凄さを感じています。2018年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 そして、まだお会いしていない先生方とも、ご縁をいただけるように、頑張っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(為田)

2017年 年末のご挨拶:自分のやりたいことを再確認→2018年へ

2017年も大晦日。今年一年、本当にたくさんの方々にお世話になりました。ありがとうございました。フューチャーインスティテュート株式会社のメンバーとして、セサミストリート・ティーチャーとして、戸田市教育委員会 21世紀型スキル育成アドバイザーとして、お世話になった皆様に本当に感謝しています。
ある会社の納会で、「為田さんは結局、何をしたいと思っているの?」と訊かれました。いろいろな活動をしているし、統一感もないかもしれず、なるほど…と思ったのですが、9月に授業をさせてもらった秋田市外旭川小学校の4年生にも同じ質問をされたことを思い出しましたので、年末のこの機会に、ちょっと書いてみようかと思います。
自分の中では、これは大学時代から変わらないテーマです。一貫して持っているつもりでいます。僕は、「世界を平和にしたい」と思っています。自分の身の周りが平和でなくなりそうなとき、例えば、何か重大なことが起こったとき、ニュースなどがヘンテコなことを言い始めたときに、「あれ?これっておかしくないかな?」「自分はどうするべきかな?」と自分で考える人を増やしたいと思っているのです。そのために、学びは大きな力になります。だから、学びの方法を知っている子どもを増やしたい。考えることが好きな子どもを増やしたい。そのために、“自分で考える”、“正解がわからないことも考える”、“他の人と協力して問題を解決する”、そういう子どもを育てるために、学校をはじめ教育現場をお手伝いしたいと思っています。

  • ICTが学校で教えられるようにしたいのは、ICTリテラシーがこれからの子どもたちの将来において、大きな力になると思っているから。
  • 先生方がICTを使えるようになったらいいと思うのは、先生方の教え方のオプションが増えることで、学ぶことが好きな子どもが増えればいいと思っているから。
  • セサミストリートの「夢をえがき、計画をたて、行動する:みんなで考えるファイナンシャル・エンパワーメント」を日本全国で教えたいのは、夢を実現する方法(もちろん、そこには正解はないと思います)を子どもたちに伝えたいと思うから。
  • 基礎学力を向上させるドリル(紙媒体もデジタルも含めて)の開発に協力しているのは、小さい頃に「勉強なんて嫌い」と言う子を減らして、学び続ける人を増やしたいと思うから。
  • 紙の書籍の教育監修、テレビ番組の教育監修をしているのは、学校以外の場面で「知るってことは楽しい」「勉強するって楽しい」と思ってくれる人が増えればいいな、と思っているから。

自分の中では、全部が繋がっていると思っているのです。外旭川小学校で、4年生の女の子が、「為田先生が平和な国にしたいと思っていて、正解のないことを考えるということをこうして授業でしているのは、すごいと思いました。」と授業後に感想を言ってくれました。これが、2017年、いちばん嬉しかったことかもしれません。「届いた」と思いました。

2017年はもう終わり。2018年も、たくさんの学校を訪問して、たくさんの授業を見せてもらって、たくさんの先生方と子どもたちと話して、自分にできることを積み上げていきたいと思っています。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

(為田)

千葉県立袖ヶ浦高校 平成29年度課題研究発表会 レポート まとめ(2017年11月24日)

 2017年11月24日に、千葉県立袖ヶ浦高校 情報コミュニケーション科の平成29年度課題研究発表会に参加してきました。袖ヶ浦高校の生徒たちは一人1台のiPadを持っていますが、情報コミュニケーション科の科長である永野直 先生は、「一人1台のiPadを活用すること自体が目標ではない。ICTと社会をつなげて創造的に課題を解決するのが目標」と言います。この「社会で創造的に課題を解決する」という目標へのステップとして、課題研究発表会は存在しているのだと思います。
f:id:ict_in_education:20171130115744j:plain

 全4回で、3年生のポスターセッション、2年生のプログラミング展示、永野先生によるプレゼンテーションの内容などをレポートしています。

blog.ict-in-education.jp

blog.ict-in-education.jp

blog.ict-in-education.jp

blog.ict-in-education.jp

(為田)

【メディア掲載】大掃除をゲーム化&プレジデントオンライン「親とゲームをする子は将来"食っていける"」

 年末で、大掃除をしている人もいるかと思いますが、Twitterのタイムラインで大掃除をビンゴゲームにしているお母さんのことが流れてきました。

 こうしてゲーム化するのはとてもいいことだと思います。「いやなことを、いかに楽しむか」「楽しんでいるうちに、できちゃう」というふうに自分で設計するのは本当に大切なスキルなように思います。
 僕がフェローとして参加しているLudix Lab*1の代表、藤本徹先生が翻訳されたジェイン・マクゴニガル『幸せな未来は「ゲーム」が創る』にも通じるものがあるな、と感じました。

幸せな未来は「ゲーム」が創る

幸せな未来は「ゲーム」が創る

幸せな未来は「ゲーム」が創る

幸せな未来は「ゲーム」が創る

 学校の教室では、先生方がこうしたゲーム化する工夫はたくさんされていると思います。また、タブレットやオンラインで使うことができる教材にも、こうした工夫はたくさんされています。実は、教育と相性がいい分野だと思います。

◆ ◆ ◆

 先日、Ludix Labで協力した、プレジデントFamilyの記事については紹介しましたが、プレジデントオンラインでも紹介されました。インタビューの中で紹介したけれども誌面には載らなかった内容が多く掲載されています。デジタルゲームについてではなく、アナログゲームになるのですが、関心ある方はぜひお読みいただければと思います。
president.jp

*1:Ludix Labは、ゲームと学習に関する研究・開発・実践を支える学術的な研究基盤としての役割を担い、この分野の研究者、開発者、実践者のコミュニティ形成を支援するための活動を行っています。