教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするために、現場目線での情報発信をしていきたいと思います。

授業で使えるかも?:『プログラミングえほん2 プログラミングって、なんだろう?』

 小金井市立前原小学校の松田孝校長先生が監修されている、『プログラミングえほん2 プログラミングでできること、できないこと』を献本いただきました。

 サブタイトルに、「考える力・問題を解決する力・ダイナミックに自分を表現する力が身につく!」とあります。この本のねらいは、「プログラミングでできることを知ろう!」となっていて、ロボットが得意なこと/苦手なこと、プログラミングでできること/できないこと、という観点で考えるようになっています。ページをめくりながら授業でみんなで読み進めることもできそうです。

 アルゴリズムえほんのときと同じように、指導者の方向けのページも用意されていて、前原小学校で実践されている授業について読むことができます。
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 この「プログラミングえほん」、全4巻となるそうです。4巻のそれぞれのタイトルは以下のとおりです。

『プログラミングって、なんだろう?』
『プログラミングでできること、できないこと』
『プログラミングにちょうせん!』
『みんなでプログラミング!』

(為田)

授業で使えるかも?:クボタのアグリロボトラクタ、すごい。

 年末年始にテレビで「下町ロケット」を見ました。無人農業ロボットがストーリーの中で大きく取り上げられていて、特に無人コンバインが、台風の暴風雨のなか、真っ暗になった夜にも作業をしている様子が描かれていました。

 この「下町ロケット」の番組中に、本編と見分けがつかないクボタのCMが流れていました。
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 「下町ロケット」の本編のストーリーと共に、日本の農業問題についての大きなPRになったのではないかと思います。知識としてロボットが人の仕事を代替するようになる、ということは知っていても、こうして映像で見せられることで、より理解が進むのではないか、と思いました。f:id:ict_in_education:20190107133653p:plain

 興味があって調べてみると、クボタはYouTubeで「TheKubotaChannel」を運営しています。
www.youtube.com

 この中には、Documentary of Kubotaという再生リストもあり、いろいろな国の農業の置かれている状況についての紹介を見ることができます。Vol.8が日本ですが、その他にも、ベトナム、フランス、中東、シンガポールアメリカ、イギリス、ドイツが紹介されています。これらも、社会科の教材として授業の中で使えるかもしれないと思いました。
www.youtube.com

◆ ◆ ◆

 以前、コマツの「スマートコンストラクション」についてエントリーを書いたときにも思いましたが、仕事の仕方はどんどん変わっていくのだな、と感じさせてくれます。こうした仕事の仕方をするときに、デジタルリテラシーやプログラミングのスキルがあることで、どのような効果が出るのかということを考えるのもいいな、と思います。
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(為田)

書籍ご紹介:『すいません、ほぼ日の経営。』

 川島蓉子・糸井重里『すいません、ほぼ日の経営。』を読みました。教育ICTをテーマとしている、このブログでどうして経営の本?というふうな思いもあるかも知れません。その理由は、糸井重里さんたちが作り上げた、ほぼ日という会社の働き方を、「ICTを手にしてどんな働き方/生き方が可能になるのか」ということの一つの例として読めると思ったからです。Twitterで書いた読書メモをまとめたいと思います。

すいません、ほぼ日の経営。

すいません、ほぼ日の経営。

すいません、ほぼ日の経営。

すいません、ほぼ日の経営。

 「あとがきにかえて」で、糸井さんも書いています。

 インターネットを手にしたからこそ、できるようになった場作り。どのような場ができるのかを知っておくことが、ICTをどのようにツールとして使っていく学校環境/教室環境を作るときの助けになるのではないのかと思いました。

ほぼ日の事業の進み方

 ほぼ日刊イトイ新聞で毎日更新されるたくさんのコンテンツが僕は大好きです。ほぼ日手帳も毎年使っています。そうしたプロジェクトがどのようにできあがっているのか、という話を読むことができます。

