2017年8月11日に、先生のための教育ICT夏期講習会@仙台を開催しました。今年度も、「夏こそ学び時!」(これは子どもも大人も同じ)ということで、たくさんの先生方に参加していただきました。会場はNTTドコモ東北支社の会議室をお借りしました。
現場でTwitterでの発信もしていましたので、それについては、別途Togetterを見ていただければと思います( 先生のための教育ICT夏期講習会@仙台(2017年8月11日) - Togetter )。ここでは、Twitterの方では拾いきれなかったことや、そこから感じた感想などを追記してまとめていきたいと思います。
なお、この夏は「先生のための教育ICT夏期講習会」を@東大と@仙台と2回やりました。仙台でのバージョンは東大でのバージョンとだいぶ違っていました*1。新ネタもたくさんあったそうで、こうして新ネタをいつももってくるあたり、松田先生の「先生らしさ」が出るところだなあ、と思いました。
スタート~基調講演
イベントのスタートは、参加者の皆さんの自己紹介から。お名前、所属と、どういうきっかけで参加したかを話してもらいます。このきっかけで、イベント全体で話す内容を最終的に調整をしています。
参加者の皆さんの自己紹介タイムが終わり、これから松田先生の基調講演。最初にロボホン、登場です! #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/QwQ6Ryp37f
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
松田先生が校長をつとめる、小金井市立前原小学校での子どもたちの様子を撮影した動画から、基調講演「目には目を ー 第4次産業革命には、授業実践革命を!」がスタートです。ICTを使った授業がIncredibleであること。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
松田先生のバックグラウンド。長岡文雄、野口芳宏、上田薫、宇佐美寛、佐伯胖…。さまざまな名前が出ています。特に、宇佐美寛先生には影響を受けた、と。松田先生は、都教委研修や教育委員会の指導主事などを歴任しているのでした。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
そういえば、松田先生のバックグラウンドをこうしてまとめて伺ったのは初めてだな、と思いました。たくさんの先生方の名前が出ましたが、不勉強な私は、佐伯胖先生だけが唯一わかる方でした…。勉強しよう…。
先生方の仕事観、授業観に、どんなバックグラウンドがあるのかというのは、もっともっと知りたいな、と思いました。「こんなのも読んでみたら?」という本があったら、為田に教えてください。読んでみたいです。
いまの4年生が10歳。社会で活躍するだろう20年後のために、学校は責任を負っている。その役割を、学校は果たしているか?というのが、問題意識だ。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
松田先生のこの問題意識は強烈です。当たり前だけれども、なかなかこうした言葉で語る方は少ない。
プログラミングは必修化されるが、やる時間がないから教科の中に入れたんじゃないか?このやる時間がない、というのはこれからの学校での大きな問題になるだろう。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
学校現場、どうするか?学校のPriorityは、1.英語70時間+道徳。2.アクティブラーニング。では、その次はプログラミング?いや、そうはなっていないだろう。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
学習指導要領は、新しい時代の学びに対応するために改訂されている。その中に書かれたプログラミングが、形骸化していくのは許されない。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
学校現場でのPriority(優先順位)の話も非常におもしろかったです。実際にアンケートとか取ってみたいと思いました。2020年まであっという間。プログラミングをどのような形で教えるのか、教えるための体制をどうするのか、教材はどうするのか、ということは非常に興味があります。
improvementじゃだめ。必要なのは革命。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/WxMg7VZFq0
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
improvementもrevolutionもどちらもいるな、と思っているのですが、このセミナーでの登壇者である松田先生と為田のスタンスを見るに、松田先生がrevolutionを起こすことに注力し、為田はrevolutionの果実を横に広げてimprovementにつなげることに注力している、ということなのではないかな、と思っています。「improvementだけじゃだめ」は大賛成です。
松田先生がされている実践をベースに、もっともっと横に広げていくために、セミナーで先生方を横につなげていく、そうした活動にしていきたいと思っています。
タイピングについて
小学校でキーボードは必要かどうか?という議論について。前原小学校では、Chromebookを使っている。朝の時間にタイピングの練習もしている。
松田先生の資料の中に出ていたのですが、2008年に出ている文部科学省の「教育の情報化に関する手引」の中で、文字数が出ていたことにびっくりしました。
キーボードのタイピング時間。1分間あたり、小学校5.9文字というデータ…。 2008年に出ている「教育の情報化に関する手引」においては、45分の授業で600字程度の作文を入力し、推敲を経て印刷・保存することを想定している、という配布資料がある。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
東北文教大学の真壁先生( @suttokodokkoy )が教えて下さいましたリンクはこちら。正式版では字数の目安は削除されていたが、検討段階の資料では入っていたということだそうです。(会場にいながら、こんなことがわかって、とても勉強になりました!)
