教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート No.6(2019年2月6日)

 2019年2月6日に、京都教育大学附属桃山小学校を訪問し、授業を見学させていただきました。今回は、若松俊介 先生が担任されている、6年1組の社会の授業「世界の中の日本」をレポートします。今回の授業では、「日本とつながりの深い国 ベスト4」をグループで聴き合う学習をしていました。
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 これまでの授業のなかで、一人1カ国ずつで分担してその国について調べ、調べた成果を交流した後に、「日本とつながりの深い国 ベスト4」を一人ずつ選んでもらったそうです。
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 4カ国にどの国を入れているかによって、どんな評価軸で考えているのかがわかっておもしろいと思いました。例えば、経済的なつながりを重視していたり、安全保障についてのニュースでよく見る国を重視している人が多かったです。また、歴史的なつながりや人のつながりを重視して、オランダやブラジルを選んでいる人もいました。
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 グループの聴き合い学習をしていきます。「オランダを入れた」という児童は、グループのメンバーにロイロノート・スクールを通じて資料を送って、歴史的な関わりがいかに深かったかを伝えていました。新しい資料などを見ることで、「情報が増えると、順位が変わる」と言っている児童がいましたが、新しい情報を得ることで自分の考え方を変える体験ができるのはいいと思いました。思考の柔軟性は、こういうところから生まれてくるのだと思わされました。
 途中で、若松先生が、「話を聞きたい人のところへ行きましょう」と言うと、クラスで唯一人「ブラジル」と書いた児童のところへ多くの人が殺到しました。このように自由に聴きに行ける環境を作ることで、それぞれの国についての知識が増える結果となっています。
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 また、デジタルで提出をしているからこそできるアクティビティですが、若松先生が「じゃあ、ベスト5までにしましょう。もう1カ国増やそう」と言ったのも、非常に良かったと思います。いろいろな人の話を聞いて、情報が増えたところで、「では、もう1カ国入れられるなら…?」と追加で考えさせるのはよかったです。

 授業の終盤で若松先生が、教科書と資料集では「日本とつながりの深い国」としてどこが挙げられているか、というのを紹介しました。結果は、「教科書では、アメリカ、韓国、中国、サウジアラビア」、「資料集では、アメリカ、韓国、中国、サウジアラビア、ブラジル」でした。ただ一人、ブラジルを入れていた児童がいたので、資料集でブラジルが入っていたことで、教室は大いに湧きました。
 ここで、教科書と資料を読み込んでから、選ばれている国について「納得か疑問か、ホワイトボードにネームカードを貼りましょう」と若松先生が言います。
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 もちろん、どうして納得なのか、どうして疑問なのか、その根拠についても、ロイロノートで書いてもらいます。6年生、すごい量の文章を書いていきます。
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 ただ与えられる知識として「日本とつながりが深い国」を学んでいくのではなく、さまざまな国について自分で調べて、それを人に伝えて、自分の持っている知識を増やして、自分のベスト4を作ることでアウトプットしていく、という授業は、楽しみながらみんなすごく主体的に学んでいる場であったと思います。

 No.7に続きます。
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(為田)

京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート No.5(2019年2月6日)

 2019年2月6日に、京都教育大学附属桃山小学校を訪問し、授業を見学させていただきました。今回は、若松俊介 先生が担任されている、6年1組の国語の授業をレポートします。今回の授業では、「自然に学ぶ暮らし」で、どのような段落構成になっているのかについて考える、4人組での聴き合い学習を行っていました。
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 頭括型か双括型か尾括型か、「自分はこう考えている」というのを、グループ内で話し合うのですが、そこでの議論の作法が本当によくできていると思いました。1年間かけて、ずっとこうした聴き合い学習をしてきたのだろうなと思います。熱く自分の思いを語るのに、それに対する質問や反論も冷静に聴いて、それに対してまた反応を重ねていくことができています。
 若松先生に、「ディスカッションの作法がすごい、きちんと身についていますね」と言うと、「このクラスで授業のなかでディベートをやっていて、そこで人格攻撃はしない、ということはやっています」とおっしゃっていました。