 こうした自律的なチームのコミュニケーションを支えるのに、ICTは使えるだろうな、と思います。時間や場所に囚われなくてよくなるので、自律的に進める人、「こういうの、どう?」と他者にアイデアを伝えられる人は、どんどん活躍の場を広げていく。それをサポートする人も同様です。
 こうした体験を、学校という場で作るにはどのようにすればいいだろうか、ということを考えます。Google Classroomのようなものを使っても可能です。Slack+Trelloのような形も可能です。schoolTaktのいいねの付け合いを可視化する機能も使えるかもしれません。

ほぼ日の働き方

 国として取り組んでいる、働き方改革ですが、ほぼ日でも進められているそうです。

 この、“「もっといいアイデアがあるのでは」と問い続けること”というのも、僕としては、学校の授業で体験させてあげて、姿勢として育んで卒業させたいことのひとつです。

ほぼ日の行動指針と「クリエイティビティの三つの輪」

 ほぼ日の行動指針は「やさしく つよく おもしろく」だそうです。やさしくは「相互に助け合うということ、自分や他人を「生きる」「生かす」ということだそうです。そして、つよくは「企画やアイデアやコンテンツを、会社として、組織として「実現」「実行」できること、現実に成り立たせること」です。

 そして、ほぼ日のコンテンツがどのように生まれるかのところでは、「クリエイティビティの三つの輪」が紹介されていました。

 このくだりを読んでいて、学校に対して新しいカリキュラムやシステム、教材などを導入する時にもまったく同じ輪を考えることができるのではないだろうか、と思いました。

ほぼ日の組織

 組織的な話も出ていました。インターネットの活用によって、組織の形は大きく変わりつつあると思っています。ヒエラルキー、上下関係ではない関係が増えてきていると思うし、いろいろな場に同時に所属できるようになってきていると思っています。

 組織のあり方とは、コミュニティのあり方とも言えると思います。こうしたコミュニティのあり方についても、一つの可能性として知っておくとおもしろいと思います。

 そのまま適用できるわけではないのですが、ICTの活用が一人1台で進んでいる学校では、こうしたコミュニティが一部できつつあるようにも思います。生徒として各教科の授業を受け、部活に属し、イベントごとの役割をし…というようなコミュニティを、それぞれ結びつけたりすることもできるようになると僕は思っています。それぞれの場面で、「じぶんのリーダーはじぶんです」と言えるようになってもらいたい、というのも、僕にとって、子どもたちに身につけてほしい考え方です。

まとめ

 そのまま直接、学校や教育の分野に持ってこられるものばかりではないですが、いろいろな考え方のヒントになりそうな気がして、読書メモをまとめました。
 糸井さんは、他にもインターネットに関する本を出していますので、そちらも合わせて読むとよいかと思います。

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)

インターネット的 (PHP文庫)

インターネット的 (PHP文庫)

戸田市立戸田東中学校 公開研究発表会 レポート まとめ(2018年11月2日)

 2018年11月2日に、戸田市立戸田東中学校にて行われた公開研究発表会に参加しました。この公開研究発表会は、平成28・29・30年度 戸田市教育委員会研究委嘱事業で、研究主題は「豊かな人間性と社会性をもった生徒の育成」でした。
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 そのなかで、1年1組の道徳の授業で、ポプラ社の出版した『答えのない道徳 どう解く?』という書籍を使った「びょうどう、どう解く?」という授業が行われました。その授業の様子をレポートしました。
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 研究授業と全体会が終了した後、体育館で児童文学評論家の赤木かん子先生による「豊かな人間性と社会性をもった生徒を育成するために」と題された講演が行われました。子どもたちを取り巻くメディアの変化とともに、子どもたちにどんな影響があるのかということについての講演でした。
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 まだお読みになっていない方は、ぜひどうぞ。

(為田)

2019年の行動目標「学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」

 2019年となりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。年末年始の間に、2018年のレビューと、2019年の行動目標について、考えていました。
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2018年のレビュー

 2018年の行動目標として、「Help Schools Become Future Ready」≒「学校が“未来に向けた準備“をするのをお手伝いする」を掲げたエントリーを書いたのが、2018年1月4日。
blog.ict-in-education.jp

