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静岡県立掛川西高校×TechAcademy プロジェクトレポート No.2(2019年3月28日)

 2019年3月28日に、静岡県掛川西高校を訪問して、掛川西高校パソコン部とオンラインプログラミングスクールTechAcademyがタッグを組んで活動しているプロジェクト「テクノロジーの力で掛川市を活性化させよう!」のワークショップを見学しました。このワークショップは、3月26日~28日の3日間で行われたもので、その3日目を見学しました。

 掛川西高校で、吉川牧人先生とTechAcademyの樋口隆広さんに、今回のプロジェクトについての想いなどについて語ってもらいました。
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 最初に、地域課題を解決するプロジェクトを県立高校がする意義について話を聴きました。

  • 地域にある県立高校が行う地域課題を解決するプロジェクトとして、「続いていく」「持続可能である」「積み重なっていく」というのが重要だと思っている。「思い出づくり」や「きっかけとなるイベント」は重要だけど、それで終わらないようにしたい。(樋口さん)
  • 今回は、「サイト構築」をプロジェクトにしている。サイトを作ることで、(掛川西高校パソコン部がやっている)掛川城プロジェクションマッピングをより多くの人に見てもらう、というふうに、コンテンツと人の繋がりも生まれてくるかもしれない。(樋口さん)
  • 新しく入ってくる生徒とのつながり、街と人とのつながり、そうしたものが生まれてくる。まちづくり会社が地域の課題として感じているものが、生徒によって解決されるものもあるかもしれない。価値提供→報酬へと繋がるかもしれない。それによって、WiFiなどのハード環境や講師を呼んだりとか、そうしたものに繋がるかもしれない。(樋口さん)
  • 学校としても持続可能。今回作ったサイトによって、市自体の活動も持続できるようになっていくのかもしれない。市や第三セクターでは不可能なことを、高校生ならば突破できそうなところもある。地域経済に貢献できそうな気がする。学校の中で完結するのではなく、地域に貢献できそうな感じがする。(吉川先生)

 今回は、掛川西高校とTechAcademyのタッグでプロジェクトを実現しているわけですが、こうした学校に外部(企業など)を入れる試みについて話を聴きました。

  • 高校が求められていることはどんどん増えている。「チーム学校」とか「開かれた学校」とか言われている。でも、あまりやってきていない。ノウハウもない。プログラミング、PBLなどと言われるけど、どうやっていいかわからないのが多い。外と繋がることで、簡単に崩せると感じた。テクノロジーで課題を解決するのは、市民ではわからないが、専門家なら簡単なんだ、と思った。生徒とマッチングできる人材や団体とつなぐことが、教員の仕事として重要だと思う。(吉川先生)
  • 今回がはじめての試みだったが、「こんなにうまくいくのだ」と驚いている。思った以上に、生徒たちの力もあって、形になり始めていると思っている。今回は、掛川西高校と吉川先生の存在があるからこそなのだろうか。そういうのが次の超えなければならない壁だと思う。(樋口さん)
  • 地域創生の予算などを使うことができれば、何をやっていいかわからない学校に対しても助けになると思う。(吉川先生)

 最後に、これからどんなふうに進めていきたいかについて話を聴きました。

  • 高校生が楽しんでいる。パソコン部以外の生徒も参加している。ほぼ全員がプログラミングは未経験。もともとできていたわけではない。全校募集もできる。地域募集も可能。他の高校も巻き込みたい。サッカーのクラブチームみたいになるのもおもしろいかも。(吉川先生)
  • (TechAcademyを運営するキラメックスの)ミッションである「自己実現の最大化」を実現するために、テクノロジーが武器や手段になる。このプロジェクトに参加して、さらに自己実現を目指すためには、数学の知識がある方がいいとか、そういうふうに高校で学ぶ一般教科での知識にも戻っていくと思う。(樋口さん)
  • 高校生たちが「これは稼げるな」と思っている感じはある。起業する子も出るかも(バイトはNGだけど、起業したらOK?)未来のエンジニアを育成することにも繋がるかもしれない。こういう活動は大事だと思う。(吉川先生)
  • 「テクノロジー×何か」で新しい価値を生む、ということをしている。エンジニアを育てるというのではなく、いろんなジャンルでのテクノロジー人材を作りたい。(樋口さん)→今回、そういう感じがする。(吉川先生)

 高校生たちが、「地域解決が目的で、テクノロジーは手段」というふうに言っていました。学校と企業と地域が交わるところで、テクノロジーを使って課題解決を行うというプロジェクトを設計しやすいのではないかと思いました。

 No.3に続きます。
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(為田)