 授業で読んだ「自然に学ぶ暮らし」での学習内容をふりかえるとともに、自分をふりかえることもできていると思いました。これが両輪でできている授業だと感じました。こうして聴き合い学習をしていると、誰かの意見を聴いた後に、すぐに教科書の該当段落のところを開いて、自分たちで読み直している姿が見られました。
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 自分のiPadでロイロノートに段落構成などをメモしているので、それと教科書本文とを突き合わせて、何度も何度も読み込みます。クラスメイトの意見を聴き、それが本当だろうかと教科書本文と自分のノートにあたり、またグループでの聴き合いに戻っていく、このサイクルがすごい速度で回っていきます。
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 頭括型と双括型と尾括型での論争は続きます。それぞれの意見の人に発表をしてもらいながら、授業を進めます。ホワイトボードにはネームカードが貼ってあり、自分の意見がどれかがわかるようになっています。
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 若松先生の授業を見学に行くと、ときどきホワイトボードをじっと見て、作戦を考える姿を見ることができます。誰に意見を発表してもらうか、誰がその意見に重ねていくか、ということを考えているように見えます。この姿を見たあとで、だいたいクラスの議論の熱量がまた上がることが多いように思います。
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 すごい回数、教科書本文を読んでいる様子でした。また、グループで読み合って、「そうそう!」と言い合いながら読んでいる様子も見られました。表面上の意味を追っていくのではなく、「読む」ことの汎用的スキルを身につけてほしい、という若松先生のねらいが十分に達成された授業だったように思います。

 最後のふりかえりは、ロイロノート・スクールで書いて提出してもらいます。このふりかえりも、自分のポートフォリオとしてiPadに残ることになります。
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 No.6に続きます。
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(為田)

ガッコード - プログラミング教育系YouTuber

 ガッコード - プログラミング教育系YouTuber のチャンネルが、4月1日に開設されました。プログラミング教育系YouTuberうっかりぽんは、すごい経歴の持ち主で、日本でのプログラミング教育の成功を願って、発信をスタートされたのだと思います。

Microsoftエンジニア - Minecraftの教育版プログラミング教育機能(Code Builder)やMinecraft Hour of Code、Office LensをはじめとしたOfficeの教育向け新製品のPMをやっていました。
文部科学省で、プログラミング教育プロジェクトオフィサーをしていますが、YouTubeでの発信はすべて個人の意見です。

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 4月1日に1本目の動画がアップされて、4月5日に3本目がアップされています。着実に動画のクオリティも上がっています…。すごいスピード感。
 そして何より、説明がとてもわかりやすいです。「プログラミング教育って何するの?」という先生方に、まずは見てもらいたいと思います。そして、同じように「プログラミング教育って何?」っていう職員室の仲間の先生と見てもらいたいと思います。
 もしかしたら、プログラミングに興味を持ちそうな子どもや、YouTubeでいろいろ動画を見るのを楽しんでいる子どもと一緒に見るのもいいかもしれません。
www.youtube.com

 それぞれの動画は、6分前後くらいのものが多いので、長い時間がかかるものでもありません。たくさんの先生方が、チャンネル登録をして、アップされる動画を見ていただければと思います。

(為田)

京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート No.4(2019年2月6日)

 2019年2月6日に、京都教育大学附属桃山小学校を訪問し、授業を見学させていただきました。今回は、山口翼 先生が担任されている、3年1組の算数の授業をレポートします。

 今回の授業で、児童は「2桁をかける掛け算の筆算」のところを学んでいました。これまでやってきていた、「問題 1個23円のみかんを3個買います。何円になりますか?」から、「問題 1個23円のみかんを30個買います。何円になりますか?」というふうに、2桁をかける掛け算の筆算を新しく学びます。
 ホワイトボードに山口先生は、「めあて:2けたの数をかけるかけ算のしかたを考えよう」と書きます。児童は、紙のノートに、めあてを書き写します。桃山小学校には、たくさんのiPadがありますし、児童はiPadの活用にも慣れていますが、学習の時間のすべてでiPadを活用しなければならないわけではなく、活用することで効果があるところに絞って、活用することができているように思います。

