丸幸弘+尾原和啓『ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」』を読みました。プログラミングやPBL(プロジェクト学習)をするならば、テクノロジー周りの話題は豊富な方がいいと思い、リバネスの丸社長が書かれたこの本を手に取りました。
「はじめに」のなかで、尾原さんがテクノロジーについて以下のように書かれていて、難しい面もあるものの、自分も基本的にはこちらの考え方を持っていたい、とは思っているなあ、と思いながら読みました。
テクノロジーは人を不安にする存在ではない。
テクノロジーは世の中の格差を助長するものではない。
テクノロジーは人と人の隔絶を作り出すものではない。
人とテクノロジーの関係に誤解が生じている今、改めてテクノロジーの本質を見つめ直すときが来ています。誰一人取り残さず、持続的に人類が発展を遂げていくためにテクノロジーは存在しています。社会の課題をどう解決していくのか、社会にどう貢献していくのか。(p.5)
この本で紹介されている、ディープテックとは、「ディープテックとはテクノロジーを使い、根深い課題を解決していく考え方、もしくはその活動を指す。」(p.14)と書かれています。
そのうえで、ディープテックの定義づけもされています。
ディープテックの定義づけ(p.16):
既存技術、つまりは古ぼけていたり眠っていたりする技術でも大いに役立つケースがたくさんある。知財のみならず、情熱やストーリー性や知識の組み合わせといった観点からも参入障壁が高く、既存の産業を破壊せず、むしろ活気づけるものだと考えている(p.17)
ディープテックは、テクノロジー(ツール・アプローチ)と分野(領域・課題)の掛け合わせで分類されますが、起点になるのは「課題」なので、複数のテクノロジーが用いられることもあるといいます。
ディープテックにはどのような領域が存在するのだろうか。基本的にはテクノロジーと分野に大きく分かれる。テクノロジーは、AI/ビッグデータ、バイオ/マテリアル、ロボティクス、エレクトロニクス、センサー/IoT(インターネット・オブ・シングズ)などだ。一方、分野はアグリ(農業)/フード(食料)、エコ(環境)/エネルギー、ヘルスケア(健康)、メディカル(医療)、マリン(海洋)/スペース(宇宙)といった領域だ。この掛け合わせによって、ディープテックのエリアは多様に広がる。
ただ、重要なのは「どういった課題を解決するのか」を起点としている点だ。単なるテクノロジー×分野ではなく、課題解決のために複数の異なるテクノロジーを掛け合わせていくのがディープテックといえる。(p.35)
日本は課題先進国である、ということはよく言われます。その日本では根深い課題もたくさん存在していますし、そこをテクノロジーで解決していくというのは、プログラミング教育のひとつの出口として目指すべきものではないかと思います。地域の課題を洗い出し、地域の核として学校が機能してそこでプログラミング教育などをはじめとして問題解決型の「ものづくり」ができるようになる、というのは一つの形として目指してみたいと感じました。そのときに、このディープテックという考え方は親和性が高いのではないか(ディープだから難易度は高いとは思うものの)、と思いました。
(為田)