2019年3月28日に、静岡県立掛川西高校を訪問して、掛川西高校パソコン部とオンラインプログラミングスクールTechAcademyがタッグを組んで活動しているプロジェクト「テクノロジーの力で掛川市を活性化させよう!」のワークショップを見学しました。このワークショップは、3月26日~28日の3日間で行われたもので、その3日目を見学しました。
このプロジェクトに関わるようになったきっかけは、2018年10月に開催された私塾界リーダーズフォーラム 教育ICTカンファレンスの「【トークセッション】プログラミング教育は未来を変えるのか?」に登壇していた、TechAcademyを運営しているキラメックス株式会社 代表取締役社長 樋口隆広 さんとのミーティングでした。ミーティング中に樋口さんと話していて、「オンラインでの学習+オンラインミーティングでグループごとや個人ごとにフォローする仕組みを作れるなら、地域コミュニティの中にある学校の授業で(あるいはクラブ活動、課外活動で)、地域課題を解決するアプリづくりというプログラミングの授業ができるのではないか」というアイデアが出ました。そこで、このアイデアを、2018年11月のエントリー「授業で使えるかも?:地域の問題を解決するアプリ開発プロジェクト+オンラインでプログラミング講義」に書いたところ、掛川西高校の吉川牧人 先生が興味を持ってくださいました。
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吉川先生が顧問を務める掛川西高校パソコン部は、自分たちで掛川城にプロジェクションマッピングをする活動をしています。後日、樋口さんと一緒に掛川西高校を訪問し、そこからは掛川西高校とTechAcademyが共に準備を進め、この3月にプロジェクトのキックオフを迎えることができました。
掛川西高校に到着して、最初に吉川先生とTechAcademyの樋口さんにインタビューをさせてもらいました。今回の3日間のワークショップの内容は、以下のようなものだそうです。
1日目 フィールドワーク&ワークショップ
- 当事者へのインタビュー
- 問題解決のためのスキルアップ
- TechAcademy樋口さんによるワークショップ
- 直接的に欲しているものを聴く(ニーズの発見)と本質的に欲しているものを聴く(課題)ことを伝える。ヒアリングで言ってくれることを、その言葉だけで受け取らずに、その奥にある深い課題・ニーズは何かを考えるように伝える。
- 抽象的なところから、具体的なものに落とし込めるようにする。整理の部分で、具体的に考える&抽象的に考える。
- いきなり「掛川の課題と魅力を考えて」と言っても、出てこないと思ったので、感じたことをポストイットに書き出す個人ワークをした。
- 模造紙に貼って、3~4人のチームになって、具体的に出したものをグルーピングしていく。グルーピングするなかで、本当の課題は何かを考えた。課題の抽出・魅力の抽出をした。いろいろな視点が出てきた。
- 4グループに分かれて、グループごとに課題と魅力について、いちばん大事なものを挙げてもらった。みんなに伝えていきたい魅力、自分たちの力で解決したい課題を挙げた。
- 魅力と課題について、ロジックツリーを使って、打ち手を考えた。ロジックツリーについて、プログラミングをするときにも使うものだと説明。ロジックで考えて、ロジカルに物事を見るようになることが大事だ、という話をして、テクノロジーとつなげた。
2日目 Wordpressを使ったサイト構築、コーディング
吉川先生は、ワークショップを実施しての感想として、「ほぼ全員が質問をして、訊きたいことを口にしてくれていた。クラスにいたら発言しなさそうな生徒が、積極的にわからないこと・具体的に知りたいことを、自分の言葉で質問していた」ということを評価していました。
また、生徒たちからは、「いろんな視点で物事を見ることの重要性に気づけた」「掛川のことを意外と知らない」という感想が出ていました。地域課題を解決するためにテクノロジーを使うというこのプロジェクトは、ただプログラミングを学ぶということだけではなく、地域へ理解を深めるというようなメリットもあります。また、そもそも汎用的に使える、ヒアリングの方法や「具体的に考える思考法と抽象的に考える思考法」ということも学ぶことへも繋がっているようです。
No.2に続きます。
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(為田)