秋田県立秋田南高等学校の中村東 先生が担当されている数学IIIの授業をオンラインで参観させていただきました。秋田南高校では一人1台のChromebookを活用した授業を行っていますが、一人1台のChromebookを授業中ずっと使っているわけではなく、これまでの数学の授業をアップデートする形で使っています。高校の数学の授業での、Chromebookの活用の様子をレポートしていきます。
中村先生は、生徒の手元にある問題集やChromebookで見られる問題であれば、わざわざ黒板に書くことなく、黒板の横に設置したスクリーンにプロジェクタでデジタル教材などを投映しながら授業を進めていきます。
プロジェクタで表示するのは問題文などだけではなく、グラフを表示するツール「Grapes」を使うことで動的な教材も提示していました。グラフを表示しながら式の値を変えると瞬時にグラフが書き換わります。こうした教材を使うことで「式の値を変えるとグラフがどう変わるか」をリアルタイムで見せながら説明ができます。
今回の授業では、2次曲線の説明のところで、「離心率を0から少しずつ大きくしていくと、楕円が大きくなる」「ちょうど離心率が1のときには、放物線になる」「さらに1よりも大きくすると放物線の形からどんどん開いていって、向こう側から双曲線がやってくる」という説明とともに、グラフがどんどん形を変えていくのを見せていました。
すべての教材をプロジェクタで映すというのではなく、黒板に式とグラフを書きながら説明する問題もありました。
黒板の内容をノートにどのように記録していくかも含め、生徒たちは自分でどう学ぶかを考えています。紙のノートに書く生徒もタブレットに手書きでまとめる生徒も、両方いました。どちらが自分の学び方にあっているのかを、きちんと判断して学べるようになることが重要だと思います。
秋田南高校では、学校指定の副教材をLibryを使って提供しています。Libryで、生徒が取り組んだ問題の正答率をまとめて見ることができるので、中村先生は、Libryの先生画面で確認できる各問題の正答率を一覧で見せていました。
それぞれの問題の正答率がどれくらいなのかを説明して、中村先生は正答率の低い問題を中心に補足の解説をしていきます。生徒たちは手元でLibryの該当問題を開いて見ながら、中村先生の解説を聴いていました。
中村先生が指定した問題をLibryで解くときには、ノートに解答を書き、その後、自己採点をします。自己採点の結果は先生のところで集約して見られるようになっています。
みんなで問題を解いているときに、生徒たちに問いかけもし、黒板の図を使って解いてもらう時間もありました。すべてがデジタルで完結するのではなく、黒板も使い、教室全体で考える場面も作っていました。すべてがデジタルになってしまうわけではなく、デジタルとアナログとが混ざった授業展開になっていきます。
Libryだけでなく、中村先生の授業では、グラフ計算機「Desmos」も使っていました。問題に取り組んでいるときに、「Desmosで入力してみて」と中村先生が言うと、生徒たちは自分のChromebook上でどんどんグラフを作っていきます。
www.desmos.com
必ずDesmosを使わなければいけないわけでもなく、手描きでグラフを書いている生徒もいます。
このようにデジタルとアナログと、どちらのツールを使うのかを自分で選べるようになっているのがいいと思います。
No.2に続きます。
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(為田)