教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

教育ICTカンファレンス レポートNo.2「2026年、教育現場のICT利活用はどうなる?」(2016年11月7日)

 11月7日(月)に、私塾界リーダーズフォーラム 教育ICTカンファレンスが開催されました。教育ICTカンファレンス レポートNo.1「STEAM教育を導入でキッズ部門を拡充する」(2016年11月7日) - 教育ICTリサーチ ブログで書いたように、トークセッションが終わった後、少し休憩を挟んで、第5部「【パネルディスカッション】2026年、教育現場のICT利活用はどうなる?」に登壇させていただきました。ご一緒したのは、NTTサービスエボリューション研究所 主幹研究員の加藤さん、ICT CONNECT 21 事務局次長の寺西さん、株式会社メイツの遠藤さんでした。為田はモデレーターとして参加させていただきました。
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 以下、パネルディスカッションをしている最中に、手元でとったメモの一部を公開したいと思います。

自己紹介

 最初はパネリストの皆さんの自己紹介でした。まずは寺西さんからです。

  • 寺西さん
    • ICT CONNECT 21で、ICTの底上げをしている。
    • 出向元であるZ会の取り組みとしては、「Z会 アステリア」と検索。21世紀型学力を養う。
    • キーワードを。気になる人は検索してください。

 ICT CONNECT 21で、さまざまな学校での実践事例を見て、多くの現場の先生方と、また制作を動かしているキープレイヤーの皆さまたちとたくさんの対話を積み重ねているからこその、短くも情報量たっぷりな自己紹介でした。三雲中学校や石川県加賀市は、伺ったことがないので、行ってみたいなと思いました。


 続いて、加藤さんです。研究者として、日本のICTにもう20年以上携わっている方です。また、研究所で、「まだこれから社会に出てくるテクノロジー」について研究をされているわけで、将来に向けての視点を共有してもらえればと思いました。

  • 加藤さん
    • 95年から教育とICTに関わっている。
    • VRを20年前にやっていた。
    • eラーニングのシステム、ビデオを使った遠隔教育を、実践していた。
    • 教育スクエア、検索のパーソナライズも。
    • NTTラーニングシステムに移る
    • 学習意欲、eラーニング環境の研究をしている。
    • NTT東日本の、光クラウドの紹介を。
      • NTTが裏方に入る
      • 今年の7月に、学研とコラボ。学研ゼミ。表面上はNTTが見えていない。10000IDくらい(スマートスタディ)
    • YouTubeでアップされていたら、見られた頻度もわからない。だが、ビデオ教材をNTTのクラウドにアップすることで、新しい展開ができる。
    • 労務管理、講師/教師の負荷を軽減する。
    • CBT(Computer Based Testing。コンピュータの画面に問題を表示し、キーボードやマウスで回答を入力する試験)が出る。
    • アダプティブラーニングも、学研の協力を得て開発中。
    • キーワード
      • アクティブ・ラーニング
      • 反転学習
      • 教務の軽減・効率化
      • 個別対応(パーソナライズ、アダプティブ
      • 一人1台
      • プログラミング教育

 学研とNTTのコラボは、どんな感じで進んでいるのか、実際に使ってみたいと思いました。「パーソナライズ」というのは、検索、アダプティブラーニング、個別対応などのあたりに絡んでくるテーマだと思いました。パーソナライズは、ICTがもたらす効用の一つですよね。


 最後に、遠藤さんです。遠藤さんの株式会社メイツは、ICTを活用した学習塾です。

  • 遠藤さん
    • 学生時代には、紙を使った個別指導をしていた。
    • 他のバイト講師と同じ指導ができなかった。一人でやるならいいが、展開するならば育成しなければならない。それでは時間がかかってしまう。
    • どうするか?というときに、2020年にタブレットが一人1台配布される、というので、塾専門の教材を作った。100ます計算、歴史暗記アプリなど。生徒に使わせたら受けがよかった。タブレットで暗記させたほうがいいよね、という部分は、先生がやるべきところではないのではないか?
      • 学習アプリ
        • いちばん無駄なのは丸つけ。
        • 大手教材会社と一緒に開発。さかのぼり学習なども含めてできるようになった。
      • 学習管理アプリ
    • 全部で10教室を展開。
      • 育成に時間がかからないから、展開のスピードアップが可能になった。
      • recoで、指導報告書や入退室や振り替えなど、面倒な部分をシステムでやってみよう、というふうにしていた。
      • 一人10分くらいかかっていたのが、1分くらいになった。バイトの時間外労働がなくなった。室長の仕事も軽減された。
      • 社員講師は平日は7時間労働に。その分、何をするのか。