 ここまでをノートでやった後に、初めてiPadを利用します。みかん30個の画像を、山口先生からみんなへロイロノート・スクールを使って送ります。みかんの画像は、クリップアートのようになっていて、これでiPad上で実際にみかんの画像を動かしたり、みかんを囲ったりしながら、2桁の数をかけるかけ算のしかたを考えられるようになります。具体物を動かして考えられる環境を、制作や配布の時間をかけずに行うことができました。
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 みかんの絵を使って、考え方を発表してもらいます。いろいろな考え方が出てきます。みかんの絵を動かして、線でくくったり、数字を書き加えたり、自分の考えを人に伝えるための工夫が見られました。
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 いくつかの違う考え方を発表してもらい、考え方を練り上げていきました。
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 山口先生は、最後にまとめを「ノートに書いてください」と言っていました。そして、授業のふりかえりはロイロノート・スクールで提出してもらいます。
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 山口先生に、「紙のノートにまとめとふりかえりを書いてもらって、ロイロで撮影すれば、すぐに集められるのではないですか?」と訊くと、「3年生だからこそ、しっかり見てあげたいと思っています。だから、あえてノートに書かせています」と言っていました。たしかに、まとめを書いたノートを持って、山口先生の前に並んでいる児童たちは嬉しそうでした。

 ノート(アナログ)とiPad+ロイロ(デジタル)は、どちらかにしなければならないというものではありません。クラスの様子、児童の様子、授業のねらいに合わせて、どのようにアナログとデジタルを組み合わせていくかを考えるのは、先生方にしかできない仕事だとあらためて感じました。

 No.5に続きます。

(為田)

【イベント情報】192Cafe 公開イベント#2 私立小が描く未来の教室 ~多様性の交差点~(2019年5月18日)

 2019年5月18日(土)に、192Cafe 公開イベント#2 私立小が描く未来の教室 ~多様性の交差点~というイベントを、日本女子大学附属豊明小学校にて開催します。
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 192Cafeは、私立小の先生方が学校や教科間の壁を越えて「未来の学び」について考えるオープンイノベーションベースです。2018年10月の設立当時、日本私立小学校連合会に加盟していた私立小学校の数が192であったことに由来をしています。ICT機器を活用した教育を切り口に、教育に関する様々な情報を共有し、参加者とのネットワークを築き、自らの世界観を広げることを目指します。
 私学人として、各学校の発展のため、日本の教育のため、切磋琢磨し新しい教育を創っていきましょう。
 このたび、公開イベント#2 を「私立小が描く未来の教室」をテーマに開催します。私立小だけでなく、国公立の教員や企業の方など、多くのご参加をお待ちしています。

 今回のイベントのアジェンダも以下の通り、すべて確定しました。

12:00-
 受付 [小学校正面昇降口]


13:00-13:15
 Opening
  森村学園初等部 榎本 昇 教諭
  宝仙学園小学校 加藤 朋生 教諭


13:20-14:10
 Keynote Speech
  私学に期待する 未来の教室
  -Learning Innovation
  経済産業省 商務・サービスグループ
  教育産業室長 浅野 大介 氏


14:30-15:30
 Future Session
 ファシリテーター 成城学園初等学校 秋山 貴俊 教諭
 *Keynote Speechを受けて、関心のあるテーマについて深く、
  創造的に考えるアンカンファレンス型のセッションです。


15:40-16:40
 パネルディスカッション「私立小が描く未来の教室」


 パネリスト
  加藤学園暁秀初等学校 中原 悟 教諭
  関西大学初等部 堀 力斗 教諭
  敬愛小学校 龍 達也 副校長
  さとえ学園小学校 山中 昭岳 教諭


 モデレーター
  フューチャーインスティテュート(株) 為田 裕行


16:45-17:00
 Close
  日本女子大学附属豊明小学校 田中 栄太郎 教諭
 *Close後 情報交換会 [参加者交流 名刺交換]


