教育ICTリサーチ ブログ

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「すごい地理教育トーク」 レポート #3 (2015年10月16日)

 10月16日(金)に、「すごい地理教育トーク」というイベントに参加してきました。前回の続きです。
 プログラムの最後は、パネルディスカッションでした。まずはみなさんの自己紹介から。

 まずは自己紹介から。簡単なメモだけですみません。

田村さん

  • 地理が教育を豊かにすると信じている
  • 地理が世の中を良くしていくと信じている
  • その一方で、日本のGIS教育はほとんどうまくいってない(全教員の5%に満たないくらいだろう…)
  • 地理が暗記科目としてイメージされていておもしろくない。
  • 伊能社中は「教材開発」「講習会」「ワークショップ」
    • 大学生がキーパーソンだと思う。日本の大学生はGISを学べる環境がない。
    • GISを学びたい学生は増えている。教育系、園芸など、関心は高まってきている(MAPZENとか)。だが、学べる場所がない。
    • 学生がGISに詳しくなって、先生になってもらって、そうした先生方がコミュニティを作っていく。
    • 都道府県に20人のコミュニティを作りたい。そうしたら、1000人規模の動きができる。

佐藤先生

  • 歴史と地理の関係性
  • 彩色するアクティビティで興味を持たせることも。

河合先生

  • もともとは農業地理学を専攻。
  • 高校における地理必修化に向けて、統合型教材の提案。
  • 防災に関する学習でも、教科・科目ごとに教材が違い、生徒に残る記憶はぶつ切り。
    • 1974年の空中写真と組み合わせることで、宅地開発の経緯がわかる
    • 今回、集中豪雨で被害を受けたところから、開発が始まっていたことがわかる。
    • 土砂崩れよりも、太田川の氾濫の方が恐れられていたということがわかる。
    • これって、地理x歴史x公民などで扱えるのではないか。
    • 物理の先生や数学の先生に、「使えないですかね?」と訊いてみたら、いろいろとアイデアが出てきた。
  • 新制度の入試における、合教科入試で、求められる技能・能力なのではないか。

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星田さん

  • 地理空間データの作成などを体験してもらう
    • 二酸化炭素の濃度計、タブレットで使えるコレクターというアプリを使ってフィールドワーク
    • その後、ディスカッションなどをする。
  • GIS3Dプリンタの融合もおもしろいかも。
  • ESRIジャパン 教材」で検索。

パネルディスカッション

 古橋先生が進行役となって、パネルディスカッションがスタートします。まずは、古橋先生からの、「GISでどこまで教えるべきか」という問題提起から。

  • GISでどこまで教えるべきか。(古橋先生)
    • GISを教える」のはできると思う。「GISで教える」というのは設備環境的に難しい。まだまだ先じゃないだろうか、と思っている。(佐藤先生)
    • すべての教室にプロジェクタが入った。来春から全生徒にiPadを配布。PCもある。「GISを教える」というのをあまり意識していない。学校のPCはデータの保存ができない。スマホを生徒が持っているので、家でやってもらう、という感じ(河合先生)
    • GISの「S」はSystemから、Science→Study→Serviceと変わってきている。そのなかで、次のSは何か・GISocietyじゃないか。社会の中に溶け込んでいる。必要な時にGISは出てくるが、やりたいことはGISを使わなくても教えられるようになってきている。(古橋先生)

 たしかに、GISというかデジタル地図情報はここ10年くらいであっという間に社会に広がって、生活を変えてきたな、と思います。ほとんど紙の地図を見なくなりましたし…。そのなかで、GISの「S」がSystemからSocietyへと変わってきた、というお話は非常に興味深かったです。

 とはいえ、教室でGISを教えようと思うと、PCの台数が足りないというのも事実です。そうした質問を、Kerskiさんに古橋先生が質問します。

  • アメリカで、教室にPCがないときには、GISを教えられるの?(古橋先生)
    • 1台もコンピュータがない場合には、地図を印刷して、そこにプラスチックのものを置いていったり、必要な情報を書き込んだりするようなアクティビティをする。1組でも、プロジェクタとコンピュータがあれば、いろいろなことができる。GISを調査メソッドとするのはそんなに難しくない。問題は、オープンエンドのことを教えること。先生はすでに専門家ではない。先生が深い説明をしなければならない。(Kerskiさん)


 最後に、今回の「すごい地理教育トーク」で何度も語られてきた、「地理総合」という科目についてのコメントです。

  • 地理総合という科目について、どんなものを期待?(古橋先生)
    • フィールドワークなどになかなか行けないので、Google StreetViewがいい。(河合先生)
    • 地理は受験で使えるところが少ない。(佐藤先生、河合先生)
  • 先生は間に合うのか?方法は1つ、新人を育成するか、歴史の先生と手を組むか。
    • できるんじゃないか。結びつくものはある。

 たしかに、地理と歴史が結びつくのは非常にいいのではないかなと思いました。
 「地理」という科目をこんなに一生懸命考えたことはなかったな、と思います(ごめんなさい)。ですが、いろいろな合教科的に教材の中に使っていらっしゃる事例を知ることができて、とても勉強になりました。個人的には、河合先生の水害と航空地図とを合わせて、防災について考えるとともに、地域の歴史を振り返るという授業が興味部深かったです。
 こんなに熱心な先生方がたくさんいらっしゃいます。もちろん、これは地理ばかりではありません。他の科目だってそうなのだと思います。そうした先生の力(授業力や授業設計力など)を、目一杯まで使っていただけるように、お手伝いをしていきたいなと、改めて思いました。

(為田)