 ブログの運営方針として、以下の3つを掲げていました。

  1. 授業をもっと見に行く→月に2件、授業レポートを出す
  2. できるかぎり、自分で試してみる
  3. きちんと原典にあたる

 1つめの「月に2件、授業レポートを出す」というのは、残念ながら実現できなかったように思います。ただ、授業レポートは出していませんが、小学校や中学校で授業をする機会は非常に多くいただくことができました。そして、研究協議会の場に、参加させていただくことも多くできました。しかも授業者としてそこにいたことも多く、これは自分にとって非常に大きな経験になったと思います。
 2つめの「できるかぎり、自分で試してみる」は、まだまだちょぼちょぼだな…。ただ、デモアカウントをいただいたサービスやシステムもたくさんあり、そのおかげで学校や先生方にご紹介できたものも多いです。ヒョーロンカになるのではなく、自分でやってみて考える、授業で使ってみる先生方に使ってもらう、というのを引き続き進めていきたいと思っています。動き出してまだ成果が出ていない部分も多いので、そこは継続してがんばる。
 3つめの「きちんと原典にあたる」は、まだまだ足りていない部分です。きちんと原典にあたっているからこそ、現れるアイデアもあると思います。

2019年の行動目標

 2019年の行動目標も、引き続き「学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」としたいと思います。2018年1月にこの行動目標を書いたあと、2018年6月にマイクロソフトから、「Future-ready skills」というのが出まして、自分の行きたい方向に使った言葉が正しいと自信も持てたので、頑張っていきたいと思います。
news.microsoft.com

 「Future Ready」の中には、ICTに関連しない内容も当然入ってきます。例えば、「正解がない問いを考えることを楽しめるようにする」「人に考えを伝えることに価値を置く」「多様性を理解する」などが、僕の中では子どもたちにつけてほしい力だったりします。
 お正月の間に、Twitterのタイムラインで読んだ、末次由紀さんの言葉も、いい言葉だなと思ったものです。

 改めて、自分が関わる事業やプロジェクトのなかで、どんな力をFuture Readyと考えているのか、まとめてみたいなと思っています。ちょうど2019年はいろいろなプロジェクトでそうしたアウトプットを求められるタイミングなので、取り組みます。

本ブログ運営方針

 上記の目標を達成するためにいろいろな活動をしていきますが、その活動の中核にあたるのは、このブログになります。
 このブログは、広告収入になっているわけでもないし、誰に頼まれて書いているものでもありません。このブログ自体がメディアとして売上をあげているわけでもありません。でも、為田の活動としてはど真ん中にあり、このブログがメディアとして僕にもたらしてくれているのは、「人の縁」と「社会的信用」だと思っています。
 このブログを運営していくにあたり、2019年は、以下の方針でやっていきたいと思っています。

  1. 授業をもっと見に行く→月に2件、授業レポートを出す
    • このブログの核は、ICTを活用して授業の質を上げている先生方の「授業の様子」をできるだけ、授業者目線でレポートすることです。そこが強みだと思っています。
    • 月に2件の授業見学→レポートは引き続きやりたいと思います。
    • 「うちの授業見に来てください!」「この先生の授業、おもしろいです」というメール・DM・コメントは大歓迎です。
  2. できるかぎり、自分で試してみる
    • 自分でどんどんカリキュラムを書き、教室で教えてみて/教えてもらってみて、アップデートしていく。2018年に手応えを得たので、この方向性はより拡大します。「授業ができる」ということが自分の強みだと感じています。
    • 「これ、おもしろいですよ!」というメール・DM・コメントは大歓迎です。
  3. コミュニティを作る
    • 自分で緩やかなコミュニティを作ることを目標にしたいと思います。2018年に手を出さないで失敗させてしまったコミュニティがいくつかあります。この失敗をくり返したくない。
    • 忙しい先生方に参加してもらえるコミュニティを、どうやったら作れるか、精一杯やってみようと思います。このコミュニティ作りは、学校というコミュニティをどうFuture Readyにするかということにも繋がりそうな気がしています。

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まとめ

 たくさんの先生方とお仕事ができて、「ああ、こんな授業は素敵だ」とたくさん思えた2018年でした。より多くの先生方とお会いできて、お仕事をご一緒できる2019年にしたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(為田)

宝仙学園小学校 秋の公開授業研究会 レポート No.3(2018年11月30日)

