教育ICTリサーチ ブログ

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ICT活用授業デザインワークショップ レポート(2016年4月16日)

 4月16日(土)に、ICT活用授業デザインワークショップに参加させてもらいました。このワークショップは、関西大学総合情報学部の黒上晴夫教授のゼミが運営チームとなって開催されているもので、今回は京都教育大学附属桃山小学校の木村明憲先生のご紹介で、参加させていただきました。
 今回の題材は、光村書店の国語(小学校4年生)の「大きな力を出す/動いて、考えて、また動く」。指導書の中の「単元設定の趣旨」や指導要領との関連などを読み、指導展開例を素材にして、「曖昧な所/多義的なところがないか?あるとしたら、どういうふうに授業設計・教材研究をするか」ということを、グループに分かれてディスカッションしていきました。


 僕は、京都教育大学附属桃山小学校の木村先生と、4月に京都市立錦林小学校から京都教育大学附属桃山小学校に異動した長野健吉先生と一緒のグループでした。木村先生と長野先生は、2人で4年生を担当しているそうです。木村先生の授業は非常に好きな授業スタイルですし、長野先生のロイロノートを使った実践はニュースや記事(第25回教育委員会対象セミナー・京都 「学びの連続性」をICTで確立する 京都市立錦林小学校 長野健吉教諭|教育マルチメディア/教育委員会対象セミナー)などで拝見していたので、このグループでどんなディスカッションが行われていくのか、非常に楽しみでした。
 感想としては、先生方の緻密な授業研究、すごい。指導展開例はぼんやりとしか書いていない(ぼんやりとしか書けない、ということもあるのだろうけど)のに、そこから肉付けをしていき、内容面や言語事項なども含めて授業の進行を計画していく姿勢を、ディスカッションの中で近くで見ることができて、非常に勉強になりました。
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 指導展開例の最後の数時間で、「興味をもった部分を引用して、自分の考えをまとめる」「書いた文章を発表し合い、自分の考えと同じところや違うところを見つける」というのが書かれていたのですが、たったの45分の授業の中で、「興味を持った部分を引用して、自分の考えをまとめる」のは、難しいし、もしそれで書けても浅いものになってしまうのではないか?という問題意識から、「でもこれは、それまでの何時間かの間に、ロイロノートに少しずつ感じたことを書かせておいて、それを繋げて再構成するというふうにすればいいのではないか?」という意見が出ました。短い時間で、「書き上げさせる」ことを目的にするのではなく、それまでに書いたものをふりかえり構成を組ませることに時間を使うことで、より学びを深められそうだな、と思いました。また、時系列に縛られずに文章を構成させるということができるのは、ICTならではの利用法だと感じました。
 授業中に少しずつ思ったことを書いていく、というのはノートと紙でもできますが、それを再構成するときには、どうしても書き写すことに時間がかかってしまいます。「時間がかかるからやらない」と活動を諦めるのではなく、「時間をかけずにしっかり書いてもらうために、ICTを使う」という選択肢ができることに意味があると思います。
 紙で書いてもICTでやっても同じなのであれば、正直どちらでやってもいいと思うのですが、「授業の目的」を達成するための手法として「ICTの方が目的を確実に達成できる」というのであれば、そこはICTを使うように変えていくべきだと思います。こうした、授業の成果/学びの成果という観点から、「ICTを使うかどうか」「どうICTを整備するか」ということを検討してほしいと思いました。


 しかし、こうした先生方同士のディスカッションを身近で見られて、しかも黒上先生の講評つきというのは、学生さんたちが贅沢だな…(笑)と思いました。研究会後の懇親会でも、いろいろなお話を伺うことができて、本当に楽しい一日となりました。
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 黒上先生、木村先生、長野先生、本当にどうもありがとうございました。