18:00-
 懇親会 192 Bar. [事前申し込み制]
 *参加者に後日申し込み方法をご連絡します

 僕としてのいちばんの目玉は、Keynote Speechに経済産業省の「未来の教室」実証事業のリーダーである経済産業省 商務・サービスグループ 教育産業室長 浅野 大介 さんをお招きしたことです。建学の理念を持つ私立小学校は、「私塾」的な部分が残っていて、「未来の教室」づくりがやりやすい部分もあるのではないかと思っています。そうした点について参加者の皆様に火をつけていただければと思っています。
 また、今回、パネルディスカッションのモデレーターも務めさせていただきます。パネリストの皆様のお話を引き出せるように、がんばります。

◆ ◆ ◆

 2019年1月に開催した公開イベント #1で知り合った先生方、企業の皆さんも含めて、さらにコミュニティが広がっていけばいいと思っています。
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 参加いただいた皆様に少しでも何かを還元できる、そんなイベントにしたいと思っています。よろしければぜひ、ご参加ください。チケットは、Peatixからどうぞ。
peatix.com

京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート No.3(2019年2月6日)

 2019年2月6日に、京都教育大学附属桃山小学校を訪問し、授業を見学させていただきました。今回は、中西和也 先生が担任されている、3年2組の社会の授業をレポートします。

 この授業では、クラスの児童は、京都教育大学附属桃山小学校のそばにある御香宮神社を見学に行って、インタビュー結果をまとめてきていました。
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 児童は、手元のiPad御香宮の見学のときに撮影した写真を見ることができます。手元にいつでも見られる写真があるというのはいいことだと思いました。
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 ここで中西先生から、テーマが設定されます。今回は、御香宮神社でインタビューをしたときの情報を、みんなでふりかえって、「御香宮神社を残すべきか?」という問題について、日本とアメリカの若い人たちの信仰と関連させて考えていきます。
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 中西先生が示した学習のめあては、「グラフから問題点を見つけ、御香宮を残すかどうか自分の考えを伝えよう(主張しよう)」ということでした。児童は、自分のiPadでロイロノート・スクールを起動して、そこでグラフを表示してみて、日米の違いを表にまとめていきます。
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 グラフを読み解きながら、アメリカと日本の、「信じている」から「信じていない」までの人数を比較していきます。グラフでは、簡単なデータを読み解くだけですが、ここから「なぜ?」を問えるかどうかが問題だと感じました。今回のテーマだと、単純な人数の比較ということももちろんできますが、「神様を信じていることと参拝する人が少なくなってきていることの関係があるのか、ということを問題とすることもできます。
 考えていく仮説の中には、「神様を信じていない人が日本人は多い→神社に来ない」、逆に、「アメリカ人は信じていない人が少ない→神社に来る」というようなものもあり、これは他のデータも見てみたくなるようなテーマだなと感じました。例えば、「御香宮は、どんな人にきてほしいのか?外国人観光客か?」というのが追加でわかったり、グラフで「現状の参拝客の年齢別分布」があると、よりいろいろと考えられそうだと思いました。
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 この後、自分の考えをグループで交流しました。最初に個人の考えをまとめて、ホワイトボードには、「残すべき」「残さないべき」が両極になっている直線が引かれ、そこに名札を貼っていきました。
 何人かの児童が、自分のiPadをモニターに映し出して、自分がそう考える理由を発表してくれました。
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 この時間の終了時には、意見としては「残すべき」の方が圧倒的に多い結果になりました。学年によってさまざまな意見が出そうなのと、追加でどのような資料を用意するかによって、学習のめあてをアレンジすることもできそうだと感じました。

 No.4に続きます。
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(為田)

西武学園文理小学校 プログラミング教室 レポート まとめ(2019年1月8日)

 2019年1月8日に、西武学園文理小学校で行われたプログラミング教室を見学しました。このプログラミング教室は、西武学園文理高校 理数科1年生を講師として、小学校5年生を対象に行われました。
 高校生たちは、夏に海外研修旅行の一環として米国NASAへ行き、そのときに近くの小学校で同じように英語でプログラミングを教える予定だそうです。今回のこのプログラミング教室は、そのためのリハーサルも兼ねているとのことでした。プログラミング教室のすべての進行は高校生たちが行っていました。テーブルごとにグループに分かれて、高校生が楽しく学べる雰囲気を作っていく様子がすばらしかったです。
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(為田)