2008年から、こうした議論はくり返し、されているのですね…。僕は、タイピングのスピードを上げて、思考のアウトプット(原稿の推敲なども含む)にICTを使いたいと最近思っているので、こうした議論の流れも改めてきちんと勉強したい、と感じました。
参加者の多くが本当に熱心にメモを取り、資料を撮影する。主催者として本当に嬉しいです。(為田) #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/GMgpcjOCA1
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
Google Earthを使ったワークショップ
各テーブルに配布している、WindowsタブレットでGoogle Earthを使ってみるワークショップがスタートします。社会科の先生は、Google Earthを使えることと、画面をミラーリングで提示して見せることは、絶対にできなきゃダメ、と松田先生は言います。Google Earthを使ったことがある参加者は、全体の半数ちょっと超えたくらい、という感じでした。
小学校5年生の国土理解の単元で、提示された教科書をどう教えると思うか、グループディスカッションします。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/Sp7PE4zXJi
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
Google Earthで沖ノ鳥島など、日本の端っこピン止め中。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/HfT6DJF96I
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
Google Earthで追加からフォルダを設定して、フォルダの中にピンを入れるとツアーができる。ツアーには音声を録音することもできるので、これを子どもたちにさせると、「僕たちが考えたツアーは…」と音声つきのツアーを作ることができる。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
Google Earthで、日本の好きな場所3つにピン止めして、フォルダに入れてツアーをする。修学旅行とかで使えればいいのにねー、あとは世界的に著名な地形を3つとかもおもしろそうだ。が、Google Earthを使えない学校も多いのですよね。(為田) #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
松田先生が作った、信濃川を河口から遡っていくツアーを、パスという機能を使って作った。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/xjILECfdua
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
3年生、4年生の「わたしたちのまち」の学習で、パスを使って高度を低めに設定すれば、教材を作ることができます。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
パスのツアーでラインが表示されているのを消すこともできる。左側でパスのチェックを外せばいい。ちょっとした工夫だけど、こういうの大事。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
パスで作ったツアーを再生してみて、「イメージ通りだ!すげえ!」という先生方。こういう楽しさ、子どもたちにも伝わると思う。(為田) #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/T5RvcCi0uL
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
パスを使ってGoogle Earthの教材を作っていくの、楽しそうだと思いました。参加者の中では、「仙台城の地形を紹介する教材を…」という方や、「これで4泊5日の旅行の行程を再現してみよう」など、いろいろなアイデアが出ていたようでした。
松田先生の操作説明を、動画で撮影する先生方多数。こういうのも、新しいリテラシーだと思う。あとでじっくり話が聴けるって、いいですもんね。(為田) #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/rv6HQi5HFh
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
Viscuitを使ったワークショップ
セミナーの後半は、ViscuitとScratchを使ったワークショップでした。まずはiPadを一人1台配布して、Viscuitを使ったワークショップからです。
続きまして、「プログラミングの導入 学校現場の現実解」がスタートします。Viscuitやります。やったことある人数名、初めて聞いたという人数名。(為田) #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/MPXLp0N5iN
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
メガネを使って、差分で命令を作る。Viscuitでは、文字も数字も一切使わない。「へ〜」という参加者の反応。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/WA5pwRDwFb
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
差分を使って動きを作るメガネは、本当におもしろいです。参加者のみなさんも抵抗なく、Viscuit使っていました。
お盆ですから。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/ZgUdZZIjTv
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
あまりに絵がかわいかったので、松田先生に声をかけたらみんなに見せてくれました。こうして簡単に作品を表示してみんなと共有できるのは本当に大事なことです。実際の前原小学校の授業でもよく行われていることです。
「Viscuitで発表をさせると、子どもたちは人をバカにしない。自分でもできると思うし、自分でトライアル&エラーができるからだと思う。これもデジタルの良さだと思う」と松田先生。 #先生ICT2017夏
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
Scratchを使ったワークショップ
続いて、Scratchのワークショップ。ブロックを組み合わせてプログラミングを作っていくということを説明します。
次はScratch。使うブロックはあらかじめ、右側に出してある。最初から全部やらせないための工夫はいろいろありそう。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/CN3FmhCMdh
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
こうした一工夫は本当に大事です。「どれ使うの?」という部分から始まると授業内でのタスクがすごく増えると思います。限られたブロックをどう組み合わせるか、というところから始められるように教材を用意しておくと、最初はいいと思いました。
まとめ
プログラミングで問題を解決しようというときに、教室で見てとても好きなシーンが、今回のイベントでも見られました。
こうして頭くっつけて考える、プログラミングで問題を解決しようという時に、こういうシーンをよく見られますね。(為田) #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/0dfGmQirus
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
みんなで考える楽しさ。 #先生ICT2017夏 pic.twitter.com/xM7kh38Uo2
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2017年8月11日
先生方が自分で使ってみた、というのが何より大事なことだと思います。そして、ひとつでもふたつでも、「あ、これ授業でやってみたい」と思って、それを学校へ持ち帰ってもらえば、このセミナーの意義があったかな、と思います。
ここから横に繋がりが広がっていくといいと思います。どんどん繋がっていきましょう。
(為田)
*1:@東大の方のレポートも、近日公開予定です!