2020年10月28日に、湘南学園中学校高等学校を訪問しました。情報科・入試広報主任の小林勇輔 先生と、国語科・ICT主任の山田美奈都 先生に校内を案内していただきました。
湘南学園中学校高等学校では、生徒たちが自分で情報端末を選ぶことができる一人1台のBYOD環境を実現しています。学校から「これを使って」とコンピュータを渡されるのではなく、自由に自分のコンピュータを選ぶことができます。現状、生徒が選んでいる情報端末としては、iPadが70%くらいで、その後にSurfaceとMacbookが続く、という感じだそうです。授業の様子を参観させていただくと、一人ひとりが、自分の使いたいように情報端末を使っている様子が見られました。
湘南学園中学校高等学校で、今のBYODの形になったのは2019年度からですが、その1年前に湘南学園中学校高等学校は、学校が指定する形で生徒一人1台のiPadを導入しています。そのときは、学校が選んだアプリしか使えず、閲覧制限も厳しく設定したiPadを渡していたそうです。当時をふりかえって、山田先生と小林先生は「生徒たちが使ってくれなかった。使いたいと思えないような“ガチガチiPad”だった」と言います。
このガチガチの管理体制を1年でキャンセルし、今の自分の選んだ情報端末を持ってくるBYOD環境に変わることで、自分のコンピュータを自分で管理することになります。「壊れました」「挙動がおかしい」「どうしたらいいかわからない」というのは、学校に丸投げになるのではなく、学校のサポートを受けつつ自分で解決することになります。
学校でICT窓口も用意しているそうですが、技術的なサポートは、初期こそ少し来たものの、2年目に入った今はぐっと数が減っているようです。生徒同士で解決することも増えてきているそうです。
“ガチガチiPad”体制から、自分で情報端末を選ぶBYODへの体制変更にあたっては、学内でも不安に思われる声もあったそうですが、いまは「結果的にBYODでよかった」というのが学内の評価だそうです。
山田先生は、「ICTを文房具として使ってほしい」と言います。いくつかの授業を参観すると、授業のなかでどう使うかは、先生方によってそれぞれです。すべての授業がICTを使ってデジタルで教えられているわけではなく、デジタルとアナログ(ICTと教科書やノート)を組み合わせて使っているように思いました。
「文房具として使う」というのは、まさにそういう使い方だと思います。「どういう使い方が便利なのか」「どういう使い方が学びやすいのか」ということを、先生方も生徒たちも考えて選んでいるようになるといいと思いました。
先生が配るプリントを、クラウドにある資料を見ながら解いている生徒がいます。先生の作ったプリントだけでなく、自分でメモを書き加えることもできますし、自分で書いたノートを撮影してクラウドに保存しておくということもできます。文房具として自由に使うということは、こうして学び方を自分にあった形にどんどん変えていけるということだと思います(大人も同じように、デジタルとアナログを組み合わせて仕事をしている人はたくさんいます)。
問題を解いたり、板書をノートに写すときに、わからないところがあれば、自分の端末でどんどん検索していきます。
湘南学園中学校高等学校での情報端末の条件として、「G Suiteを使える」ということが条件になっているので、Googleクラスルームで小テストを出しているクラスも多くありました。
先生方のICTの活用の仕方も、教科によってさまざまでした。ロイロノート・スクールなどの授業支援ツールを使って問題や解説を共有しながら、ホワイトボードで説明している先生もいます。
Apple Pencil対応のiPadを使いたいなど、担当している教科の特性に応じて、先生方も、学校から貸与されるコンピュータから、自分の端末を持つ先生が増えてきたそうです。生徒たちのBYODだけでなく、学校・先生の方も、「自分にあった端末」を使っていくように変わってきているそうです。
No.2へ続きます。
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(為田)