教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

東洋大学が、武雄市「ICTを活用した教育」の第二次検証の結果を発表

 東洋大学現代社会総合研究所が28日に、武雄市「ICTを活用した教育」の第二次検証の結果を発表したそうです。第一次検証のときにもエントリーを書いていて、「もう少し踏み込んで検証してほしい!」と思っていたので、楽しみにしていました。

 新聞記事だけでは全貌がわからなかったので、武雄市教育委員会のサイトを見に行ったけど、特に記述はなし。東洋大学現代社会総合研究所では、トピックとしては取り上げていましたが、報告書などは特にありませんでした。
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 佐賀新聞のサイトで読んだ内容を紹介していきたいと思います。
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 武雄市が進めるICT(情報通信技術)教育を検証している東洋大現代社会総合研究所は28日、第2次検証の結果を発表し、1次検証を含めて「ICT教育が効果を上げ始めている」と分析した。一方、保護者の3割が武雄式の反転学習「スマイル学習」への理解が不十分なことや、予習用の動画コンテンツなどの問題点を指摘する教員が多いことなどの課題もアンケート結果で浮かび上がった。

 第二次検証でもやはりアンケート中心なのですね。せっかくタブレットで行っているので、「学習時間が伸びた」とか「苦手とする児童が多い問題がわかった」などのような、アンケートではなく学習記録(ログ)を分析しての検証もしてほしいな、と思いました。先進的に行っているからこそ、他の自治体でも知りたい情報だと思うのです。

教員アンケートから

 教員アンケートでは、予習用の動画について、理科、算数とも80%超が「使いやすい」とする一方、予習時の「小テスト」の内容では、算数で25%、理科で42%が「適切でない」とした。動画と予習ワークシートとの連動は、算数で25%、理科で35%が「連動してない」と答えた。

 研究所はICT教育に対する教員の評価を「概して好評」とし、教員の声として動画の内容や単元選択を検証する必要性を指摘した。

 ここ、気になります。予習時の「小テスト」はタブレット上でやる、ということですかね?算数で25%、理科で42%の教員が「適切でない」と評価した、その理由こそ知りたいです。予習用の動画と小テストがあっていない、ということでしょうか。だとすると、予習用の動画はどういう目的でデザインされ制作されたのかを知りたいです。
 もしかしたら、教員側の意図は実現されているけれど、それが児童の活用実態とあわなかった、という分析なのでしょうか。それならそれで、講評する意味があると思うのですが。その後に出てくる「予習ワークシート」は「小テスト」とはまた別の教材だとすると、こちらでも算数で25%、理科で35%が「連動していない」と答えているわけで、この後、どう現場にフィードバックをかけていくのかを知りたいと思います。

保護者アンケートから

 保護者の反転学習への理解度は、「よく知っている」7%、「だいたい知っている」51%に対し、「あまり知らない」が22%、「ほとんど知らない」は7%で、30%近くが理解不十分という結果が出た。効果については「ある」41%、「どちらでもない」25%、「ない」15%、「分からない」19%だった。家での学習時間や学習意欲の変化はいずれも60%近くが「変化がない」と回答した。

 研究所はこうした数値の一部を「予想と異なった」と分析した。一方で家での学習の様子を「楽しそう」「集中するようになった」「家族が関心を持つようになった」などと評価する意見があることも紹介した。

 次に保護者アンケートです。理解度については、効果がしっかりあるのであれば、これから周知させていけばいいかな、と思いました。
 タブレットを使った通信教育各社は、保護者向けのコミュニケーションを積極的に行って、「お子さんがいま学んでいるところはこういうところですよ」「ここ、よくできたので、ほめてあげてください」などというお知らせを保護者に対して出しているので、ぜひ武雄市でもそこまで踏み込めばいいのにな、と思いました。

記事での結論

 1次検証では、児童が授業を楽しみ、内容も理解しているアンケート結果などを報告しており、2次と合わせた総括として、「ICT教育は効果を上げ始めている」と分析した。学校間で大きな差がある実施率の格差を解消して100%に近づけることや内容の検証を提言し、プログラミング教育は実証研究を重ねた上での拡充を求めた。

 うーん、ここまで読んだ限りでは、どうして「ICT教育は効果を上げ始めている」という結論になったかが、よくわからないです。何に対して効果を上げているのかが明確でないからだと思います。
 「学力向上」なのか、「学習時間の増加」なのか、「学校と家庭の連絡をより深める」なのか、何を目指していてそれに対して効果があった、というふうになっていないと、判断が難しいと感じます。

 原本を見たいですね。第一次検証では報告書が出たので、第二次検証でも報告書が出るといいな、と思います。

blog.ict-in-education.jp
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(為田)