新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が打ち出した小中高校や特別支援学校などの臨時休校が2020年3月2日から始まりました。休校の状況にあっても、ICTを活用することで教育活動などを継続している学校の実践を「休校×ICTでやれたこと」として紹介していきます。
今回は、工学院大学附属中学校・高等学校の有山裕美子 先生からいただいた実践で、「BYODを使って連絡、教材配布、課題提出」です。
Q1:どんなふうに使っているかを具体的に教えて下さい。
有山先生:中学生はiPad、高校生はPCのBYODという環境。Office 365、Edmodo、ロイロノートを使って、連絡、教材配布、課題提出などを行っています。
有山先生:これは、Edmodoでのやりとりの一部です。各学年クラスでいろいろな情報を流しています。連絡方法としては、Edmodo、ロイロノートの他、一斉メール(全体にアナウンス)を使っています。個人では、Edmodoやロイロノートの個人メッセージを使ってやりとりも可能です。
それぞれの教員がここで課題を提示して、生徒たちに期限を定めて提出するように指示しています。課題の提出方法は、Edmodoを使った課題であったり、実際に書いたものをスクリーンショットで撮って送ったり、ロイロノートやFormsで提出させたり、各々の教員が工夫して行っています。その他、OneNoteなどをうまく活用している教員もいます。有山先生:こちらは、ロマンサーという電子書籍作成ツールです。クラスやグループごとに課題を作成して個人でアップロード、公開にすることで仲間同士読み合うことも可能です。画像に表示されているのは、高校2年生の現代文のクラスで、最終課題で、自分で小説を書くことになっています。課題の提出期限はあらかじめ伝えてあります。こちらは作品に直接メッセージを入れて戻すことができます。
Q2:「もっとこうであればよかった」ということがもしあれば教えて下さい。
有山先生:動画授業などの配信ができると良かった。実際に反転授業をやったり、YouTubeで動画を配信したりしている教員もいるので、準備期間があれば可能だったと思います。また、生徒も動画を視聴することには慣れています。学校で授業をやって配信している学校もあるようなので、今後そういった可能性もあるのではないかと感じました。
まとめ
授業中でみんなで考えをやりとりしたり、みんなで練り上げていくことも非常に大切な時間だと思いますが、学校で一緒に過ごした時間が土台としてあるからこそ、オンライン上での課題のやりとりなどを行うことで、「授業中には恥ずかしくて発言できない」生徒や、「授業時間内ではちょっと思いつかなかったことが、より長く考えることができるから思いつける」生徒もいるのではないかな、と思っています。ICTがあるからこそできる授業だけではなく、「普段の授業が土台としてあるからこそできる授業」ということについても、考えていかなくてはいけないのではないか、と思いました。
また、工学院大学附属中学校・高等学校図書館のホームページでは、休校中のいろいろなサービスをまとめて、発信も行っています。「こうした情報発信も、必要かなと思っています」と有山先生はおっしゃっています。本当に、こうして学校が生徒たち・保護者に対して、情報を一手間かけて提供していくことは本当に必要なことだと思います。最終的に子どもたちに手渡すべき「モノ」と「コト」は何なのかは、学校の先生方がいちばんわかっていらっしゃることだと思います。
有山先生、どうもありがとうございました。
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実践紹介と共に、「もっとこうであればよかった」も合わせてまとめておけば、GIGAスクール構想後の学校に役立つ知見になると思います。引き続き、フォームからの投稿を受け付けていますので、どうぞよろしくお願いします!
(為田)