フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。
今回は、美術で生徒が制作した作品を、ICTを使ってデジタル化して、作品をアーカイブ化することを紹介します。絵画にしても、塑像作品にしても、生徒が制作し、完成させた作品はずっと保存しておくことはできません。また、制作過程を残すこともできません。
しかし、ICTを使ってデジタル化することで、作品を評価し終えた後、生徒に作品を返却した後でも、作品を保存しておくことができます。また、保存した後で、「昨年の先輩たちの作品を見てみましょう」と授業で見せることも可能になります。また、制作過程もデジタル化しておくことで、一つの作品の完成までのプロセスも記録することができます。これもまた、制作時の技術を説明する時に役立てることもできるでしょう。
前回紹介した本物の作品と模写作品の比較でICTを活用するエントリーの最後でも述べていますが、プロセスまで記録し、振り返りができるのは、ICTのメリットです。
blog.ict-in-education.jp
いちばん簡単なのは、各生徒に自分の作品をスキャナやデジカメでデジタル化してもらい、校内の共有フォルダなどに用意した課題ごとのフォルダもしくは生徒ごとのフォルダにデータを保存することです。保存したデータは、画像ビューアーなどで確認することができます。
また、ednityやEdmodeなどの学校専用SNSや、Facebookなどの利用が可能であれば、そこに画像をアップする方が使い勝手はいいと思います。
ednity
www.ednity.com
Edmode
https://www.edmodo.com/www.edmodo.com
▼作品のアーカイブによるメリット
- 生徒一人一人の作品集であるデジタルポートフォリオを作ることができ、作品ごとの成長を確認できる
- 制作プロセスの記録をとっておくことで、振り返りができる
- 先生が、授業ごとの作品の進捗を確認でき、管理できる
- 先生が、制作時の参考事例として提示することができる
- 生徒同士でお互いの作品やプロセスを共有できる
- 校外に公開することで、保護者が家で確認できる
- ネット上で作品を発表することを通して、情報科で学ぶ知的財産権やネチケットも含めて学ぶことができる
美術は、美術大学などを受験したり、絵の好きな生徒以外には、主要五教科に比べて価値がないようにとられがちですが、ICTを活用することで、他の教科と関連づけたり、実社会と結びついたりといった要素を絡め、価値を高めることもできると思います。
(前田)