教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

横浜市立中学校教育研究会 視聴覚・情報教育部会 研究大会 レポート No.3(2021年11月4日)

 2021年11月4日に横浜市立鴨居中学校で開催された、令和3年度 横浜市立中学校教育研究会 視聴覚・情報教育部会 研究大会で、「GIGAスクール構想実現に向けて」という講演テーマで講師を務めさせていただきました。

 公開授業と情報交換会を通じて、一人1台の情報端末を使っての授業がどのようなものになるのかというイメージをもつことができていたと思うので、そこからさらに発展して考える機会になるように、さまざまな学校での事例を紹介していきました。「こうした事例のようにICTを使って授業をすればいい」と言いたいのではなく、それぞれの学校、それぞれのクラス、それぞれの教科・単元によって、適切なICT活用があるので、それを探すための引き出しを増やしてほしいと思っていました。
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 学校においてICTをどう活用するかを考えるには、そもそも「デジタルとはどういうものなのか」という価値観を学校で統一して持っていることが大事だと僕は考えています。そのため、講演の最初に参加者の皆さんにMentimeterを使って、「あなたにとってデジタルとはどういうものですか?」という質問に答えてもらいました。
 会場になった図書室にいる参加者に一人ずつ発言してもらうことは難しいですが、こうしてMentimeterを使うことで、より多くの意見を聴くことができます(情報交換で使ったPadletでも同様のことはできます)。
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 デジタルを「便利なもの」というだけで見るのではなく、子どもたちの思考や表現を深めたり、試行錯誤の回数を増やすものとして見ると、授業のなかでどう使うかのアイデアの出し方も変わってくると思います。そうしたことを考える機会にこの講演がなればいいな、と思います。

 最後には、さまざまな事例のまとめとして、教育ICTの利活用 9類型を紹介しました。それぞれの学校で、「どの目的でICTを活用していくのか」を考えるきっかけになればと思います。
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 終了後のアンケートを見せていただいたところ、以下のようなコメントをいただきました。

  • 他校の事例は刺激になりました。ICT利活用の9類型を参考に、学校に戻って先生方を啓発していきたいです。
  • 素晴らしい内容でした。特に9つの類型は大変参考になりました!
  • 決して押しつけでなく、選択肢の提示があり、具体例を交えたお話でよかったです。子どもの可能性を広げるには、教員の創意工夫が不可欠であると感じた。
  • 端末の配布やアカウントの整理が済み、アプリケーションの使用に慣れてきて、分散登校を乗り越え、これからどこへ向かうかと模索している学校が多いかと推察します。今回の講演で、9つの類型から、学校としてどこに重点をおいて取組を重ねるかなど、方向性のヒントをいただくことができました。また、紹介いただいた実践例も大変よい刺激となりました。

 ただ「課題の配布と回収が楽」という、先生が便利になる、というところで留まるのではなく、子どもたちが思考のツール、表現のツールとして一人1台の情報端末を使いこなせるようになるために、授業が設計されていけばいいと思います。この考え方を突き詰めれば、授業の中の発問の仕方も、板書の仕方も、教科書の使い方も、変わっていくと思っています。デジタルを思考・表現のツールとしてどう使うかを授業設計に組み込むことは、先生方にしかできない仕事であり、これから授業を実践して積み上げていく時期になっていくと思っています。
 そうした授業の実践などに関して、精一杯のお手伝いを今後もしていきたいと思っています。

(為田)