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教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

【イベントレポート】先生のための“プログラミング研修講座”~2学期から始めるプログラミング学習 No.5(2016年8月4日)

 8月4日に、D2Cホールを会場に、先生のための“プログラミング研修講座”を開催しました。これは、プログラミング必修化を視野に入れて、プログラミングのワークショップなどが夏休みにも多く開催されていますが、それらは子どもが参加者であり、先生方が「どう教えるのか」という視点のワークショップがなかったため、為田が代表を務めるフューチャーインスティテュート株式会社が主催し、小金井市立前原小学校の松田校長先生と一緒に開催したものです。
 レポートの第5回は、質疑応答の様子をご紹介します。

質疑応答

 最後に質疑応答をしました。CreatubblesのCEO ポールさんと松田先生と為田が並んで、参加者のみなさんとディスカッションをしました。参加者からいただいた質問から派生して、ステージ上でのやりとりも非常におもしろかったのですが、その中からいくつか興味深かった応答を公開したいと思います。

  • プログラミングをするときに、すでに子どもたちの目が肥えていないだろうか。「あんなの作りたい」の基準が高くなってきませんか?そのときに「あんなの作りたい」という子どもたちの声に、学校は応えられますか?
    • むしろ、そういう言葉がでてきてほしい。多分、私(松田先生)には応えられない。でも、それでいい。「あのアプリみたいな感じ、ということでしょう。みんな知ってるよね?みんなでどうすればいいか考えてみようよ」と言えればいい。
  • 特別支援学校の中でのプログラミング学習の可能性は?
    • 私の勤務している都内の特別支援学校では、ViscuitWeDoというEV3を少し簡単にしたものをやっている。論理的思考力をつけるという意味ではちょっと難しい部分もあるが、ビジュアルで表されているということで、可能性はある。Viscuitも絵は描けるし、メガネを使って動かしたりというのはわかる。
    • We Doでは、ロボットを動かして、目標とするところで止める、というような活動をしている。そうした授業では、他の授業でなかなか学べないようなことが学べる。自分たちで試行錯誤をするようになってきた。
    • 視覚的に強い子どもたちが多く、本当に初歩の初歩のプログラミングしかしていないが、“いままでできなかったことが見える”と担任の先生も言っている。
  • 中学校高校の先生もいるので、ビジュアル言語というよりもタイピングさせてしまえばいいのではないか、ということもあるんじゃないかと思うんですけど、どうですか?
    • 今日、参加させてもらって、勤務校である中学校でこうしたプログラミング学習をしてきた小学生を受け入れるときに、どうすればいいのかな、中学校でしぼんじゃったらもうしわけないな、と思っていた。
    • 日本のプレゼン教育と問題構成が似ているな、と思っている。小学校でも中学校でも高校でも、調べて、それを伝えるというのは同じ。フレームワークは同じ、でも取り組むコンテンツは学年によって違う。校種や学年が違っても、フレームワークは同じで、その中でどんなコンテンツをするのかが違う、というのが大事だと思う。今日のワークショップではStrawbeesをやりましたけど、小学生でStrawbeesをやるとストローの方に興味が行くだろうな、と思う。それならば、ストローで形を作る、というところで終わってもいい。でも、逆にストローを使った工作で橋の構造とかをしっかり工学的に考える、という授業にすれば高校でも使えると思う。先生が、どのように使うのかがわかればいい。そうした実践事例がたくさん見られればいいと思います。それがCreatubblesで見られるかもしれないし、教育的サイトで見られるというのでもいいと思います。「なんでこれを使うのか?」ということがポイントになればいいんだと思います。そうしたところまで考えている学校はまだあまり多くないと思います。
  • プログラミング学習って、どうやって成績つけるんですか?
    • 私立の中学高校で、プログラミングを自分で作ってみた。プログラムがきちんと動かなくて、「なんで動かないのかねえ…」とグループで考えて、そうした試行錯誤をしている様子を学校で見られることが非常にいいこと。だが、それに対して成績をつけなければいけない、というのは非常に難しい。いっそ、プログラミングについては総合学習に出してしまえばいいか?と思ったこともある。が、そうすると情報科に残るのはタイピングや2進数とか、味気ないものになってしまう?
    • コーディングでも小学校でやってもいいんじゃないか?と思うんですけどね。
    • やりたければやればいいと思います。でも「やらなければいけない」ではない。
  • 小学校でも高学年くらいではタイピングもしっかりやらせたいと思うし、中学校高校だったら、絶対にノートPCじゃないかな、と思う。そのあたり、どうでしょうか?
    • うちの学校で、この夏に、ChromebookiPadが学校に配備されました。実際に入るとなったら、先生方はChromebookに関心が高まっています。iPadとCBとそれぞれに役割りがあるものの、とにかく「入れてくれ」と頭を下げたら、先生たちが積極的に使い始めた。50台でも100台でも、入れてやらせてみて、そこから先生たちもトライ&エラーでやってみるべきだと思う。3年後、5年後を考えるといろいろなリスクはあるが、待っていられないと思う。
    • 高大接続の入試で、PCを使った入試という話も昨年まではあったが、今年になって話を聞かなくなってきている。だが、社会に出て行くにあたって、タイピングなども必要なので、そうした学習を先生がワクワクしてやっていけばいいと思う。

▼ポールさん(左)と松田先生(右)
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まとめ

 松田先生は最後に「学校現場に帰って、実際にプログラミング授業に取り組んでみて、子どもたちの素敵な姿を見てほしいと思います」と挨拶をして、イベントを締めくくりました。朝から夕方までの長丁場の講習会でしたが、みなさん積極的に参加してくださいました。

 次回は、前原小学校での2学期の授業実践を含めて、冬休みに“冬期講習会”として行いたいと思っています。また、今回のこのご縁をきっかけに、先生方同士の間、また先生と企業の方との間で情報交換などが行われ、学校へのICT導入、プログラミング授業の普及、新しい学びの形の創出につながっていけばいいと思っています。

(為田)