米田智彦『いきたい場所で生きる 僕らの時代の移住地図』を読みました。「東京オリンピック後に自分が移住するとしたら、どこに住むだろう?」という視点から、国内外に移住した33人へのインタビューをしている本です。
取材した33人の移住先は国内だと北海道、岩手、宮城、新潟、茨城、千葉、長野、京都、和歌山、愛媛、高知、鹿児島、福岡、沖縄。国外でも、ドイツ、オランダ、スウェーデン、ポーランド、アルゼンチン、フィジー、シンガポール、マレーシア、ベトナム、カンボジアと多様。
セミリタイアして移住というようなものではありません。どこに住んでいても仕事ができるようになってきた、という社会の変化がまず前提としてあり、そのうえで移住のリアルな現実が書かれています。「どこに住んでいても仕事ができるになってきた」という変化は、以下のようなポイントとともに説明されています。
いま、移住が注目される四つの理由(p.29-p.33)
こうした変化が起こってきていて、その核にリモートワークとソーシャルメディアというICTと結びついたスキル/環境があるということは、もっと子どもたちに教えてあげたいと思います。
2020年から始まる小学校でのプログラミングの必修化の一つの出口は、実はこうした多様な働き方なのかもしれません。東京へでなくても、地域にいても世界を相手に仕事をすることもできるようになるわけですから。
例えば、海外への移住をした方々のなかには、2012年にドイツ・ベルリンへ移住された高田ゲンキさんがインタビューをされていました。高田ゲンキさんのイラストエッセイ「ライフハックで行こう!」は読んだことがあったので、ああ、この人なのか!と思いました。
それから、2011年にポーランド・ワルシャワへ移住された堺玲子さん。堺さんは、サイト Z POLSKI ズ・ポルスキの運営をされています。このサイトも本当におもしろいです。
おふたりとも、しっかりスキルがあって経験もあって、そのうえで移住をされている。ICT+何ができるかということが言うまでもなく重要です。ICTと共に使うものは、教養であったりコミュニケーション能力であったり専門知識であるのはまちがいありません。小学校から高校の先生が子どもたちに伝えていく働き方のイメージを幅広くなるといいかな、と思いました。
(為田)