 2018年11月30日に、宝仙学園小学校にて行われた、「宝仙 秋の公開授業研究会 未来の学びをデザイン タブレット一人1台のその先へ」に参加しました。

 次に、宝仙学園小学校が描いたICT導入のビジョンを、山崎剛士 先生が紹介してくれました。宝仙学園小学校のICT導入計画は、2015年からスタートし、今年度はiPad 255台が稼働しているそうです。そして、2019年に3年生で1 to 1の環境をスタートするそうです。
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 ICTの活用については、先生方(教科)の間で予定を調整して使っているそうです。ICT活用の予定は、MetaMojiで共有されているそうです。画面で少し見せていただきましたが、手書きの文字でいろいろな色で予定が書き込まれていました。難しいスケジュール共有システムを作るのではなく、職員室でこれまでに紙で行われていたような簡単な用紙をMetaMojiで作成し、ペンで書き込んでいたのと同じような環境を作っているだけですが、大きな効果をあげているようです。
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 先生方にICTを使っていただくためには、山崎先生は、「ICTを使ってできることを、少しずつ考えている」と言っていました。年間5回の研修会を行い、校内で先生方が順番に講師を務めているそうです。そうすることで、「現場の実態にあわせた研修が可能になる」「教え合う、学び合う雰囲気ができる」ということを、山崎先生は利点として挙げていました。

 また、保護者の方にも、ICTでどのように授業/学校が変わるのかということを理解してもらうために、3年生から6年生までの保護者を対象に、ICT体験会を実施しているそうです。実際にiPadを保護者の方に使っていただき、児童が使うのと同じようにノート提出などをやってもらうそうです。児童が10分でやるところを、保護者はたっぷり1時間くらいかけてやることもあるそうですが、それでも実際に体験してみることで、学校がこれから向かおうとしていることもわかり、とてもいい試みだと思いました。

 これから、新教室My Lab.の活用、ICTの活用、どんどん進化していくと思います。どのように児童の普段の生活にICTが溶け込んでいくのか、楽しみにしています。

(為田)

やってみた:2018年は、読解力に注目してきた1年でした

 2018年いちばん自分の興味関心と合わせて読んだ本といえば、新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』だと思います。

 AIは意味を理解できない、でも、人もそんなに意味を理解していない、ということが説明されている本です。
 リーディング・スキル・テスト(RST)の問題として、以下の領域で問題が出ていて、その正答率なども出ています。自分でやってみても「うーん…」となる問題が多かったです。

  1. 係り受け
  2. 照応
  3. 同義文判定
  4. イメージ同定
  5. 推論
  6. 具体例同定

toyokeizai.net

 よくニュースなどで出てくるアミラーゼの問題は、僕はさっぱりわからなかった…。でも、これは僕がアミラーゼなどに関する語彙にまったく馴染みがないから(本当はそれじゃおかしいけれど…笑)じゃないかとも思い、アミラーゼの問題と同じ構造で、違う一般用語を使ってやってみたらどうだろうか?と思って、問題を作って、自分の子どもに解いてもらったりもしてみました。

 文章の構造がわかるかわからないか、というのはたしかにありますが、それだけでなく、語彙があるかないか、ということも大きな影響を持ちそうだと思って、猪原敬介『読書と言語能力 言葉の「用法」がもたらす学習効果』をじっくり読みました。ちなみにこの本を読んでいる間、Twitterで読書メモを公開していました。ハッシュタグ #読書からの言語学習 でどうぞ。

 タイトルの「教科書が読めない」というのも、本当だろうか?と思って、リーディング・スキル・テストと同じ構造で、教科書に載っている文章だったら、子どもたちは読めないのだろうか?とも考えて、教科書を読んでいたりもします。
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 リーディング・スキル・テストについては、今年1年、いろいろな人から話を伺う機会もあったし、先生方とも意見交換をさせていただいたりもしました。何より、「こうして指標を作った」第一歩が本当に重要だと思っています。ここからバージョンアップをしていって、読解力を伸ばすために公教育で何ができるのか、ということは考えていければと思っています。
 新井先生からもらった問題意識を、どんなふうに教材にしていくか、どんなふうに授業に活かしていくか、そういうことを2019年も引き続き、考えていきたいと思っています。

(為田)