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仙台市立広瀬中学校 授業レポート No.2(2020年2月21日)

 2020年2月21日に、仙台市立広瀬中学校を訪問し、鈴木康洋 先生が担当する1年生の技術科の授業を見学させていただきました。

 今回の課題は、広瀬中学校の付近の道路の問題を捉え、プログラミングでその問題を解決する、というものです。生徒たちのもっているプリントには、Googleマップの航空写真で広瀬中学校東門付近の道路の写真が貼られていました。交通量が多い道路Aと交通量が少ない地元の人が使う道路Bの交差点は交通量が多くて右折できません。この交差点で想定される問題を考え、道路Aを通行する車と道路Bを通行する車がお互いに納得の行く解決策を見つけ、「公正で効率的な道路」を考えるというものでした。
 この問題を解決するために、どうやったら道路は渋滞しないのかをアクティビティ図にまとめてありました。信号をどうやって点灯させるかをプログラミングで作っていきます。「やり方は複数あります。どうやってもOKです」と鈴木先生は言います。
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 プログラミングでは、ネットワークやセンサーなどをこれまでにやってきているので、今回は「身近なテーマに落とし込む」ということをねらいにした、と鈴木先生は言っていました。学校の前の道路の信号、というテーマ設定によって、プログラミングが日常生活のなかで、どのように機能しているのかということを知ることができたと思います。
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 4人で座れるテーブルにあるノートPCを一人1台使ってプログラミングがスタートします。ノートPC1台ずつにArtecロボが接続されているので、鈴木先生の「Artecロボを接続してください」から授業がスタートします。
 最初にパーツの説明をしてから、正面の人とペアになって、プログラミングをします。ペアの2人で、道路Aの信号(信号A)と道路Bの信号(信号B)をそれぞれ作ります。ペアの相手だけでなく、隣の人とも相談しながらプログラムを作っていきます。こうして相談しやすくて、一緒に考えやすい形のテーブルの置き方、テーブルのサイズなど、教室がデザインされていることも、プログラミングを学ぶためには重要だと思いました。
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 実際に動かしてみると、LEDが思う通りに点灯せず、「何これ!?なんで赤になるの?」というような生徒の反応が聞こえてきます。こうした言葉が出てくることは、本当に大事だと思います。対面でやっているからこその良さだと思います。
 また、ペアでプログラムを作っていくなかで、条件をつけているところで「1分、毎回待つのが大変だから、今だけ10秒にしておいて」「OK」というようなやりとりが聞こえてきました。他にも、「なぜ光センサーが反応しない?」「じゃあ、試しにさー…」と話し合い、変えていく様子も見られました。こうしたやりとりも、一緒にものづくりをしている感じがしていいと思いますし、一緒に問題を解決していっている感じがありました。
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 鈴木先生は、「一気に全部作らなくてもいい」と言います。少しずつ作って、少しずつ試してみて、ダメなら修正する、というのを繰り返して、プログラム全体を組み上げていく、というふうに生徒たちに繰り返し伝えていました。
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 広瀬中学校では、1年生の技術科の授業で情報分野をやっているそうです。小学校でプログラミング的思考をやってきた生徒たちに、中学校に進学してきてすぐにアクティビティ図を書く活動に繋げていくのは、中学校区の単位としてプログラミングの力を伸ばしていく、ひとつのやり方だと思いました。

 No.3に続きます。
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(為田)