教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

山形市教育研究会 メディア教育部会 研修レポート No.1(2018年9月19日)

 2018年9月19日に、山形市教育研究会 メディア教育部会の研修講師にお招きいただきました。「初心者でも使える教育ICT!!」というテーマでしたので、教育ICTリサーチブログの「授業で使えるかも?」「教材で使えるかも?」シリーズで取り上げたものを選んで紹介しました。また、山形市内の小学校の環境でもなるべくできるように、アプリのインストールが必要なく、ブラウザ上でできるものを選びました。
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 全体の構成としては、最初にICTを教育現場で活用する背景を紹介し、どんなところにICTを利活用するメリットがあるのかを考えてほしいことを伝えました。その後で、実際に先生方にサイトやアプリを使ってもらい、そのなかで、「あ、これはうちの学校で使ってみたい」「うちの学年で使ってみたい」「あの子に使ってみてほしい」というふうに、実際の授業に使えるアイデアを得てもらえればいいと思いました。
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 以下、紹介したサイトやアプリなどをレポートしていきます。

Google Earth

 Google Earthでは、簡単な利用方法として検索の方法と、拡大表示と3D表示の方法だけを紹介して、その後は、典型的な「リアス海岸(リアス式海岸)」を探してください、という課題に取り組みました。こうして実際に発問をすることで、児童の視点になって、先生方に使っていただくことができるとともに、先生としてどのような発問をしたらより学びの効果が高まるのかを想定できると考えています。
 今回の発問は、社会科の単元で活用するようなイメージでしたが、「このアイデアを、社会見学で使えないか?」というふうに、他の教科に横展開してほしいと思っていますし、先生方はそうした横展開をする知見を持っていると思っています。

 会場になったコンピュータ研修室には、SKYMENUが導入されていましたので、参加者である先生方が探したリアス海岸の画面をみんなで共有して見せ合いました。日本国内の三陸海岸を見せる先生も、海外のリアス海岸を紹介してくれる先生もいました。

 Google Earthを使うことで、教科書や資料集の切り取られた写真ではなく、より大きな範囲で地形を見ることができ、さらに自由な角度でそれを見ることができるのは、デジタル地図の利点です。九十九里浜など、Google Earthで見ると、本当に延々と砂浜が続いていることに驚きます。そうした活用の方法もあるということを紹介しました。

www.google.co.jp

StarWalk

 星空観察のときに使える、StarWalkを紹介しました。スマホに無料でインストールをすることができることを伝え、提示用のスクリーンに投影して、どんなふうに見えるのかを紹介しました。

Star Walk - ナイトスカイ: 星座と星

Star Walk - ナイトスカイ: 星座と星

  • Vito Technology Inc.
  • 教育
  • 無料


 そして、「夏休みの星空観察にこのスマホを使って星座や星を特定し、それをプリントに転機して提出する児童も出てくると思います。そうした学習活動について、どう思いますか?」という話題提起をしました。結果として、このようにデジタルを使うことについて肯定的な先生がほとんどでした。道具として使った結果として、それをどう学習活動につなげていくのか、というのは先生方の授業設計の問題であり、ぜひ適度に使ってほしいと思います。
 個人的には、StarWalkなしではまったく星座を探すことが僕はできませんので、自分の息子の夏の宿題をやるときには非常に役立っています。

 僕は、このStarWalkはメガネのようなものだと感じています、という話をここでしました。星空を見ても何も見えない僕が、StarWalkを使えば、星座を見つけることができる。身体を延長してくれている感覚です。検索エンジンも、「すべてを覚えなければいけない」のではなく、「どう調べればいいのか」を知っていればよくなったという意味で、脳の機能の延長です。タイピングのスキルも、僕が文字で書くスピードをより高機能に延長してくれていると思っています。
 このように、デジタルを身体の延長として使えるようになるのは、これからのデジタルネイティブな子どもたちには必要不可欠なのではないか、という問いかけを行いました。
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情報ハンドブック

 続いて、情報活用能力の話をしました。「情報活用能力を育むために、どう教えればいいのか?」への手がかりに、パナソニック教育財団のサイトから、京都教育大学附属桃山小学校で使っているパワーチェックシートを紹介しました。

 具体的に活動内容が子どもたちに見えるようになること、またそれをすぐ使えるように下敷きにする工夫、正の字で使おうというモチベーションを作る工夫などを紹介しました。このまま使うということでももちろんいいと思いますし、パワーチェックシートの項目を参照しながら授業の中に取り入れていく、というのでも情報活用能力を育む授業設計ができるのではないかと思います。

www.pef.or.jp

 木村先生の著書『情報学習支援ツール~実践カード&ハンドブック』も参考になるかと思います。

English Central

 英語の練習をするために使えるサイトとして、English Centralも体験してもらいました。一人ひとりが発音の練習ができるのを、実際にヘッドセットを使って体験できました(メディア教育部会の幹事の先生方のご協力で実現!)。スコアが上がると、「よっしゃ!」と喜ぶ先生方の姿は、子どもたちもまさに同じようなのだ、ということを感じられたのではないかと思います。
ja.englishcentral.com


 「これだと、先生が見本を見せる側に回らなくていい」「子どもたちのやる気を引き出すところが先生の仕事になる」ということも、理解していただけたように思います。
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 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)