 教室で効率的でないものを効率化し、時間を生み出す。生まれた時間で何をするのか、というところに注力する、というのは非常に明確です。また、自分たちでアプリを作り、かつそれを教室で活用しているというのもいいと思いました。やはり、現場を持っている人が作ると強いと思います。

現状についての総括

 テーマである「2026年、教育現場のICT利活用はどうなる?」の前に、まずは現状の把握からディスカッションはスタートしました。「“2020年タブレットが一人1台”という方向性がありますが、実際に現場を見られていて、実現の可能性ってどうですか?」と質問してみました。
 この僕の質問に対し、寺西さんが、「そもそも、ここで導入される“タブレット”についての明確な定義がない」と答えてくれました。iPadをはじめとするタブレットのサイズや機能などをなんとなく想定していますが、どんなタブレットがこれから作られるか、はわかりません。まったく想像もしていないサイズや機能のタブレットが出るかもしれない。そうした“これから出てくる技術”も考えなければならないと感じました。
 また、そのうえで、教育現場への普及を考えるときのポイントとして、以下のようなものが挙げられました。

  • タブレットには、タブレット独自の勉強の仕方がある。
  • デジタルだからこその…正しい勉強の仕方を教えなければならないと思います。
  • ズルしたら、それはいけないけれども、それに対して敬意を持っていると思う。例えば、「携帯を使ってはいけません」「SNSをやってはいけません」これは、子どもが大人を超えるのをいやがっている。
  • 子どもたちの使い方を信頼する、ということができなければならない。三雲中学校や袖ヶ浦高校は、子どもたちのICTの使い方を信頼できている学校。
  • テクノロジーが普及して、行動変容は止められない。iPhoneが出てまだ9年。LINEが出てまだ4年。それでもこんなに大きく行動変容が進んでいる。

 自分のiPhoneクラウドの使い方を振り返ると、数年前とはまったく変わってしまっていることに驚きます。子どもたちもどんどんスマホクラウドSNSを使う用になっていくと思います。そうした使い方を学校でだけさせない、というのに無理が出るのは当然なのかな、と思いました。

2026年の教育

 パネルディスカッションのメインテーマである、2026年の教育現場でICT利活用はどうなると考えるか、を訊いてみました。

  • 寺西さん
    • 「わかんない」というのが率直な感覚。
    • どうしたらわかるかな?と思って、10年前を調べてみた。
  • 加藤さん
    • AIとIoT。
      • いろんなものがネットにつながる世界。
    • 共存と共創。
    • AlphaGO、特定のタスクでのAI。
      • AIがチャットをしていても、人なのかAIなのかがわからない。このように「特定のタスク」に限定するならばAIは十分活用できる。
    • 2026年
      • 個人に最適化された教育カリキュラム(Competency-Based Education)
      • PBLを大きく取り入れた、きのくにこどもの村学園
      • 技術は見えなくなる
  • 遠藤さん
    • 10年後、ICTをやっているところと、やっていないところで分かれています。
    • ちゃんと最新情報についていく、ということができるか。
    • 学校は、一度入れてしまえばリプレイスも難しい。だから、学校は最新の状態についていくことが難しい。
    • いまできることについていっている塾と、そうでない塾に分かれる。メイツでは、2013年にiPad 2を買った、そこから200台まで増やしていった。最新のテクノロジーについていくこと。

 寺西さんが教えてくれたように、10年前には「Web2.0」がバズワードだったのですね。そんな言葉ありましたね。聞かなくなりましたね、たしかに。そして、加藤さんがおっしゃったように、「どんどん技術は見えなくなっていく」というのも実感します。AIとIoTの周辺は特にそんな感じになるように思います。
 そして、ICTを使って教える日常の現場を持っている遠藤さんからの「最新情報についていく教室(=教育現場)を作る」という強い気持ちは、参加者への応援メッセージになったと思いました。

 ステージ上で書いたメモを挙げてみましたが、細かい部分などについては、月刊私塾界にて報告レポートが出ると思いますので、そちらを楽しみにしたいと思います。もし、お読みになりたい方はお声掛けいただければと思います。*1

(為田)

*1:もちろん、月刊私塾界を購読していただくのがいちばんです!