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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

【イベントレポート】先生のための“プログラミング研修講座”~2学期から始めるプログラミング学習 No.1(2016年8月4日)

 8月4日に、D2Cホールを会場に、先生のための“プログラミング研修講座”を開催しました。これは、プログラミング必修化を視野に入れて、プログラミングのワークショップなどが夏休みにも多く開催されていますが、それらは子どもが参加者であり、先生方が「どう授業するのか」という視点のワークショップがなかったため、為田が代表を務めるフューチャーインスティテュート株式会社が主催し、小金井市立前原小学校の松田校長先生と一緒に開催したものです。
レポートの第1回は、研修講座の最初に行った、松田先生による模擬授業です。前原小学校で終わったばかりの1学期に行ったプログラミング授業6時間分を1時間でダイジェスト版にしてもらいました。どういったことをやったのかを紹介してもらうとともに、そのときに児童たちとのやりとりはどんなふうになるかなどを伝えてもらいました。
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 前原小学校でやったのと同じ手順を教えてもらいました。最初から子どもたちに「プログラミングをやるよ」というと難しいので、導入は飛び道具を使うそうです。子どもたちにプログラミングの授業で最初に見せるのは、BB-8です。去年の9月に出て、映画が12月に公開。これを躍らせて、子どもたちに見せます。「踊るんだよ」と言うと、「えー」とか言われるそうですが、音楽が鳴り始め、BB-8が動き出すと、子どもたちのテンションが上がっていくそうです。
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 BB-8が踊り終わると、子どもたちにインタビューをしてもらいます。「踊りを覚えるのたいへんだった?」「疲れませんか?」と質問をするとBB-8は何と答えるだろうと考えさせるのです。そこから、「すべては命令通りに動くから、覚える必要はないし疲れもしない」、「プログラミング=命令する」ことを確認して授業を進めていったといいます。
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 前原小学校では(というか、多くの学校でそうだと思うのですが・笑)、職員が誰もプログラミング授業をやったことがなかったので、「やらないんだったらやるよ」と言って、松田先生が自分で授業をしたそうです。3年生から6年生までの四つの学年の最初にやる授業は松田先生が自分でやって、それを先生方が見て、その後は自分たちなりに工夫して授業しています。松田先生は、「教員がやるのが大切なんです」と言います。この言葉は、意外と学校の先生から聞けないかもしれません。“プログラミングを教えること”が大事なのではなく、“先生がプログラミングの授業をすること”が大事なのだと思います。

 その後、松田先生の紹介に従って、Scratch Jr.などさまざまなビジュアル言語で実際にプログラミングしてみました。参加者は実際にプログラミングを体験してみながら、その間に松田先生から、授業中にどんな声かけをすればいいのかというノウハウの説明を受けていきます。
 例えば、Scratch Jr.をやっているときには、「ブロックを並べていくことがプログラミングで、その命令通りにスプライトが動く」ということがまずは分かればいい。「スプライトという専門用語が出てきたときには教えるのですか?」と訊いたら、「それはキャラクターのことだよ」と説明するということでした。
 そうして個別にどんどん進めていって、子どもが「これどうやって動かすんだ?」と困ってしまった時がチャンスだと言います。前原小学校の授業では、そうした場面で、みんなで考えさせているそうです。「これ、どうやって動かしたらいいと思う?」と教室全体に問いかけ、みんなで考える場面を作るそうです。「そうすると、90分(45分授業×2コマ)に個別と協働のメリハリがつくようになります。そしてそのときに大事なのは、先生方は普段の子どもの様子をよく知っているので、おとなしい子やあまり上手く友だちと関われない子の、先生がこれはと感じた疑問やプログラムを意図的にピックアップして全体へ広げていくことです。」と、松田先生は言います。


 このワークショップでもそうでしたが、プログラミングを始めると、没頭する子どもたちも出てきます。松田先生に、「子どもたちが没頭してしまったときにはどうするのですか?」と訊くと、「まず初めにプログラミングの授業のルールについて確認して、約束します」「特にタブレット端末やノートPCを使いますから、先生の指示を聞くことができなければ、道具は使えないことを伝え、約束できる人が参加するようにします」と返答されました。活動する時間が過ぎれば、「はい、終わり!」としっかり言うそうです。ルールだから、「終わり」と言われたら終わる、ということを徹底するそうです。
 こうした言い方ができるのも、学校の良さだと思います。集団の授業ではこうした、「みんなで集中させたり、みんなでやっているところをやめさせたり、というのが難しい」子どもたちへの投げかけ、集団をいかにコントロールするか、それは先生にしかできないことだと感じました。
 また、学校で「学ぶ」ことの良い面としては、プログラミングの活動をしているときに、教室でわからなかったら、“手を挙げること”、“グループの人に訊くこと”をすすめているそうです。なぜなら、“援助要請ができること”はとても大切なことだからです。また、助ける側の子どもたちにとっても、「教えて」という人に「うるせーな」と答えるのではなく、「こうだよ」と教えてあげられるようになってほしいということでした。援助要請&能動的援助行動が自然とできる学級は、子どもたちの関係性が豊かです、と松田先生は言います。
 こうした、学校で行うからこそ!、というのは本当に大事です。今回のイベントで、「先生のための」とつけたのは、まさにこうした学校での実践を通じて得たノウハウを多くの先生方に伝え、2学期になって先生方にプログラミングにチャレンジしてもらいたいからでした。
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 このセッションの最後にはViscuitを使ってグループみんなで課題に取り組むこともしてもらいました。Viscuitは「子どもたちがコンピュータサイエンスを学ぶために」原田博士が開発した宣言型のビジュアルプログラミング言語です。松田先生が原田博士のワークショップで学んだ課題(風邪の感染シミュレーション)を提示して、できたグループには、その様子をApple TVでみんなに見てもらいました。実際にこうした形式の授業は前原小学校でもしているそうです。前原小学校では、Apple TVがあるから、「Airplayでミラーリングして」というと、それでOKなんだそうです。課題をみんなで考え、「こうしたらいいんじゃない?」と問題解決のアイデアを出し合い、考える。こうした設定を作り出すことで、主体的に学ぶ場ができるし、そうした場を作るのにプログラミングという素材が最高に適している、と松田先生はいつも叫んでいます(笑)
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 No.2へ続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)