教育ICTリサーチ ブログ

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ICT教育研究会 with Classi in Meisei レポート No.3 (2018年3月28日)

 2018年3月28日に、明星中学校・高等学校において、ICT教育研究会 with Classi in Meiseiが開催されました(明星中学校・高等学校とClassi株式会社の共催)。
 今回は、プログラムの中のICT教育分科会のひとつで、明星中学校・高等学校の生徒さんたちが講師となった「生徒から見たICT教育」のプレゼンテーションをレポートします。
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 プレゼンテーションをしてくれたのは、iPadを2016年4月、中学校3年生のときから使っているという2人でした。明星中学校・高等学校では、各クラスでWiFi接続が可能となっているそうです。ただし、WiFiにはフィルタリングがかかっており、外部のブログなどは閲覧できないようになっているそうです。また、AppStoreもアクセスできない環境をつくっているため、勝手にアプリをインストールはできない状態だそうです。

利用しているアプリ

 2人は、学校生活のなかで使っているアプリなどについて、紹介をしてくれました。さまざまなアプリを、さまざまな場面で活用していることがわかります。

  • カメラ
    • 明星祭などの行事を記録するために活用している。
    • 授業を撮影して、Classiにアップして情報共有している。
  • iBooks
  • 授業中に使用する資料が入っている。Classiで配信されるので保存している。
    • 自分で書き込むことができるのがよい。
  • iMovie
    • 音楽の授業で、創作で利用している。
  • Keynote
  • Safari
    • 調べ学習で利用している。
  • MyET
    • コミュニケーション英語で利用している。
  • Classi
    • ウェブドリル=問題集
      • 学年、分野別の問題があり、苦手分野を克服できる。
      • スキマ時間を利用している。
      • 分野ごとに分かれて正答率が表示される。
      • 記述式のドリルはない。
      • iPadの持ち帰りはOK。宿題も出るし。登下校時にやってはいけないなどのルールはあり。
    • 校内グループ
      • 学年、クラス、委員会、部活動など、それぞれにトークルームを設置。一斉連絡ができる。
      • 校内グループの利用方法などは決まっている。
    • 学習入力機能
      • 毎日、自宅学習時間、科目、感想を入力する。
      • 先生全員がチェックできる。
      • プライベートなことが監視されているとは感じない。学習記録はプライベートとは違う。
    • 成績カルテ
      • 今まで受けたテスト記録を全部見ることができる。
      • 先生が全員分を見られる。過去の成績も見ることができる。

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 生徒たちだけでなく、先生たちのICTの使い方も多様になっていくのだろうと思います。例えば、先生からの教材の配信についても、授業中に「昼休みにアップするね」という人もいるが、「夜にアップするね」という先生もいるそうです。「必ず授業終了直後にアップ」というふうに決めるのではなく、それぞれの先生にとって都合のいい時間に、教材をアップしたりすることができるのは、ICTの良さだと思います。このように「どう活用するか」の自由について学校が担保しているのも大切なポイントだと思います。

メリットとデメリット

 ICTを活用しているメリットとデメリットについても紹介してくれました。

  • メリット
    • つながりがない人、たとえば上級生ともつながることができること。
    • 先生が管理してくれているからこその安全がある。
  • デメリット
    • 話す機会が減少した。2年前よりも話す機会は減った。
    • iPadを忘れると授業に参加できない。
    • 自分で管理しないといけない。パスコードは義務付けられている。

 メリットの中で、「先生=学校が管理してくれているからこその安全がある」ということを挙げているのは非常によいと思いました。ICTがインフラとして機能し始めているということかと思います。生徒たちが、「ICTは非常に便利だけれども、正しい使い方を、“先生も生徒も”知らないといけない」と言っていました。
 ICTの機器やアプリなどをつかえば、多くのことができるようになります。そのなかで、何が正しい使い方か、を定義づけるのは困難です。そのため、明星では、高校1年生~3年生の各クラスにICT委員がいるそうです。生徒たちが自分たちで、学校の管理による安全が確保されたなかで、自由に使える環境になるといいなと感じました。

(為田)