10月16日(金)に、「すごい地理教育トーク」というイベントに参加してきました。前回の続きです。
プログラムの最後は、パネルディスカッションでした。まずはみなさんの自己紹介から。
- ESRIジャパン 星田さん
- 広島文教女子大学附属高校 河合先生
- 明法中学校・高等学校 佐藤先生
- NPO法人伊能社中 田村理事長
- 青山学院大学 古橋先生
- Esri Joseph Kerskiさん
まずは自己紹介から。簡単なメモだけですみません。
田村さん
- 地理が教育を豊かにすると信じている
- 地理が世の中を良くしていくと信じている
- その一方で、日本のGIS教育はほとんどうまくいってない(全教員の5%に満たないくらいだろう…)
- 地理が暗記科目としてイメージされていておもしろくない。
- 伊能社中は「教材開発」「講習会」「ワークショップ」
佐藤先生
- 歴史と地理の関係性
- 彩色するアクティビティで興味を持たせることも。
河合先生
- もともとは農業地理学を専攻。
- 高校における地理必修化に向けて、統合型教材の提案。
- 防災に関する学習でも、教科・科目ごとに教材が違い、生徒に残る記憶はぶつ切り。
- 新制度の入試における、合教科入試で、求められる技能・能力なのではないか。
星田さん
パネルディスカッション
古橋先生が進行役となって、パネルディスカッションがスタートします。まずは、古橋先生からの、「GISでどこまで教えるべきか」という問題提起から。
- GISでどこまで教えるべきか。(古橋先生)
- 「GISを教える」のはできると思う。「GISで教える」というのは設備環境的に難しい。まだまだ先じゃないだろうか、と思っている。(佐藤先生)
- すべての教室にプロジェクタが入った。来春から全生徒にiPadを配布。PCもある。「GISを教える」というのをあまり意識していない。学校のPCはデータの保存ができない。スマホを生徒が持っているので、家でやってもらう、という感じ(河合先生)
- GISの「S」はSystemから、Science→Study→Serviceと変わってきている。そのなかで、次のSは何か・GISocietyじゃないか。社会の中に溶け込んでいる。必要な時にGISは出てくるが、やりたいことはGISを使わなくても教えられるようになってきている。(古橋先生)
たしかに、GISというかデジタル地図情報はここ10年くらいであっという間に社会に広がって、生活を変えてきたな、と思います。ほとんど紙の地図を見なくなりましたし…。そのなかで、GISの「S」がSystemからSocietyへと変わってきた、というお話は非常に興味深かったです。
とはいえ、教室でGISを教えようと思うと、PCの台数が足りないというのも事実です。そうした質問を、Kerskiさんに古橋先生が質問します。
最後に、今回の「すごい地理教育トーク」で何度も語られてきた、「地理総合」という科目についてのコメントです。
- 地理総合という科目について、どんなものを期待?(古橋先生)
- フィールドワークなどになかなか行けないので、Google StreetViewがいい。(河合先生)
- 地理は受験で使えるところが少ない。(佐藤先生、河合先生)
- 先生は間に合うのか?方法は1つ、新人を育成するか、歴史の先生と手を組むか。
- できるんじゃないか。結びつくものはある。
たしかに、地理と歴史が結びつくのは非常にいいのではないかなと思いました。
「地理」という科目をこんなに一生懸命考えたことはなかったな、と思います(ごめんなさい)。ですが、いろいろな合教科的に教材の中に使っていらっしゃる事例を知ることができて、とても勉強になりました。個人的には、河合先生の水害と航空地図とを合わせて、防災について考えるとともに、地域の歴史を振り返るという授業が興味部深かったです。
こんなに熱心な先生方がたくさんいらっしゃいます。もちろん、これは地理ばかりではありません。他の科目だってそうなのだと思います。そうした先生の力(授業力や授業設計力など)を、目一杯まで使っていただけるように、お手伝いをしていきたいなと、改めて思いました。
(為田)