教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

滝中学・高等学校訪問 前編(2016年1月26日)

 2016年1月26日に滝中学・高等学校を訪問しました。2014年に1度お会いしていた清水先生が、このブログを読んでくださっていて、「うちの学校でICTを導入するなら、どんな形があるでしょうか?」とお声掛けをいただいたのがきっかけです。ICTの導入のことを考えるならば、いま行なっている授業を見させていただいた上で、お話したいです、とお願いしたら、授業見学のアレンジをしていただけました。どうもありがとうございます。
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 そうしたわけで、滝中学・高等学校を訪問しました。国の登録有形文化財に指定されているクラシカルな校舎の受付で清水先生に迎えられ、さっそく5時間目の中学2年の英語の授業を見学しました。授業開始前に写真撮影について伺うことができなかったので、残念ですが写真はありませんが、授業の様子を簡単にですがレポートします。

スピード感ある反復ドリル

 個人的には、中学校の英語の授業はこれまでにもたくさん見学させていただいていますが、トップレベルに情報量が多く、スピーディーな授業だったと思います。黒板の前にスクリーンが設置されていて、プロジェクタを使ってPowerPointで作成したデータを投影していました。
 投影されるPowerPointは、フラッシュカード式でドリル学習をしたり、図を見せてその状況を英語で言ったり、英作文を読み上げるためのヒントに使ったり、とさまざまな使い方をしていきます。担当されていた中須賀先生が大きな声でリズミカルにどんどん次へ次へと生徒たちのペースを作っていきます。
 不規則動詞の原形→過去形→過去分詞形の変化を、スライドを1枚1枚めくりながらみんなで読み上げていきました。いまやっている箇所だけでなく、既習部分からも多く出題されているようで、これだと、徹底的な反復練習ができそうだと感じました。
 同じように英作文もどんどん声に出してもらって練習します。どの文章も2回読みますが、1回めは英文がスクリーンに表示されていません。そして、2回めは英文をスクリーンに表示して読み上げます。
 単語、英作文、両方の反復練習をしっかり行なっても、まだ時間は10分くらいしか経っていませんでした。

集中を切らさない授業進行

 その後、現在完了形の解説が行われました。中須賀先生は、時制を丸暗記するのではなく、どう違うのかを理解してもらうために、図をアニメーションで示して説明をします。
 授業を通して、基本的にノートは取りません。テキストにアンダーラインをひいたり、ある部分に解説を書き込んだりということは最小限しかしません。そのため、生徒たちの目線が黒板とノートとの間を行き来しないので、集中が途切れないように思いました。それがスピード感に拍車をかけているように思います。

 授業開始後20分で、「Open textbook page 80」とスクリーンに表示し、20秒間のカウントダウンを行い、その間に生徒たちは該当部分を黙読します。早く読み終わった生徒は、前のスクリーンを見ると先生がカウントダウン中にちらっと表示させたグラフィックを見られるボーナスがあるようでした。中須賀先生は、「今日は何だった?」と訊いていましたので、しばしば仕掛けているのだと思います。こういうちょっとした工夫もおもしろいと思いました。

 テキストの英文音読のところで、スライドで少しずつ英文から文字が消えていく方式をとっていたのがおもしろいと思いました。こうすることで、何度も読ませるということが可能になりますし、だんだん課題が難しくなることでモチベーションも上がるかな、と思います。

I've been coming every year on this day since 2002.
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I've been coming every year on this day ________.
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I've been coming every year __________ ________. 

 最後に10分、高レベルの問題を出題して演習をしていました。中須賀先生は、「10問中5問できればOKくらいの問題だ。チャレンジしよう、という問題です」と言っていました。
 中須賀先生は、「覚えるのではなく、理解してください」と何度も繰り返します。先生の説明が、図で何度もされるのと、時制をそのまま覚えさせるのではなく、どういうふうに考えたのかプロセスを言語化することを求めたり、生徒同士で違いを話し合わせたりもしていたのが印象的でした。

授業後のインタビュー

 授業後に、中須賀先生に質問をしてみました。「生徒たちが集中して、あれだけの量の説明や練習問題に取り組めるのは、すごいです。」と言うと、「実は、私はあまり好きではないんです」と中須賀先生は答えます。なぜなら、教室内の学力差を考えると、「早すぎる」「遅すぎる」と思っている生徒もいるだろうから、ということでした。
 スクリーンを使って提示しながら説明や反復練習をしているので、授業を効率化し、またペースメーカーとしてICTを活用しているのが現状だと思いますが、これにさらに、「一人一人の理解度や学習のペースに合わせたい」というところまで、問題意識をもっているのだなと感じました。そこまで行くとなると、1人1台ある方がいいと思いますし、あるいは休み時間や放課後にもアクセスできるように、教材を配布してしまう、というのもありかと思いました。

 PowerPointの教材は、中須賀先生がすべて自作をしているそうです。どれくらいかかりますか?と訊くと、1回の授業分を作るのに3時間くらいとのことです。毎時間授業前に作っているのではなく、年間計画に合わせて学期が始まる前に集中的に作り、直前に生徒たちの様子や授業の進度、理解度などを考慮して多少作り直したり、問題を追加したりするとのことです。

 来年度からは英語の授業は、電子教科書との連動も予定されているそうです。自分で教材を作ることができて、かつ「こういうふうな授業をしたい」「こういう問題を解決したい」という問題意識をはっきり話していましたので、ICTを教室に効果的に導入していけるのではないかな、と思いました。

(為田)