教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

私塾界リーダーズフォーラム 2016 in 東京 レポートNo.1(2016年7月4日)

 7月4日に、私塾界リーダーズフォーラム2016 in 東京に参加してきました。月曜日の午前中からの開催ですが、多くの来場者で驚きました。
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 午前中の2つめのプログラムだった、質問対応システムmanaboが非常におもしろいと思ったので、気になったところをメモしたいと思います。
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mana.bo

manaboとはどんなものか

 代表の三橋さんのプレゼンテーションのスタートは、どうしてmanaboを作ろうと思ったのか、というところからでした。

  • 三橋さんが、個別指導塾で働いていて、その現場で生まれたサービス。
  • メールで質問を受けると、メールで返信をしなければならない。また、電話でもらうと、電話で説明しなければならない。
  • 先生は教えてあげたいと思っているが、電話やメールでは返答しにくい。生徒からは、「いつものあの先生に訊きたい」と思っている。
  • そうした実体験がもとになっている。

 電話にしろ、メールにしろ、結局教えるときにはその場に一緒にいて数式や文字や補助線や、そうしたものを書きながら説明をする方がわかりやすい。これは今までしかたないと思っていたのですが、manaboの場合は、この問題がかなり解決されるように思います。
 三橋さんが見せてくれたmanaboのムービーを見てみると、ホワイトボードをお互いの画面で共有して、書きながらの説明と言葉の説明が組み合わさる様子が見られます。
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 また、先生を自由に選べるというのもいいと思います。manaboには大学生講師が2200名登録しているそうで、ユーザーは質問したい問題を写真で撮って、manaboに投げると、「あ、これは答えられる。説明してあげられる。」と思った先生が立候補するというシステムになっています。24時間、誰かしら先生がいるので、あ、これをいま質問したい!というときに、すぐに質問できるのもいいと思います。
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 大学受験を控えている高校生だと、学校行事や部活や塾などで遅くに帰宅して、それから勉強を始めるとどうしても遅い時間になりますが、その時間でも先生にいつでも質問ができるというのがいいですね。
 manaboを使っているユーザーは、大学受験を控えている高校生だけではないそうです。下は小学校4年生くらいからいるそうです。よく使われているのは、ちょっと田舎に暮らしている子どもたちだそうです。塾や家庭教師などのリソースが不足している地域で、学びたい、という子どもに使ってもらえているそうです。
 実際、そうした地域だと、そもそもリソースが少ないため、ICTを通じて外部にあるリソースを使えるようにすることは非常にメリットのあることだと思います。

www.youtube.com

学校や学習塾の中に入るmanabo

 manaboは、個人のユーザーに対するサービス提供だけでなく、法人向けのサービスも開始したそうです。学校や学習塾にmanaboのサービスを提供しているそうですが、パターンとしては、下の2つがあるそうです。

  • 学校に共有のタブレットをおいているパターン。
  • 生徒に1人ずつ、個人端末を持ってもらうパターン。

 このプレゼンでは、三橋さんと一緒に、川崎市にある学習塾ユニバースクールの湯浅先生と天野先生が参加していました。ユニバースクールでは、中学生と高校生が学んでいるそうですが、湯浅先生は「中学部までは先生はなんとかなる。高校部になると、内容も専門的になり、講師を集めるのが大変。」と言っています。
 こうした問題をmanaboが解決するということも可能になります。また、外部のプロ講師と接続する、というのではなく、直近数年で大学受験をしたお兄さん/お姉さんに教えてもらえるというのは、講師+チューター的な立ち位置の斜めの関係ができて、学校の先生・学習塾の先生とは少し違う役割がmanaboを通じて提供できるのではないかと、話を聞きながら思いました。
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 操作方法についても、普通のタブレットスマートフォンを用意すればいいだけなので、簡単に始めることができそうです。最近の生徒たちは、スマホに慣れているので、操作にまったく問題はないそうです。
 実際に、生徒のピークタイムは23時だそうです。家に帰って、それから勉強始めて…というタイミングをサポートできるのがmanaboの価値だと言う三橋さんの言葉は、そのとおりだなあ、と思います。
 三橋さんは、「将来的には、先生の数が増えると、生徒が自分の志望する大学の先生に進路相談してみたい、などのようなきめ細かい指名の仕方はできるかな」と言っていました。また、この生徒は、この先生と合うんじゃないですか?というレコメンデーションもできるかと思っているので、近いうちに実装していきたい、と言っていました。
 レコメンドの材料としては、すでに現在、質問とその解説が終わった後に、先生を評価しているので、この評価などを使って、「どういう教え方をする先生か」というのが細かくわかるようになるそうです。
 先生がこうして生徒から評価をされる、外部の講師と比較される、というのは大変ではあるけれど、長期的には質が高まると思います。
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質疑応答

 最後に出た質疑応答についても、書いておきます。

  • 【質問】学校への展開は?
  • 【三橋さん】少しずつ動いている。日大附属の中高で、法人端末利用プランで、展開している。その他、学校法人でmanaboを取り入れたいという声ももらっている。予算やデバイスの関係で、すぐには動けていないが、中長期的には展開したいと思っている。

 学校で先生方が全員大学受験の問題などについてしっかりサポートをする、というのは大変だとは思いますので、入ってくるのはありかな、と思いました。また、学校でやるならば、卒業生を優先的にマッチングしてくれたりするといいかな、と思いもしました(どれくらい講師が集まるか、という問題はあるでしょうが)。

  • 【質問】すらら、スタディサプリとの違いは?
  • 【三橋さん】すららについては、協業をしている。すららのコンテンツを見て、わからないところをmanaboで質問する、という展開を行なっている。スタディサプリについては、動画配信サービス。コンテンツを提供しているサービスがあって、それを見ただけではわからない部分をmanaboがサポートする形なので、競合ではなく、むしろ補完的な関係であると理解している。

 そうですね。コンテンツを提供するサービスとは、競合にならずに補完関係になれると思うので、こうした協業の結果がどのようになっていくのか、楽しみに見ていきたいと思います。

 学校の先生方で、manaboのサービスを実際に生徒さんに使わせてみたい、という先生がいらっしゃったら、manaboさんをご紹介したいので、ぜひご一報ください。特に、生徒たちがすでにiPadを一人1台持っていたりするならば、障壁は低いのではないかな、と思います。
 先生向けに、どの生徒がどんな質問をしたかを見るダッシュボードも開発されていますので、授業とmanaboの組み合わせ、進路指導とmanaboの組み合わせ、卒業生を含めた学校コミュニティ構築とmanaboの組み合わせなど、トライしてみる価値のあるアイデアではないかな、と思います。

(為田)